女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss
  • ブックマーク

特集「最高のビッチ」

2017年4月17日

特集「最高のビッチ2」⑤ 
キャメロット禁断の王城(上)(2011年-2012年 TVドラマ)

Pocket
LINEで送る

監督 クリス・チブナル/マイケル・ハースト
出演 ジェイミー・キャンベル・バウアー/エヴァ・グリーン

シネマ365日 No.2088

エヴァのビッチ全開

最高のビッチ

本作はアーサー王伝説に基づいたテレビドラマ。お堅い史実ものかと思っていたら、第1シリーズ10話で放映打ち切りになった。理由は過激な性愛シーンだそうだ。この手のシーンにほぼ出ずっぱりだったのがエヴァ・グリーン。主人公アーサー王の異母姉に当たるモーガンを演じました。彼女は闇の魔術を操る魔女である。王位に異常に執着し、陰謀術策を繰り出す。愛欲を操るのはお手のもの、同盟を持ちかけた男があっさり殺されると「男は当てにならないわ」さっさと次の策略に移る。彼女が魂を売った相手は誰か。もちろんこの世の存在ではない、劇中では名前を与えられておらず、単に「力」と呼ばれる冥界の王。仮にサタンとしよう。モーガンは戦略に行き詰まると、真夜中、深い森に来て自らの盟主に語りかける。「探したのよ。来てくれなかったわね」とか、いうなれば彼女はサタンの一族である。娘であり、妻であるのかもしれない。女性が世界史と文化史の上で連綿と担い続けてきた「サタンの星」の申し子なのだ▼女にはどうしようもない、男の手に負えないところがあると、いちばんよく理解していたのは男たちだった。自分たちにとって理解不能の存在と惑乱の源泉を、都合よく押し込める何か、象徴でもアイコンでも呪いでもいいが、それをこしらえ、制度や組織を支配する仕組みに織り込むことが原則を尊ぶ男社会では肝要である。世間を混乱させ横紙破りを行い、その結果いわゆる悪を蔓延させ、人を狂わす淫乱・悪霊の憑き物として魔女やら狂女を作り出した、ところがその子孫たちの中で、彼女らこそパワーとエネルギーの源泉であり、クリエイトする力そのものじゃないの、と気付いた女たちがアートの世界になだれ込んだ。彼女たちの魅力に惚れ込んだ女たちが後に続き、映画の世界では特に、パワフルな震源地になった。その一人がエヴァ・グリーンだ。彼女の、冥界の女、社会的逸脱女性、一言でいえばマイノリティに対する偏愛は尋常ならざるものがあり、実力の割には出演本数の少ないキャリアを振り返ってみると、ンま、ラブコメなし、ロマコメなし、まともな、と言うか、普通にわかりやすいラブストーリーなし、可愛らしい恋人役希少、そのかわり過激なアクションにラブシーン、ベッドシーンに、果たしてその必要があるのかどうか首をひねるほど、スッパリ脱いでしまう脱ぎっぷりのよさ、恋愛ものに一顧も与えない可愛げのない性格、メロドラマが嫌いなことにかけては、女アントニオーニか。縦軸を徹底させていることに一驚する。メークにしても似たことが言える。目の周りを黒っぽくするのが好きで、決して悪いとはいわないが、行き過ぎでせっかくの美貌がヘレナ・ボナム=カーターみたいになってしまう。あ〜あ、こんな面白い顔になっちゃって。彼女はメークそのものが、下手なのか苦手なのか、嫌いなのではないかと思わざるをえないほど、ワンパターンなのである▼本作のモーガンは、5世紀のブリテンのウーサー王の娘だが、屈折した育ち方をした。15年ぶりに父王の前に現れたが、父は娘に冷たく、修道院にすぐ戻れという。二度目の妻を娶るとき、父は娘を修道院に送りこみ、以来見向きもしなかったのだ。修道院から逃げてきた娘に優しい言葉一つかけない。娘は昔も今も、自分に対する父の仕打ちは変わっていないと知ると、こんなやつ、父でもなければ王でもない、生かしておくわけにはいかぬ、と判断する。彼女はのちに「父から強さを学んだ」というが、暗殺を遅疑なく実行する決断こそ、強さでなくて何であろう。彼女は冥界の王サタンから魔術を学んだ。王の側近にマーリン(ジョセフ・ファインズ)という魔術師がいる。正体不明だが、毒を盛られて絶命寸前の王に、王が昔、産ませた息子アーサーに王位を譲るとサインさせた▼つまり、アーサーはモーガンの異母弟である。彼は自分の出自を知らず、田舎で平和に暮らしていた。4人家族の末っ子として可愛がられる活発な美少年だ。マーリンが訪ねてきて王の後継者だと明かす。アーサーは運命に導かれ、王城キャメロットの城主となるべく、異父兄にしてこよなき参謀となるケイと出発する▼物語はすらすらとつつがなく進む。しかし、この若き王はどこまでもアマちゃんなのだ。マーリンに頼り、ケイを当てにし、自分で行動するのは臣下の娘、美人のグィネヴィアを口説いたことだけである。グィネヴィアというのがのちの円卓の騎士の一人、レオンテスの許嫁だったから話はややこしくなる、はずなのに、アーサーは抑制もなく呼び出し、グィネヴィアはこれ一回きりよ、もうだめよ、と言いながら関係を持ってしまう。どっちもどっちである。王ならば何をしてもいいのか、あべこべだろ。真逆を行くのがモーガンだ。目的のためには脇目もふらない、強い男と同盟を結び「マヌケ」と叫んだために男を怒らせ、一晩丘の上で縛り上げられ放置される。しかるに魔王サタンは「あの男は間違いだ」と告げるではないか。え〜?王位奪還のパートナーにふさわしい男じゃなかったのかよ。ドジ踏んじゃった。男が戦で死ぬとモーガンは次なる手を打つ。アーサーは姉がいることを喜び、招待に応じてキャメロットから古い姉の城・ペンドラゴン城に来る。モーリンはモーガンに関わったらろくなことはないと渋い顔だ。アーサーは「仲良くやりましょう、姉上」と共同統治を持ちかけたが「二人で国の統治はできない。あなたに国は不要。でもわたしには全て」。野望を隠そうともせず、義弟の歩み寄りを退ける。ある夜、サタンが黒犬に姿を変えて現れた。モーガンはスルスルと全裸になって「わたしがすべきことを言って」と頼む、というより命じる。地獄の沙汰もヌード次第なのか。とにかくエヴァの悪女ぶり全開の一編です。

 

Pocket
LINEで送る