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シネマ365日

2017年1月2日

特集「どっぷり楽しいお正月の映画」②
ターザン:REBORN(下)(2016年 ファンタジー映画)

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監督 デヴィッド・イェーツ

出演 アレクサンダー・スカルスガルド/マーゴット・ロビー/サミュエル・L・ジャクソン/クリストフ・ヴァルツ

シネマ365日 No.1983

吸い込まれる

特集「どっぷり楽しいお正月の映画」

アレクサンダー・スカルガルドはスウェーデン出身。ノーブルな顔立ちに長身。いかにも貴族の風合いを漂わせ、密林を疾駆し、阿修羅のごとく木から木へ、枝から枝へ、断崖から地の底へ身をおどらせる。この特撮が見事でしてね。子供の頃水泳の金メダリスト、ジョニー・ワイズミュラーがゆっくりハットを脱いで断崖からダイブする、勇姿ターザンが刷り込まれた世代としては、すこぶるイケメンのターザン新作を見ないでいることは、ご先祖に申し訳がない、という感覚に近いものがあるのだ▼ツタを持って飛び移る、おなじみのシーンにしても、ツタの長さによって飛翔距離には限度がある。しかるにターザンはツタからツタへ、目にも止まらぬ速さで空間移動するのであるが、飛翔空間の広大なこと。鳥か魔か、鬱蒼と茂るジャングルの、濃い緑の中をかすめる影はまさに「悪霊」であろう。ターザンが率いるゴリラの一群が黒い魔物のごとく続く。この映画の見所の一つは、人間劇よりむしろ動物たちの生態ではないだろうか。サイコーに興奮するにちがいないシーンはここ。捕虜となった黒人たちとジェーン救出のため、列車を追おうとするターザンにウィリアムがいう。「相手は武装した軍だ、一人では無理だ」「仲間を呼ぶ」とターザン。彼が放つ奇妙な雄叫びは、私たちが聞き慣れた「アーアアー」ではない。人間の耳には聞き取れぬ、高音か低音の、動物たちの「求愛の声」なのだ。ライオンが、水牛が、ゴリラが、何万頭とも数知れぬメガトン級の動物たちが地響きを立て、雪崩を打ってジャングルを後にした▼迎え撃つ人間軍にはもちろん、機関銃もあれば銃も剣もある。しかし動物たちを傷つけず、殺傷しない、血を見せない撮り方に胸をなでおろした▼ロムはジェーンを船で拉致し、川を下った。若者が一人檻に入れられ川に浸かっている。もしジェーンが逃げたらこの若者を溺れさせるというのだ。ターザンの発する求愛の声を聞きつけたジェーンは躊躇なく川に身をおどらせる。ターザンの妻は勇敢なのだ。若者の檻を開け、脱出した二人の後にカバが迫る。カバはおとなしい動物ではない。ワニをも食い殺す獰猛な動物で、住民はライオンよりカバを怒らせるまいとする。ジェーンの背後に地獄のカバ。バックーン、一瞬の差でカバの口は空を切り、ジェーンは地上へ。ウィリアムは奪ったマシンガンを乱射、さしものロム軍も大打撃を被った。それでもロムはしぶとく生き残っている。こんな奴に情けは無用。ターザンはヒュルヒュルとかすかに息を吐く。その求愛で動いたのはなに? ワニだった〜。ロムの乗る船をワニ軍団が滑るように追跡、追いつくや、バリバリと手当たり次第、船を食い破り、ずり落ちてきたロムは哀れ、川に引きずり込まれて一巻の終わりとなる▼全編に流れるのは「アフリカ賛歌」ともいえる、大自然と動物たちへの畏敬だ。イギリスでは、のびのび振る舞う妻に比べ、どこか引っ込み思案だったジョンが、アフリカに到着、蒼穹の空と果てなき砂漠の空気を呼吸するなり、野生を取り戻す。三揃いのスーツに身を固めていた身なりから、背広の上着を脱ぎ、シャツだけになり、ボスゴリラとの決闘では上半身裸体となり、筋肉をむき出しにする。スカルスガルドが「ボディビルでつけたような筋肉にはしたくなかった」と言っていたように、ムキムキの筋肉ではなく、すらりとした流線型のボディに仕上げた。毎日朝2時間のトレーニングを数ヶ月、仕事を終えてからもやる。仕事の合間にもやる、というわけで連日トレーニング漬けだったとか。断崖から眼下に広がるジャングルに飛び降りるシーンは数秒間だけど圧巻。粗筋なんかわからなくても、吸い込まれること請け合い。

 

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