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シネマ365日

2017年3月31日

特集「偏愛力1」㉑ 
ダーク・プレイス(2016年 ミステリー映画)

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監督 ジル・パケ=ブランネール

出演 シャーリーズ・セロン/ニコラス・ホルト/クロエ・グレース・モレッツ/クリスティーナ・ヘンドリックス

シネマ365日 No.2071

生き腐れの女

偏愛力

「偏愛力1」のトリはこれでいきます。シャーリーズ・セロンが一家惨殺事件で一人生き残った子供、リビーの28年後の現在を演じます。彼女は36歳になり、孤児となった身の上を同情する有徳者たちの、全米からの寄付金で今まで生活してきた。ゴーストライターの書いた自伝まで出版された。とはいえ、惨殺事件は世間で相次ぎ、かわいそうな子供は何人も現れ、リジーはいつか過去の人となり、寄付金も途切れがち。手元の現金は450ドルちょっと…社会に馴染めず、生きたまま腐っていくような、影の濃いヒロインをやると、セロンはうまいですね。自堕落なヤサグレの女、死刑囚、トラウマで自傷する女、男の支配から仲間の女を引き連れ脱出するリーダーとか、自分の中にある暗さがある一点でエネルギーに凝縮して攻撃に転換する、そういうタイプを、大抵スッピンとかスキンヘッドとか、美貌を破壊する役作りで登場するのですが、それがまた似合うからトク。本作もヨレヨレのTシャツに、着たきりのジャケットのポケットに両手を突っ込み、陰険な目つきで睨みつけます(笑)▼殺されたのは母パティ(クリスティーナ・ヘドリックス)、リビーの姉二人。リビーの目撃証言で兄ベンが逮捕され終身刑となった。以後リビーは兄と会っていない。「殺人クラブ」という奇妙な団体のメンバー、ライル(ニコラス・ホルト)がリビーにアプローチしてきた。過去の犯罪を調べ直し、新見解を提出する真面目な団体で、会員は元検察官、判事、弁護士ら。会合に出て会員の質問を受けてくれという頼みだ。リビーは気が進まなかったが、謝礼を弾んでくれたので受けた。同クラブは「ベンは無実」だと主張する。ライルから兄と話すべきだと助言されたリビーはベント面会した。ベンは殺したのは自分ではないというが、誰が、というがそれ以上は口を閉ざした▼リビーの過去へさかのぼる旅が始まる。暗闇の中から、今まで遠ざけていた記憶を手繰り寄せた。母親が「愛している」といって抱いてくれた、そのあと母は殺されたのだ。知らない男がいた。面会のときに見た、兄の手首に掘られた名前はディオンドラ(クロエ・グレース・モレッツ)だった。彼女は黒魔術にはまり、ベンの子を妊娠し、この町を出て何処かに行って一緒に暮らそうとベンを誘っていた。惨劇の日、ディオンドラがいたことをリジーは思い出す。なぜあの子が現場にいたのか。兄はディオンドラがいたことを警察に言わなかった。リジーは過去も兄もどうでもよい、愛も希望もなく、未来に何の期待も宛てもない、生き腐れのような女です。父親は飲んだくれで、度々母パティを訪ねては有り金さらっていくごくつぶしだ。母親は子供4人を抱え一人で農場を切り盛りし、朝も晩も働いていた。ベンが女の子へ性的イタズラをした疑いをかけられ、弁護士を雇いたいが金がなかった。八方塞がりだった。カルバンという男が訪ねてきてパティにいった。「あなたが勇敢なら家族を助けることができる」▼クロエ・グレース・モレッツのディオンドラがかなりワルの役で、真相に近づいてきたリジーを殺そうとする。彼女はあの日、リジーの姉を殺した。ベンはそれを知っていて、生まれる自分の子の母であるディオンドラをかばい、自ら塀の中に入ったというから、ずいぶんやさしいのだ。その甲斐のある女だったとも思えないですが。事実は母親が自分の命を捨てて、自殺請負人であるカルバンを雇い、保険金を子供たちに残そうとしたのです。カルバンは別名「負債者の天使」。この天使が同じ理由で殺した人の数は50人に上りました。ベンは釈放。リジーはやっと心の「ダーク・プレイス」が晴れた。でもいちばん気の毒だったのはお母さんよ。子供たちの幸福を願い、身を犠牲にしたのに、横から割り込んできたディオンドラのためにすべて狂ってしまったのね。クロエちゃん、いやらしい女のコテッとした味がよく似合うようになりました。

 

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