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シネマ365日

2017年3月11日

特集「偏愛力1」① ペニー・ドレッドフル2 
ナイトメア〜血塗られた秘密〜(上)(2014年 ホラー映画)

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企画製作総指揮=ジョン・ローガン/ピッパ・ハリス/サム・メンデス

出演 エヴァ・グリーン/ジョシュ・ハートネット/ティモシー・ダルトン

シネマ365日 No.2051

過激・耽美・絢爛

偏愛力

この映画の企画製作陣からいきます。どこの国の誰か、見も知らぬ、聞きもしなかった監督や脚本家が、超一級の映画を作ったときの敬意と賛嘆がある一方、この布陣では「やっぱりねえ」としか言えない映画があります。本作は後者です。企画製作・総指揮・脚本に関わった面々とは、ジョン・ローガン(「007スカイフォール」「007スペクター」脚本)、ピッパ・ハリス(「お家を探そう」「悲しみが乾くまで」製作総指揮)、サム・メンデス(「お家を探そう」「007スカイフォール」「007スペクター」)。お互い手の内を知り尽くしたヒットメーカーたち、息も肌もあったメンバーがケーブルテレビという、残酷な描写やセックスに比較的縛りのゆるいテレビ番組で、19世紀ロンドンを舞台にエンタメ道を極めんと、腕まくりして番組に取り組んだ、と思ってください。ペニー・ドレッドフルとはそもそも大衆小説であり、人気の推理奇怪小説の廉価本であり、日本の赤本に当たります▼「ペニー・ドレッドフル「1」で書いたので、個々の登場人物の紹介は省きます。シリーズ「2」では、フランケンシュタインや狼男や、ドリアン・グレイたちが、特異な霊感を持つ霊能者ヴァネッサ(エヴァ・グリーン)を悪霊ルシファから守ろうと、総力を挙げるヴァネッサ・チームと、ヴァネッサを冥界の王ルシファへの捧げ物にするため、魂を奪おうとする魔女軍団の戦いが中心となります。ローガンが「このドラマはヴァネッサの物語で、彼女が神と悪魔との間でもがく姿を描いている」と明快に位置づけているように、ヒロインはヴァネッサです。彼女は幼友だちミーナを、自らの過失で悪霊の世界に拉致され、ミーナの父マルコム卿とともに親友の捜索に加わる。探索の途上で出会うのがアメリカの曲芸早撃ち師イーサン(ジョシュ・ハートネット)であり、不老不死の英国貴族、ドリアン・グレイであり、死者を蘇らせようと、神の領域に挑む天才科学者フランケンシュタイン博士だった。後述しますが本作のエヴァの存在感は突出していて、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされました▼ルシファがヴァネッサをつけ狙うのは、彼女が普通の女性ではなく、悪魔の子を産むに充分なパワフルな能力を備えていたからです。悪霊も子々孫々繁栄がしたいのですね。闇の世界から魔女たちが現れ、ヴァネッサを拉致し心身を乗っ取ろうとします。ヴァネッサは理由もなく不安に襲われ、自分が誰であるかを知ろうとして、沼地の魔女を訪ねます。この章は非常に繊細・残酷なパートです。魔女のリーダーは姉妹二人。うちカーリーは悪のルシファに与し、もう一人のジョニーは身につけた霊視や薬学で、不幸な女たちを助けることを選んだ。望まぬ妊娠で破滅する女たちの手助けをすることから、彼女は「切り女」と呼ばれるようになった。ジョニーはヴェネッサが自分の力を使いこなせず、闇に引きずり込まれる淵にいることがわかる。魔女軍団と戦い、身を守る術を身につけさせねばならない。襲撃されたときに唱える呪文、一度開いたら元には戻れぬ地獄の詩篇、光にも闇にもなる力をジョニーはヴァネッサに与え、自分は地元住民のボスの煽動のため、火あぶりのリンチにあって殺されます▼このとき、ヴァネッサの背中に当てられた焼ゴテが、赤い十字架の跡となって背中に残ります。以後、ヴァネッサはルシファ・魔女軍団に相対することになるのですが、まだ自分の存在力に自信が持てない彼女は、敵に押されっぱなし、ヴァネッサが悪魔に乗っ取られたら人類は破滅する。マイケル卿、イーサン、フランケンシュタイン、ドリアン・グレイ、そしてマルコム卿に使える忠実な従者センベーヌが結束してヴァネッサを守ろうとします。ペニー・ドレッドフルの本領は、ヴァネッサの脇を固めるそうそうたる主役級のエピソードに発揮されます。フランケンシュタインが童貞を捨てる相手は、彼が自らこの世に作り出した女性クリーチャー、リリー。彼女は元娼婦。彼女を生き返らせたとき、フランケンシュタインはあまりの美しさに呆然、我を忘れてのぼせてしまうが、女は美貌とセレブのドリアンになびく。ドリアンはゲイの相手であるアンジェリカを社交界デビューさせるため、自邸の大広間で大舞踏会を主宰する、このシーンで本作の主役級はほぼ勢ぞろい。テレビ番組始まって以来とジョン・ローガンが自負する、過激で妖しく、魔的であって耽美、耽美にして豪奢絢爛とした「血の雨のシーン」がCGなしで撮影されました。

 

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