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シネマ365日

2017年4月5日

特集「菜の花の匂うベストコレクション」⑤ 
ヘイル、シーザー(2016年 社会派映画)

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監督 コーエン兄弟

出演 ジョージ・クルーニー/ティルダ・スウィントン/レイフ・ファインズ

シネマ365日 No.2076

だから何なのよ!

菜の花の匂うベストコレクション

昔、東映映画が盆暮れによく、オールスター総出演と称する「忠臣蔵」とか「水戸黄門」とかがあった。本作の、出演者を書ききれない「オールスター」ぶりを見て、ひょいと思い出した。コーエン兄弟のこのノリはなんだろう。大した映画でもないのに、我も、我もと、名だたるスターが出たがる。「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」なんか、冴えなくて売れない歌手の「インサイド」を追体験させられていくうちに、どうでもいいだろ、こんなうっとうしい映画、という気になってしまう。コーエン兄弟とは「分からんやつは、分からんでよろしい」主義に違いない。彼の映画にはいつも、どこかに「憂い顔のキリスト」みたいな表情が潜んでいるか、漂っているのだ。それが、役者も含めて映画業界のプロたちを引きつける、ミステリアスな人気につながっているのでしょうか。どっちにしても、「バーバー」や「ノーカントリー」に比べて本作は退屈だった。映画業界や映画史に通じていないとわかりにくいし、通じていたとしても「それがどうした」といえば言えてしまうのだ。ジョージ・クルーニーにしたって、彼らしい役だとも思えない▼それなのに俳優陣の豪華なこと。しかもチョイ役のチョイ出演が少なくない。ティルダ・スウィントンなんか、双子姉妹のゴシップ記者が、いきなり現れ、いきなり退場する。共産党云々は赤狩りによる弾圧のことか。でしょうね。撮影現場の裏話。監督役のレイフ・ファインズが、アクション映画ならピカイチの役者に演技指導をする。大汗をかいて、「う〜ん、たいしたものだ、そこでちょっと、もう少しこう発音してみたらどうだろう」と、手取り、足取り、若手役者のアクセントを直すのだが全然通じない。監督って、本当にこんな我慢強いこと、やっているのでしょうかね。スカーレット・ヨハンソンは人魚役である。人魚の下半身を脱がそうとしても、ぎゅうぎゅうにタイトだから脱げない。大の男が引っ張り、ヨハンソンの悲鳴とともに下半身が露出する。お産のシーンかと思った▼時代は1950年代。映画が全盛期だった頃。テレビの台頭に映画界は危機を感じ、ハリウッドの命運をかけた対策を製作することになった。超大作「ヘイル、シーザー」だ。シーザー役のウィットロックにジョージ・クルーニー。撮影中、そのウィットロックが誘拐された。エディ(ジョシュ・ブローリン)は、スタジオ内で起こるどんなトラブルにも対応する汚れ役請負人だ。彼はしょっちゅう教会に行き禁煙が守れなかった、二本、いや三本吸ってしまったと懺悔する。たとえ彼と同じ経験があったとしても、なかったとしても、このくだらない退屈なシーンに、共感できるだれかがいるだろうか。ジョージ・クルーニーが古代ローマの将軍だ。大げさなメーキャップでこしらえた顔は、彼が出陣したら退却する「出ると負け」キャラである。スカーレット・ヨハンソンは、苦にがしいといいたげな顔で文句たらたらのセリフ。いくらコーエン組常連だって、もう少し綺麗に撮ってやれよ。そういや、フランシス・マクドーマンドも出ていたはずね。チャニング・テイタムの兵隊さんがチャーミングだったし、ソ連潜水艦の艦長がドルフ・ラングレン、ナレーターはマイケル・ガンボンだ。贅沢極まりないのに、何を取っても、誰を取っても、代表作にほど遠い、軽くてありふれていて、そのくせ揶揄に満ちている。癪にさわるばかりだ。やっぱり言ってやる。こんな映画、だから何だっていうのよ!

 

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