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シネマ365日

2017年3月22日

特集「偏愛力1」⑫ 
クライム・ヒート(2014年 日本未公開 犯罪映画)

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監督 ミヒャエル・R・ロスカム

出演 トム・ハーディ/ノオミ・ラパス/ジェームズ・ガンドルフィーニ

シネマ365日 No.2062

言葉にしていってくれ

偏愛力

いい映画なのに日本未公開だったのは、トム・ハーディの主人公ボブが罪を犯しながら、平穏に生きる一市民として、幸福になりそうな予感が映画にはあるから、公序良俗に鑑み、この映画の公開はちょっとマズイの、というところだったのでしょうね。ボブって借金に困ると従兄のマーヴ(ジェームズ・ガンドルフィーニ)と簡単に人殺しをするような男なのです。ボブはニューヨークのブルックリンでバーテンをやっていて、金も行き場もない老婆をバーの一画に座らせ、酒代もツケにしてやる。お祝いの集まりがあると「店のおごりだ」と酒を出す。マーヴは逆で、金のない奴は叩き出せ、タダ酒なんか出すな、と細かいチェックを入れる。元は彼の店だったが、借金で所有権を奪われ、今はチェチェン・マフィアのボスが牛耳っている▼ゴミ箱に捨てられていた子犬を拾ったことからボブはナディア(ノオミ・ラパス)と知り合う。ロッコと名付けた子犬はボブになつき、どこに行くのも一緒。ボブは可愛くて仕方がない。「俺の犬だ」という男が現れた。背の高い嫌な目つきの暗い男エリックだ。彼はナディアの元カレ。ムショに2回、精神科の治療を受け、殺人事件の容疑者でもあることを否定しなかった。ボブとマーヴにはマフィアが表に出せない金を預かる「ドロップ」という、隠れ銀行の裏の顔があった。二人組みの強盗に店を襲われたボブとマーヴは大金を奪われ、弁償するよう迫られる。その金は切り落とされた腕とともに店の裏口のゴミ箱に血だらけの札となって出てきた。警察の聴取に、強盗の腕時計が止まっていたといったボブの一言が手がかりとなって、いずれ足がつくと見たマフィアの上層部が実行犯を殺して口を封じたのだ。次の「ドロップ」はスーパーボールの上がりが店に届く日だ。何百万ドルの金が動く▼エリックは執拗にナディアに付きまとい、ボブには子犬を返せ、1万ドル出せと言いがかりをつけてきた。エリックと従兄のマーヴはグルで、スーパーボールの大金を横取りして、ナディアとともに町をトンズラする計画だ。スーパーボールで湧き上がっていた店にも、誰もいなくなった頃エリックがナディアを引きずるようにして現れた。おとなしく金を出せというエリックに、ボブは淡々と「こんなことがあった」と話し出す。借金まみれだったマーヴがカジノでボロ儲けした客の一人から金を横領し殺した。死体は血抜きしてアルコール漬けにした。一人や二人が行方不明になってもブルックリンでは誰も不思議と思わない。噂ではお前が人を殺しただって? ボブは鼻で笑い、エリックの喉を撃ち抜いた。死体を片付けながらいう。ここがいい「いやな野郎だ。外食するのに部屋着で、でかい靴履いて、ラッパー気取りか。女を見下した口を利いて犬をいじめて。お前にはウンザリだ。我慢できない」そして震え上がっているナディアに「今後も付きまとわれるところだったぞ。こういう連中は人から奪うだけだ。そんな態度だと何度でも金をせびりに来る。こいつらを変えることはできない」。ナディアはおろおろと「わたし、帰ってもいい?」「もちろんだ。もう誰も君を苦しめない。終わったンだ。じゃあな」「わたし、誰にもいわない」「わかっているよ」▼ボブの独白。「ある種類の罪を犯すと後戻りできない。絶対に抜け出せず死ぬのを悪魔が待ち構えている。魂を自分のものにしようと。いや、悪魔などいないのかもしれない。死んだら神様がこういう。だめだ、お前は入れない、立ち去って二度と来るな。お前は独りでいろ。永遠に独りでいろ」。朝「ロッコ、一緒に来てくれ」ボブはロッコを引き、ナディアを訪ねた。「バーを出るとき、君はもう俺と関わりたくないといいたかったのだろう。でもいわなかった。今もし、そういいたいのならいってくれ。そしたらすぐに消える。言葉にしていってほしいんだ」ナディアはボブを見つめ、「上着を取ってくる」そういってドアに戻った。ボブはナディアが出てくるのを待っている、ロッコと一緒に…。トム・ハーディの代表作になると思うわ。レオ様にケチばかりつける「レヴェナント 蘇りし者」よりずっと男ぶりがいいわ。ノオミ・ラパスとは本作のあと「チャイルド44森に消えて子供たち」でも共演。ジェームズ・ガンドルフィーニは2013年、ローマで心臓発作のため急死、51歳。本作が遺作となりました。

 

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