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特集「最高のビッチ」

2017年1月17日

特集「最高のビッチ1」② シャーリーズ・セロン
スノーホワイト/氷の王国(下)(2016年 ファンタジー映画)

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監督 セドリック・ニコラス=トロイ

出演 シャーリーズ・セロン/トム・ヘムズワース/ジェシカ・チャステイン/エミリー・ブラント

シネマ365日 No.1998

たたずむラヴェンナ 

最高のビッチ

ラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)は、妹のパワーを目覚めさせ、無敵の軍隊を作って天下を我がものとする、征服欲と支配欲の権化です。愛は人を弱くする、だから「お前の中から追い出して強くしたのに、情けないままね」と冷たくいう。でも姉が妹の子を殺したのは、鏡に向かって「世界でいちばん美しいのはだれ?」と訊いたら、鏡は「今はあなたですが、妹君に赤ん坊が生まれましたら、いずれ女王より美しい女性になります」と余計なことをいったからです。どだい、この「鏡」もあまり賢い存在とはいえない。いつも権力者に心地いいだまし絵を見せる、ペテン師みたいな奴のお告げを真に受けて、戦争をしているラヴェンナも、愚かといえば愚かですが、悪と愚かしさと強さは一点で交錯すると狂気にワープする▼反省も後悔も懺悔もなく、言い方を変えると心に一点の曇りもなく、己が狂気に死ぬラヴェンナはシャーリーズ・セロンでなくてはかなわなかった役です。こういう最高にイカれたビッチをやると、彼女の硬質の美貌が冴え冴えとしてきます。妹は姉に虚しい戦いをやめさせようと、姉を抱いてもろとも氷になってしまおうとします。姉は「わたしも本当は愛や子供が欲しかった。でもわたしの運命じゃなかった。もっと偉大な運命よ。まだ信じているの? 愛は全てに勝つと」。姉妹は最後にどっちも死んじゃいます。妹は姉に殺され、姉は鏡が割れて金色の鋳造になり、全身バラバラに砕け、首がコロンと床に転がる。戦争ばかりして人を殺してきたのだから、自分の首が落ちるのも仕方ないよね▼姉妹のパワーがあまり強烈なので、他の存在が薄いのですが、第三の女サラ(ジェシカ・チャステイン)にだけ、少し。愛のない戦士として育てられるのですが、エリック(クリス・ヘムズワース)と恋に落ち、二人で氷の王国を脱出しようとするが女王フレイヤに引き裂かれる。フレイヤはサラに幻影を見せ、あたかもエリックがサラを棄て、逃げ去ったように見せかけます。サラはそれによって「死んでも生きても離れない約束を破った」と信じていた。女王に背いた罰として7年間、地下牢に閉じ込められていたが脱走してエリックを探した、再会した途端、怒りの右ストレートを炸裂させ、男の裏切りによって二度と愛さないと心を閉ざしてしまった。エリックというのがかなり融通のきく性格で、キリキリ腹を立てているクソ真面目なサラに、あれは女王の騙しのテクだと説いてきかせる。ささくれていたサラの心も慰撫され、めでたく結ばれる。さてサラの立ち位置ですが、いちばん今のガールズたちにわかりやすい、そのかみの「美少女戦士」であり、弓の名手です。捕虜になったエリックを殺せと女王がサラに命令する。もちろん二人の恋を知った上で。サラは顔色も変えず一矢で胸を射抜く▼肌身離さずエリックが首にかけているペンダントの位置に命中させ、命を助ける。ラヴェンナが悪の信者なら、サラは愛の使徒です。彼女の武器が弓矢というのも、まるで弓を持った天使のよう。でも強い。ラヴェンナやフレイヤのような魔術使いではない。正真正銘の自分の肉体と武器で戦うのだ。戦争とはいえ罪もない人を大勢殺してきた、自分は許されるべき人間ではないと苦悩する。3人の普通ではない女性の中で、最も「まとも」な設定です。映画の結論は「氷と雪に閉ざされても愛は死なない」サイコーですね〜。でもこの「スノーホワイト」のスピンオフが本当に描きたかったのは、日の光を浴びて人が幸福に満たされる、そんなとき、ふと陽光の陰にたたずんでこちらを見ているラヴェンナの存在ではないか。氷と雪に閉ざされて死なないのは愛だけでなく、悪もそう。セロンのようなビッチを見ていると、そう信じたくなります。

 

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