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特集「頑張るドイツ映画と女性監督」

2017年4月24日

特集「頑張るドイツ映画と女性監督」② 
点子ちゃんとアントン(2001年 家族映画)

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監督 カロリーヌ・リンク

出演 エレア・ガイスラー/ユリアーネ・ケーラー/シルヴィー・テスチュー/マックス・フェルダー

シネマ365日 No.2095

けっこうなリアリズム

ドイツ女性監督

ルイーゼ(エレア・ガイスラー)は点子ちゃんと呼ばれるおしゃまな女の子。パパは心臓外科医、ママ、ベッティーナは慈善活動で世界中を飛び回っている。点子ちゃんの友だちは家庭教師のロランス(シルヴィー・テスチュー)、家政婦のベルタ、クラスの仲良し、アントン(マックス・フェルダー)だ。アントンの家は複雑で、父親は早くに亡くなった、母親エリーは病気で仕事を休んでいる。アントンは母親の代わりに、学校が終わったらアイスクリーム店に仕事に行く。夜遅くなるのでつい授業中居眠りをしたら、先生は「お母さんに手紙を書く」と言った。働いていることは母親に内緒だ。点子ちゃんは先生に事情を打ち明け、手紙を書かないでおいてもらう。アントンのママはフープの名人だった。体の調子のいいときにママが見せてくれるフープの妙技にアントンは見惚れる。ママはいつもアントンを抱きしめてくれる。点子ちゃんはそれが羨ましくて仕方ない▼久しぶりでママがアフリカから帰独した。点子ちゃんはママに抱きつきたいのに、ママは疲れていると言って寝てしまった。夜は報告会に出て、点子ちゃんは留守番だ。面白くない。アントンが働くのは、1000マルクあればママを海辺に連れて行って療養させられるからだ。気候のいいところでゆっくり休養を取ればママの気管支炎はよくなるらしい。パパに貸して欲しいと頼んだが、子供が持つには大金すぎると断られた。パパもママも、点子には無関心だ。ロランスは暇があればボーイフレンドのカルロスとイチャついている。点子ちゃんの家でパーティが開かれることになった。たくさんの人が招待される。点子ちゃんがアントンも呼びたいというと、ママはアントンが貧しい家の子だということで難色を示した。行儀よくして8時半には帰ることを約束して、呼んでもいいことになった。アントンは白いワイシャツに黒いズボン、花を持って招待のお礼を言おうとしたが、ろくに顔も見てもらえなかった。つまらない。広い豪邸を歩き回っていたアントンは、テーブルの上に置き忘れられたライターに気づく。金でできた高価なものだ。売ったらママを海辺に連れて行けるだろう。アントンは思わずポケットに入れてしまった▼点子ちゃんはママがインドに行くと聞いて切れてしまった。なぜ慈善活動で世界を飛び回っているのか、なぜアントンのママみたいに、いつもそばにいてやさしく抱いてくれないのか、ママがインドに行くなら「わたしもいく、一緒にいる」といった。エリーが訪ねてきて「息子がライターを持って帰った、お返しに来た」とベッティーナにいうと、「盗んだのは犯罪だ、躾がなっていない」と厳しく譴責された。息子のやったことは「ほめられたことではないが、アントンはいい子です。その言い方はあんまりです」とエリーは反駁して帰った。それを見ていた点子ちゃんはママに「謝って」と頼むが、ママは子供の盗みなど、絶対に許さない。1000マルクを稼ぐため、点子ちゃんは駅前で歌を歌うことにした。元気のいい歌声に大人たちは足を止め、1日で80数マルク稼いだ、と点子ちゃんは鼻高々。クラスの悪ガキが親にチクってやる、嫌ならあがりをよこせと脅しに来たが追い返した。点子ちゃんは強いのだ▼100分そこそこの尺なのに中身がぎっしりだ。点子ちゃんもアントンも、子供目線にしては出来すぎているし、しっかりしすぎているが、ふむふむ、こういう子、いたいた、とどこか思い当たる子供像にしてしまうのが原作者ケストナーの筆だろう。ベッティーナにはヨーロッパを代表するユリアーネ・ケーラー、ロランスにシルヴィー・テスチュー。フランソワーズ・サガンそっくりだった「サガン」は記憶に新しい。コソ泥カルロスをフライパンでノックアウトする家政婦のベルタも頼もしい。悪人は一人もいないが退屈にならないのは、家庭内、夫婦、職場、いたるところにいる「あぶない父親、あぶない母親、あぶない男、あぶない女」たちが等身大で等身大の問題を担っているからだ。ファンタジーみたいな味付けは見かけだけで、この映画の登場人物たちが見せるリアリズムはけっこう、値打ちものである。

 

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