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特集「菜の花の匂うベストコレクション」

2017年4月11日

特集「菜の花の匂うベストコレクション」⑪ 
ロストガール(上)(2010年 ヒューマン映画)

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監督 ジェイク・スコット

出演 クリステン・スチュワート/ジェームズ・ガンドルフィーニ/メリッサ・レオ

シネマ365日 No.2082

「最悪だね」「そうね」

菜の花の匂うベストコレクション

交通事故で娘を亡くした両親と、母親を亡くした娘が、ニューオリンズでめぐりあった、父親のダグ(ジェームズ・ガンドルフィーニ)は不倫相手のヴィヴィアンにも先立たれ、生きる希望を失くしていた。妻ロイス(メリッサ・レオ)はショックで引きこもり、家から外に一歩も出ない。ダグはニューオリンズに出張し、ストリップ劇場に入った。ダンサーのマロリー(クリステン・スチュワート)が、個室へ行こうとさかんに誘う。手だけならいくら、舌も上手だと売り込む。ダグは個室には入ったが、娘に似たマロリーにとてもその気になれない。食事に入ったダイナーで、店を終えたマロリーが来た。親しみを感じたダグは食事をおごり家に送ってやる▼ダグと妻の間は娘の死から深い溝ができた。マロリーが未成年でフロリダから家出してきて、家賃の支払いにも困っているのを見て、ダグは1日100ドル「セックスなし」で同居することにし、妻にはしばらく帰らないと告げる。16歳でストリップのダンサー兼売春をしているのだから、学校にも行っていない。言葉遣いも生活管理もひどいものだ。ダグはトイレの汚さに腰を抜かし、スーパーに走って掃除用具一式を揃え家中を掃除した。妻は一念発起、長い間触ったことのないハンドルを握り、インディアナポリスからニューオリンズまで、生まれて初めての長旅に出発したのだ。途中入ったことのなかったバーで、初老の男に話しかけられた。しばらく相手をしたロイスが「そろそろ行かなくちゃ」と立ち上がった。男は「失礼した」。「いいえ、嬉しかったの。誰かに誘われるなんてしばらくぶりだから」とロイスははにかむ。「話せてよかった」近くの農夫だろうが、男は礼儀正しくロイスを送り出した▼こちらニューオリンズ。ダグはマロリーが900ドルもの大金を盗まれたことを電話で聞きモーテルに迎えに行く。「何をやってもヘマばかり、何も変わらない、あり金持って行かれた、体を売ってお金を作る」自虐的になるマロリーをダグは怒鳴りつける。「金は大事に扱え。アソコを見せびらかすことでしか、自分を主張できないならそうすればいい。だが君の口の利き方にはウンザリだ。教養のない安い女だと思われるぞ。たとえそれが真実でも隠していろ。今後ファックと言ったら罰金だ。わかったら服を着ろ、シャワーを浴びて歯を磨け!」ダグの剣幕に、マッリーは本気で親身になってくれていることを感じたのだろう「怒らないで、ダグ。指図されるのが嫌いなだけなんだ、言葉には気をつけるよ」神妙にいうことをきいた。ロイスは車をボコボコにしながらニューオリンズにたどり着いた。久しぶりに夫婦はやさしい抱擁を交わした。マロリーを紹介されたロイスは「あなた、正気?」呆気にとられ「彼女を助けるのがあなたの務め? わたしの事はどうなの? 30年連れ添って電話1本でいきなり捨てるの? どうしたいか話して。逃げたいの? 隠れたいの? ストリッパーを娘代わりにしたいの?」妻の迫力に夫はタジタジ。「ここにいたい」と答える。「じゃ、あなたはここですべきことをして。わたしもここにいて助けてあげるわ」ドッシリ腰を据えた▼仕事から帰ってきたマロリーはためらいがちにロイスを食事に誘う。「ダグと寝たりしてないよ」「信じるわ」ロイスはマロリーが野生児ではあるが、すれても、ひねくれてもいない、嘘つきでもないことがわかっていた。娘エミリーを失ってから夫婦仲が上手くいかないとロイス。自分の母親も交通事故で死んだとマロリーも打ち明け「エミリーはいくつだった?」と訊く。「15歳よ」「最悪だね」「そうね。最悪ね」ロイスは世間の人の、整った儀礼的な慰めより、マロリーの妙な言葉遣いに素直に頷くのだった。

 

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