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特集「B級映画に愛をこめて」

2017年5月1日

特集「B級映画に愛を込めて6」① 
インフォーマーズ セックスと偽りの日々(2009年 劇場未公開)

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監督 グレゴール・ジョーダン

出演 ビリー・ボブ・ソーントン/キム・ベイジンガー/ミッキー・ローク/ウィノナ・ライダー/アンバー・ハード

シネマ365日 No.2102

陰々滅々

B級映画に愛をこめて

すごい俳優ばっかり出ているのに、かえってそのせいでこうなったのか、まとまりのない映画ね〜。キム・ベイジンガーとミッキー・ロークなんて、ふたりの名作「ナイン・ハーフ」が泣くわ。アンバー・ハードの登場シーンはほぼ裸。キレイだから脱げばいいってものじゃないでしょ。彼女は(多分)エイズで最期を迎える、悲惨なラストです。「セックスと偽りの日々」というサブタイトルが内容を凝縮している。登場人物はこれといった目的のないセレブばかり、暇にあかして怠惰な暮らしに浸り、ドラッグとセックスと殺人に人身売買、登場人物のだれも幸せでなく、夢もなく、努力もせず、愚痴を言い、不幸せを人のせいにして、愛を信じないくせに、開き直って非情に徹する強さもない。この映画、日本で劇場未公開だった。無理ない▼そんな中で存在感を放っているのはキム・ベイジンガーとビリー・ボブ・ソーントンだ。離婚した夫婦、ウィリアムとローラを演じる。ウィリアムは映画プロデューサー。離婚の原因はニュースキャスターのシェリル(ウィノナ・ライダー)との浮気だった。ローラはショックでウツ状態。正気のときのほうが珍しいと子供たちがいう、かなりの重症だ。子供とはいうものの、いい青年であるグレアムと娘がいる。娘は父親が母親を破滅させたと思っている。ウィリアムが復縁を言ってきた。魂胆はわからないが娘は強硬に反対する。どうせ父親はまた浮気する。今度こそ母親は立ち直れない。グレアムの彼女がクリスティ(アンバー・ハード)だ。同時に彼の友だちマーティンと寝ている。グレアム・マーティン・クリスティはお互いに関係があって、マーティンはローラとも寝ているが、ローラは「ウィリアムと復縁するからアンタとはこれが終わり」と最後通告を出す▼ティムは父親とハワイ旅行に来た。父親に恨みがあるらしく、機嫌を取ろうとする父親を邪険に扱う。ティム役のテイラー・プッチは「サム・サッカー」の親指しゃぶりの子である。登場人物たちが見事に不幸だ。夫と妻、妻とその愛人、夫と愛人、親と息子、ヤク中のロック歌手、人身売買の男(ミッキー・ローク)、セックス依存症のクリスティは遠からず死ぬ。キャリア・ウーマンのシェリルとウィリアムは未だにどっちも未練があり、別れきれない。妻はそれもわかっている。ローラは夫に訊く。「そのクソみたいな人生で一度くらい正直になって。わたしを愛したことはある? 答えて」「わからない」「孤独になるのが怖い? それとも財産の半分をわたしに渡したくない?」「そうじゃない」「一緒にパーティに行くわ。愛想笑いを振りまき、お酒も飲んで夫婦円満をアピールし、家に戻ったら出ていって」「なぜパーティに行くのだ」「あの女を見たいの」ローラはリムジンからウィリアムを下ろすと、ちらっとシェリルに一瞥を与え、車を出させる▼グレアムはクリスティの女友だちレイチェルから「大変なの。クリスティが重症よ」と電話を受け、ロス沖を望む海辺に着く。「彼女を愛しているでしょ」とレイチェルが訊くと「それが彼女の助けになるか」と答えるのだから、乾きすぎ。クリスティの皮膚にはすでに斑点がある。「わたし、ここにいたい。日に当たりたいの」とつぶやく。「太陽は沈んだ」とグレアム。誰もが生きる努力を、あるだけの力をふるって生きようとする熱を放射していないのだ。ミッキー・ロークに至っては幼児誘拐・虐待、殺人未遂のまま、プッツンとスクリーンから消える。彼の友人役がブラッド・レンフロでこれが遺作になった。25歳の若さだった。気の毒に。そういえば、この映画、必然があったようには思えないのに、死ぬ、もしくは死を暗示される人物が多い。「セックスと死と偽りの日々」ね。

 

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