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シネマ365日

2017年1月3日

特集「どっぷり楽しいお正月の映画」③
ジャッジ・ドレッド(2013年 アクション映画)

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監督 ピート・トラヴィス

出演 カール・アーバン/レナ・ヘディ/オリヴィア・サールビー

シネマ365日 No.1984

とびきりのB級 

特集「どっぷり楽しいお正月の映画」

制服が没個性と言われるが、果たして本気でそう言えるだろうか。制服の似合う女優に誰がいたろう。思いつくままあげると「ブルー・スチール」のジェイミー・リー・カーティス(警官の制服)。「プリティ・リーグ」はジーナ・デイビスの野球のユニフォーム、「G.I.ジェーン」はデミ・ムーアのオニール大尉。マレーネ・ディートリッヒの軍服(「恋のページェント」)、FBI実習生卒業式のジョディー・フォスター(「羊たちの沈黙」)、メグ・ライアンは「戦火の勇気」のウォールデン大尉、制服のヴァージョンで囚人服あるいは戦闘服が凛々しかった「エイリアン」シリーズのシガニー・ウィーバー、「マッド・マックス怒りのデス・ロード」のシャーリーズ・セロン、サスペンダーだけだったけど「愛の嵐」のシャーロット・ランプリング、「尼僧物語」のオードリー・ヘプバーン、似合いすぎていた「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」のスパルコ大佐はケイト・ブランシェット。制服ではないが、パンツスーツの着こなしがバシッと決まるのがサンドラ・ブロックにティルダ・スウィントン。彼女らはみな細身で、お尻が小さい(一人、二人例外はあるが)、ビッグ・ヒップ三大女優と勝手に呼んでいるのがイングリッド・バーグマン、カトリーヌ・ドヌーブ、エリザベス・テイラー。この偉大な三女優がパンツスーツもしくは制服でスクリーンに現れた映画は不明にして知らない▼というのも、本作のポイントをあげるなら、オリヴィア・サールビーの見習い警官カサンドラと、ギャング組織のボス「ママ」に扮したレナ・ヘディの一騎打ちにつきるからだ。オリヴィアはガラス細工みたいな今にも壊れそうな21歳の女優だった。カサンドラは昇任試験の成績もすれすれだ。しかし人の心が読めるエスパーの特殊能力があり、ベテランの警官ジャッジ・ドレッド(カール・アーバン)の相棒となり、彼の採点次第で合格か不合格が決まる。言い忘れていた。舞台は核戦争により国土が荒廃し、巨大都市メガシティ・ワンに8億人はひしめいて住むアメリカ。都市の治安を維持するのがジャッジと呼ばれる裁判官兼警官兼死刑執行人である。ドレッドは最優秀のジャッジだ。はっきりさせておかねばならないが、このヒーローは終始マスクをかぶって素顔を出さない。マスクのせいかどうか、フムフムと聞き取りにくい鼻声で話し、存在感のないことおびただしい。スクリーンに終始、血しぶきの飛んだリアルな素顔を見せ、しかも(ここが大事だが)、黒い戦闘服(アーマードスーツ)が惚れ惚れするほどカッコいいオリヴィアの比較じゃないのである。こうなると、制服は没個性どころか、個性を際立たせる最高のコスチュームなのだ。没個性なのは着る人間のせいであって、制服のせいではないのである▼もう一人のヒロイン、レナ・ヘディに移ろう。彼女はこのとき39歳だった。ゴージャスな持ち味とは言い難いが、幅広く役をこなす、任せて安心の女優だと思う。ノーブルな顔立ちの彼女が、元娼婦、ヒモに顔を切られ仕返しに彼の男性自身を噛みちぎり、冷酷無比な制裁によって暗黒街の麻薬密売人のトップになった、裏切り者は容赦せず「ママ、どうします?」ママとはレナ・ヘディのこと。「皮を剥いて落として」「スモークは?」「吸わせて」。突き落とすのは地上200階のビルからだ。皮を剥がれた真っ赤な死体は落下してぐしゃぐしゃ、見分けもつかない。スモークとは新薬物で、吸ったら幻覚によって時間が長引き、落ちる速度はスローモーになってその分恐怖が増すという残酷な代物だ。レナ・ヘディの念入りなメイクには恐れ入る。顔の右半分にざっくり刻み込まれた深い刀傷、ザンバラの黒髪のショートヘアはワイルドで、隈取の濃い両眼は彼女本来の知的な容貌を無残に破壊した。ヨレヨレの汚らしい袖なしのTシャツ、首筋から肩にかけて見え隠れする唐草のタトゥ。これが唐獅子牡丹だったら、うわ〜、どうしてくれるんだよ〜▼あんまり書きたくないが銃撃シーンの撮影も特筆ものだ。銃弾が顔面にあたり、ほおを貫いて貫通する。筋肉が裂け、肉がちぎれ、歪んだ頬と飛び出してきた弾丸がクソ丁寧に映る。グロテスクな内容を、手早く転換するスピーディなシーンの切り替えと、透明感のあるオリヴィアの出演が救っている。上質のB級です。

 

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