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特集「菜の花の匂うベストコレクション」

2017年4月8日

特集「菜の花の匂うベストコレクション」⑧ 
パリ警視庁:未成年保護特別部隊 (2011年 群像劇映画)

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監督 マイウェン

出演 カリン・ヴィアール/マイウェン/エマニュエル・ベルコ

シネマ365日 No.2079

未成年虐待の衝撃

菜の花の匂うベストコレクション

続いてマイウェン/エマニュエルの監督・脚本による「パリ警視庁未成年保護特別部隊」。カンヌ国際映画賞で審査員賞を受賞しています。ドキュメンタリー・タッチで、未成年を犯罪から守る保護部隊の刑事たちを描きます。彼らの活動を内務省から派遣されたカメラマン、メリッサ(マイウェン)が行動を共にしながら記録していく。まとまりが散漫な印象もありラストが唐突、なんでこれがカンヌで、と思いましたが、虐待する大人・虐待を受ける子供たち、それを毎日目の当たりにし、無力感に落ち込む刑事たち、私生活で犠牲を強いられ夫婦仲の亀裂や離婚に至る仲間・同僚、あるいは職場での衝突、派手な喧嘩、それらのシーンがスピーディに切り替わり、社会の現実感がひしひし伝わる。その迫力は充分でした。犯罪とはかくも毎日次々と生じ、俺たち・わたしたち、追いつく暇もない、でもやらなくちゃ…決してうずくまらず前に進む彼らの仕事に、いちいちまとまってなんておれない実務を追いかけたらこんな映画になるか、というところですね▼未成年保護部隊が男女国籍混成部隊でして、基本二人一組で捜査・取り調べにあたります。二人の息があっているとは限らない。今まで我慢してやってきたが、ナディーヌ(カリン・ヴィアール)はプッツン。「あなた、わたしの上司? いちいち指図しないで!」受ける相棒のイリス「勤務中、フェイスブックを見ているわ!」「わたしは今朝、生後11か月の女児の裂けた膣を見せられた。何か月も犯されていたのよ。仕事ならわたしは真面目に働いているわ」「怒れるマダムの主張ね。今だけじゃなくていつも無駄話」「あなたはああしろ、こうしろと押し付けるだけ」騒ぎが聞こえて上司同僚がなだれ込んでくる。ナディーヌ「イリスのせいでわたしは愛する夫を見下してしまった。彼女では男が逃げ出しても当然よ!」話が違うと思うがこうなると「言った者が勝ち」である▼逮捕した少女は女性刑事ノラに「牝豚、メス犬」と罵る。「けっこうじゃない。自分の女友達を男3人に犯させておいて、逮捕されて当然さ。黙れ」。ノラはイスラム系だ。彼女が担当した別の虐待容疑の男は「わたしは父親だし、娘に結婚させようとしただけだ」「娘は望まない男と結婚させられ性行為をさせられたのよ」「お前、コーランを読んだか。恥を知れ!」「恥を知れ?父は娘に結婚を強制してもいいとコーランのどこにかいてある?女は働くなとどこに書いてあるのよ!」ノラの怒りがふつふつ。こんな父親のために娘は売春同様、結婚させられるのだ。同僚が止めに入らなかったら父親はどうなっていたかわからない。ある日母親が相談に来た。娘の様子がおかしい。担当者は根ほり葉ほり聞く。母親は言葉につまり涙を浮かべる。「話してくれないとわからない!」わからないのはお前だ、こんな若い男の担当者でいいのか、そばにいる中年の女性刑事は何をぼんやり聞いているのだ、なぜ代わってやらない、父親の性的虐待、近親相姦に決まっているだろ。母親がスラスラ喜んで話せることかよ!▼こういう具合に観客を巻き込みながらマイウェン監督、自分はしっかり主役級で恋愛を成就させます。相手のフレッドは熱血刑事。仕事一途で家庭内離婚の危機だ。半年間野宿し、金も体力も尽きた母親が幼い息子を伴い保護を頼ってくる。母子で収容できる施設を探すが、子供しか受け入れるところがない。母親と引き離されるとわかった子供は悲鳴をあげて泣く。フレディは抱きしめ「お前は強い子だ、そうなることをママは願っている、泣くのをやめろ」頬ずりし静かに語りかけ、いつか自分も泣いている。どっちもパートナーがいたが、二人は再婚する。うまくいきすぎの感あり。監督の盟友エマニュエル・ベルコは刑事スー・エレン役。報道写真の取材で捜査についてくるメリッサがフレッドに足手まとい扱いされる。「彼女に八つ当たりしないで」とかばい、なにくれと風除けになってやる。スー刑事は女性刑事とゲイの関係にあります。誕生日パーティで、彼女とチュッとキスする。「大胆ね〜」となんとなく羨望の声あり。人事異動発表。大喧嘩した二人のうちナディーヌが昇進、イリスはグループ長に。多分ナディーヌの職階が上なのでしょう、イリスは衝動的に窓から身投げします。死なせる必要があったとは思えないけど。売春、幼児売買、近親相姦、性的虐待を犯罪としてリアルに突きつけた衝撃感に一票。

 

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