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特集「菜の花の匂うベストコレクション」

2017年4月1日

特集「菜の花の匂うベストコレクション」① 
ラ・ラ・ランド(2017年 ミュージカル映画)

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監督 ディミアン・チャゼル

出演 ライアン・ゴズリング/エマ・ストーン/J・K・シモンズ

シネマ365日 No.2072

ピアノにしびれたわ

菜の花の匂うベストコレクション

この映画は本来の出来より、数年後には「アカデミー作品賞読み違えトラブル」として語られるのではないか、そう思えるほど、気の毒なハプニングだった。プレゼンターのウォーレン・ベイティが手にした封筒を開くと「エマ・ストーン ラ・ラ・ランド」という文字が見えた。不審に思って隣のフェイ・ダナウェイに見せたら、フェイは「ラ・ラ・ランド」のところだけ読みあげてしまった。間違った封筒を渡した張本人二人は、以後協会への出入り差し止めとなった。メリル・ストリープは「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」で主演女優賞候補だった。司会者が「過大評価された女優、メリル・ストリープ」と紹介したとたんメリルは大笑い、場内はスタンディング・オペレーションで拍手。盛り上がった授賞式でした▼本作のディミアン・チャゼルは「セッション」の監督ですね。ハーバード大卒、高校のときはミュージシャン志望でドラムの練習に打ち込んだ。そのときの厳しい先生が「セッション」のJ・K・シモンズに生きている。彼は同作でアカデミー助演男優賞を取っています。チャゼル監督は「狙われた黒鍵」でも脚本を書いた。もともと音楽が好きなのです。だから「ラ・ラ・ランド」でも、ピアノの演奏や歌やダンスシーンは実にうまい。ライアン・ゴズリングは猛練習して自分で弾いている。ピアノのソロの場面にしびれたわ。エマ・ストーンも、田舎から出てきて女優を夢見る、素朴で健康な女の子の感じがよく出ていました。ただ、シンプルなストーリーを長々引っ張りすぎたというか、たいして必要とも思えないエピソードが挿入されすぎたというか、本音をいうと、本作が作品賞の候補にとどまったのは正解だと思うわ▼好きなジャズだけ演奏する、自分の店を持ちたいピアニスト、セズ(ライアン・ゴズリング)が、別れた恋人ミアと数年後に再会する、ミアは結婚して夫も子供も生まれていた、夫とたまたま入った店でステージに現れたオーナーがセズ。彼は夢を叶えていたのだ。売れないジャズ・ピアノストとオーディションに落ちてばかりいる女優が恋に落ち、生活のため夢を諦めるセズに失望するミアも、お定まりといえばいえますが、ロマンティックなピアノ曲や、ミアの切ない恋心がしみじみ伝わって、退屈さから救ってくれる▼ハリウッドは夢を叶える映画が大好きですから、下馬評では「ラ・ラ・ランド」の圧勝かつお祭り騒ぎかと思われましたが、「ムーンライト」が作品賞に選ばれてよかった。「ブロークバック・マウンテン」の二の舞にならなくてホントよかったわ。読み違えのゴタゴタで、印象が薄くなってしまったのが残念だけど、ゲイを主人公にした映画が、史上初の作品賞に選ばれた意味は大きいわ。だって昨年「キャロル」が主演女優・助演女優賞、脚色賞などで、ことごとく受賞を逸したのは、ハリウッドに根強いマイノリティ嫌いがあるからだと、トッド・ヘインズ監督は指摘していたし、呆れたのは「主人公が女性ふたりだったからだ」なんて見方まであったわけね。今回のオスカーをきっかけに、セクシャルマイノリティを積極的に取り上げ、制作する機会が増えるだろうし、映画は社会を動かす力があるはずよ。

 

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