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特集「B級映画に愛をこめて」

2017年5月3日

特集「B級映画に愛を込めて6」③ 
サスペクツ・ダイアリー すり替えられた記憶(2015年 劇場未公開)

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監督 パメラ・ロマノフスキー

出演 ジェームズ・フランコ/エド・ハリス/アンバー・ハード/クリスチャン・スレーター

シネマ365日 No.2104

つまらん 

B級映画に愛をこめて

映画の出来云々以前に、どうにもこうにも、主人公たちのピント外れがイタイ。幼児虐待の体験を本にした作家、スティーブン(ジェームズ・フランコ)とその恋人でタイムズの記者ラナ(アンバー・ハード)なのだけど。記憶は変質する、ただそれだけのことを「すり替えられた」と、まるで脳外科手術でも無理やりやられたようなタイトル。虐待だ、虐待だと本人は本にまでしたのだけど、サイン会に死んだはずの父親ニール(エド・ハリス)が現れ、「お前は路上生活も入院もしていない、大ボラ吹きのクスリ漬けの、金目あての負け犬だ」とスッパ抜いて去る。本当のことなのよ。父親に受けた仕打ちが原因でスティーヴンはぐれてしまい、ありとあらゆる品行不良の挙句、虐待を「売り」にしたわけね。でも虐待たるや、これが都合のいい「記憶のすり替え」で、父親が厳しくしつけただけ、それもクスリでいかれてしまった息子をもとに戻そうと、やかましく言った、せいぜいひっぱたいたとか、そういうことなのよ▼最初の疑問なのだけど、スティーヴンの少年時代って、仮に現在30代なかばとしても70歳、80歳の人が省みる大過去とは段違いの近過去でしょう。じぶんのドラッグ依存を棚に上げて、父親が虐待したとは、記憶がすり変わったのではなく改竄したというほうが正しい。要は嫌なことから逃げて、負け犬でしかない自分を父親のせいにしたかっただけ。エージェントがせっかくいい出版社からの原稿依頼の仕事を取ってきたのに、妻殺し・子供虐待で逮捕された男ハンス(クリスチャン・スレーター)の裁判に、興味を持ったスティーヴンは、傍聴席でタイムズの美人記者ラナと出会い一目惚れ。事件の真相を知りたいと探索に乗り出し原稿執筆をおっぽり出す。エージェントこそいいツラの皮だわ。虐待が作り話だと、父親に暴露された息子は信用ガタ落ち。謝罪文でも出すのかと思ったら、児童収容施設のデータから、よく似た体験者を割り出し、手記を書き換え、あれは親父の錯覚で、この通り施設に入院記録が残っているとでっち上げるのよ▼その記事を検索してスティーヴンに教えたのはタイムズのラナ記者で、腰を抜かしかけたのだけど、彼女が言うのは「ちょっと手直しして使えば」というイカサマのおすすめよ。よくタイムズが訴えなかったわね。ゴロツキみたいな作家くずれと、平気でガセネタを書けという新聞記者が主人公で、この映画は何にどう、感動しろというの。おまけに二人してガバガバ、クスリ飲んで、女に俺の首を絞めろ、爪で引っ掛け…うるさい男ね。さすがのラナも怖気ふるって「もう電話してこないで」。ラナは継父との間に性的虐待があったことをほのめかすが、具体的にはわからない。本人たちの曖昧模糊とした記憶の上に成り立っている物語を、「すり替えられた」と馬鹿らしい邦題にしただけよ▼たまげることはまだある。ハンスだけど、どことなく「ゴーン・ガール」のノリだなと思っていたら竜頭蛇尾もいいところ。無罪を主張し、妻は失踪したと頑なに言い張っていた彼は急転直下、殺人を自白する。クリスチャン・スレーターよ、何のためにあなた、出てきたの? ハンスの裁判を傍聴して、スティーヴンが自らの過去と重ね合せる、ただそれだけの役ね。品行はともかくクセのあるいい役者なのに、人をバカにしたチョイ役なんか引き受けてどうするの。スティーヴンは、つらつら過去を顧みて、あれは虐待でもなんでもなかった、自分が悪かったと気づき、父親の家を訪ね仲直りする。ケンカ別れしていた竹馬の友にもワビを入れ旧交を復活させる。ラナ? さあね。ラストで川のほとりを歩いていたけど、何を考えているのか、もはやどうでもいい、寝るわ。

 

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