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シネマ365日

2017年1月9日

特集「じっくり見たいお正月の映画」②
神様メール(下)(2016年 ファンタジー映画)

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監督 ジャコ・ヴァン・ドルマル

出演 ビリ・グロワーヌ/カトリーヌ・ドヌーヴ/ブノワ・ポールヴールド/ヨランド・モロー

シネマ365日 No.1990

天国は今、ここよ 

じっくり見たいお正月の映画

ジャコ・ヴァン・ドルマル監督は次作をこう語っています。「余命宣告を受け、人々はすぎゆく時間の価値を改めて知り、毎分毎秒を基調に使う。限りある時間を意識し無駄なことをやめる。幸福も愛も先延ばしにしない。兄のアドバイスでエアは、使徒が18人になったら何かが変わると信じて、6人の使徒にであう。彼らは人生の負け犬ばかりだった。深い傷を負いながら生きる者、愛や幸福を諦めた者、エアはありえない愛の軌跡を起こし彼らの目を覚まさせる。彼女はいっています。死後に天国はない、天国はここよ。今を生きろと。6人の人生観に革命が起こる。わたしは子供の頃、神は全知全能なのになぜ何もしないのか不思議だった。聖書の中で女性はほとんど言葉を発せず、男の足を洗ったり、食事の用意をするだけなのも不思議だった。人生はシュールだ。登場人物は外から見ると自信も輝きもなく、自分を無価値だと思っている。でも心の音楽は広大で深く、自分だけが持つ美しい響きをエアは聞き取ることができる」これで言い尽くされたようなものですが、各使徒のエピソードが楽しいので是非知ってほしい▼パパ神は娘を引き戻そうと、下界に降りてくる。傲慢なパパ神は「俺は神だ、お前らはクソだ」と暴言を吐きボコボコにやられ、彼を救った牧師に何を言ったか。「隣人を愛せ? 俺はそんなことはいっていない。息子のJCは思いつきで色々いった。神は俺さ。この世の嫌なことはみな俺の仕業だ。リュドヴィク、君は5歳のとき母が死に、ポリオにかかった。お前の脚の長さは違うのは俺がしたことだ」牧師はパパ神をなぐり倒し、ウズベクに強制送還する不法移民の飛行機に乗せる。使徒は増えていった。二人目の使徒ジャン=クロードは余命を知り、会社を辞め、公園のベンチに座り動かなくなった。エアが教えた。「あなたの音楽はラモーの鳥のさえずりよ」。小鳥が舞い降りてきた。ジャン=クロードは鳥に導かれ北極圏を目指した▼三人目は性的妄想に悩むマルクだ。エアは「あなたは声で稼げるわ」と教え、ポルノスタジオの声優となり、喘ぎ声を演じた。隣のボックスに綺麗な女性の声優がいた。マルクは「僕はあなたを知っています。子供の頃、浜辺であなたを見ていました」。少女だった彼女も、少年を覚えていた。二人は運命のように出会った。四人目はフランソワ。余命を知った彼は銃を買った。エアは彼にささやく。「6秒後に黒い髪の女性を撃ちなさい」彼が撃ったのはオーレリーだった。彼女は死ななかった。命中したのは彼女の義手の肩の部分だったのだ。フランソワは妻も子供もいたがオーレリーを追いかけ、エレベーターの中で花を贈りこういった。「愛しています。これからもずっと。愛してくれなくてもいい。独りであなたを思い、最後を待ちます」オーレリーが降りた後、隣の老人に「包装紙に電話番号を書いておいた」。彼はやさしい声でいった。「電話してくるとも」▼五人目はマルティーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)。余命は5年2か月と少し。夫は39年だ。何不自由ない暮らし。マルティーヌは町で若い男を買う。行為の後、男を(わかった、わかった、ご苦労さま)というふうに脇に押しやり、宙に視線を投げる。ドヌーヴが他の女優と違うところは多々ありますが、彼女が宙を見るときの視線には、追随を許さぬ意味付与力を感じさせます。エアは「あなたの音楽はサーカスよ」とつぶやいた。マルティーヌとエアは手をつないでサーカスを見に行く。ヴィクトールも一緒にいる。そこで檻に入ったゴリラとマルティーヌの目があった。ゴリラの指を握る「こんな美しいことは初めて」胸が揺さぶられ涙が流れた。リビングでゴリラと暮らす。ガシャーン。高価な置物を割っても「いいのよ、飽きていたから」。神様の家では女神が首をひねっていた。「最後の晩餐」に描かれた使徒の数が一人ずつ増えているのだ。なんと、マルティーヌが加わり17人だ。18人まであと一人。それがウィリー少年だった▼子供の身で死ぬ彼を哀れに思った先の5人は、ウィリーの望みを叶えてやろうとする。ウィリーは女の子になりたかった。赤いワンピースを着て学校にいった。ウィリーの死ぬ日が来た。海で死にたいウィリーのために、砂浜に横たわった少年を5人が丸く囲んだ。その時だ、飛行機が高度を下げ海辺に墜落してくる。逃げ惑う人々。原因はパパ神の書斎の掃除に入ったまま神が、パソコンのプラグを抜いてしまったのだ。制御不能。ママは掃除を終え、プラグを差し込んだ。再起動しますか、と「パソコンは訊いてきた。「イエス」「認証番号を」「18よ」。人間世界は大さわぎ。飛行機は高度を取り戻し飛び去った。砂浜では「僕、まだ生きている」とウィリーがいった。ケータイの余命カウントダウンが抹消されている。青い空は花びらで覆われた。エアは「ママよ」と叫んだ。神様の家ではママ神、いや女神がせっせとパソコンに向かい、気にいった空模様を選んでいるのだ。ピンクやグリーンや、明るい花柄にすると「女神様、賢明なご選択でございます」とパソコンは褒めてくれる。嬉しくなった女神は世界中を花束で埋めるのだった。パパ神? ウズベクで強制労働よ。使徒はそれぞれ自分の価値と居場所を見つけた。マルティーヌはゴリラと公園にランチを広げ、ゴリラは赤ん坊をあやしている。ジャン=クロードは北極圏で鳥が巡り合わせてくれた女性に出会った。マルクは少年時代の女神と結ばれた。ヴィクトールは「新・新約聖書」を書いてベストセラー作家となった。ウィリーとエアは仲のいい女友だちになってキスを交わす。フランソワとオーレリーは一緒に暮らし、フランソワのお腹が大きい。彼は妊娠したのだ。へんてこりんでシュールな世界は、変かもしれないが、そこにいる一人ひとりは、みな異なった明るさとやさしさに彩られている。

 

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