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特集「最高のビッチ」

2017年1月22日

特集「最高のビッチ1」⑦ ヴィルナ・リージノ
王妃マルゴ(1995年 事実に基づく映画)

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監督 パトリス・シェロー

出演 イザベル・アジャーニ/ヴィルナ・リージ

シネマ365日 No.2003

面倒だ、殺しちゃえ…

特集「最高のビッチ1」

ヴィルナ・リージは本作でカンヌ国際映画賞女優賞をとっています。主演は、もちろんマルゴを演じたイザベル・アジャーニです。イザベルこそ花も実もある「ビッチ」にふさわしいと、確信するファンがおられるのは知っていても、本作においてはあえて、ヴィルナ・リージです。彼女が演じるカトリーヌ・ド・メディチこそ、歴史の主人公にふさわしい。額を剃り上げ、広いオデコを丸出しにし、金銀煌めく衣装をまとい、パリのルーブル宮殿に君臨する王の母后。でもね〜、彼女の身になれば気の毒なことはいっぱいあるのよ。イタリアの名門メディチ家から嫁いだものの、フランスでは「たかが商人の娘」と侮られ、それでも宮廷に溶け込もうと、持ち前の知性と努力でカトリーヌは徐々に側近を増やしていく、このあたりの粘り強さ。でも悲しいかな、後継が産まれない。無理ないわ。夫のアンリが愛人をつくってベッドに来ないのだもの。カトリーヌは諦めない。民間療法はじめ、名のある医師を呼び、あらゆる手当を尽くし、結婚10年目にして男児を得る。それから急に懐妊しやすくなり10人の子女を産み7人が成人しました。娘の一人がマルゴです▼映画はマルゴの結婚式から始まります。カトリーヌはイマイチ息子である現国王が頼りない。時代はカトリックとプロテスタントの争いのさなか、いつ寝首をかかれるかわからない。カトリーヌは融和策のためマルゴを政略結婚させたが、この娘が結婚はするが男とセックスはせず、街に繰り出し運命の男青年貴族に出会う、と映画ではなっているが、もともと奔放な女性だったのだろう。カトリーヌにすれば娘がだれと寝所を共にしようとするまいと、政治の目的に叶えばいいのだから、愛だの、恋だのはどっちでもよかった。反対派の暗殺に失敗したカトリーヌは仕返しを恐れ、先手を打って凄惨なサン・バルテルミの虐殺を起こします。こういうところが言語を絶した女性の発想だと思いません? ええい、面倒くさい、殺しちゃえ…パトリス・シェロー監督がコテコテに虐殺シーンを撮っています。槍で突き刺す、剣で斬る、喉が裂ける、首が跳ぶ、出演者はみな血の海で真っ赤になってのたうつ。荷車や馬車に死体を積み上げ、街はずれに大きな穴を掘り、うず高くなるまで死体を投げ込む凄惨な場面が数分。監督、ちょっと念が入りすぎでは▼この間、娘マルゴは恋人の伯爵が怪我をした、手当をする、どこかに逃がしたい、そんなことに奔走し、一方で母親は邪魔者を毒殺する手配、それを察した娘が止めようとしたが、国王のシャルルは誤って口に入れてしまう。マルゴにとって王は実兄です。シャルルは母親に似合わない穏やかな性格で、家族と家庭を愛していた。シャルルは毒に苦しみながら、原因が母親であることを知る。事実を隠蔽しようとしたカトリーヌはあろうことか、マルゴの恋人、伯爵を犯人に仕立てるのです。マルゴの嘆願にもかかわらずカトリーヌは伯爵を斬首。伯爵はもし自分が死ぬことがあったら、頭を保存して毎日キスしてくれと言い残す。こういう、純情にしてロマンティックな青年が、毒殺やら政略結婚やら、敵の追放やらを、食前食後に考えている女に太刀打ちするのは、どう見ても難しいわね。マルゴは斬首された首を抱いて、約束通り、防腐剤を施し刑場から持って帰るのよ。この場面がまた…まず首と胴の離れた死体が着衣のまま暗い安置所に横たわっている。そこへ来たマルゴが、大事に首を包む。首のメークがぞっとするほど生々しい。パトリス・シェローはビョーキか!▼カトリーヌにしたら自分の産んだ息子・娘の死と犠牲の上に築いた平和だった。他所からはひどい女に見えても、彼女自身の悲哀は外からはわからなかっただろう。若かった母親がトラブルに耐え、乗り越え、実質的に宮廷に君臨するようになってからの母親しか、息子や娘たちは知らない。メディチ家の娘として、カトリーヌの芸術への審美眼は本物で、パトロンとして特に建築を愛しました。息子アンリ2世の死後、壮大な建築プロジェクトを通して王の記憶を不滅のものとしています。マルゴは生首を抱き、夫アンリの元へ行った。同じ名前でややこしいが、結婚式でイヤだといわれたナヴァール王です。考えればマルゴも可哀想でした。母后があまりにスケールの大きすぎた女性であったばかりに、母親を理解できなかった部分が多かったと思えます。でもね、いくら政略結婚で気に入らないに相手にしたって、映画で見る限り、マルゴという女性もKYすぎない? イザベル? う〜ん、死んだ男の首を包んで田舎の領地に帰る女性って、果たして彼女のキャラだったでしょうかね。

 

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