女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集 LGBTー映画にみるゲイ

2017年5月13日

特集 LGBT—映画に見るゲイ213 
薔薇は死んだ(上)(2015年 日本未公開)

Pocket
LINEで送る

監督 アッティア・スアース

出演 パトリシア・コヴァート/ドルカ・グリッウス/ラウラ・ドープローシ

シネマ365日 No.2114

浮気はわたしのせい?

特集「LGBT—映画に見るゲイ」

ハンガリーの映画です。日本でほとんど馴染みのない監督と女優で、しかも未公開でしたが、いい映画だった。名前から推して監督は女性だと思います。主要人物は女性3人。クルチザンと呼ばれる高級娼婦エルザ(パトリーシア・コヴァーチ)。彼女の家政婦ロージ(ドルカ・グリッウス)、新しく雇われた若い家政婦のカトゥ(ラウラ・ドープローシ)。舞台と時代は第一次大戦前夜、ドナウの真珠と呼ばれた、オーストリア・ハンガリー帝国の首都ブダペスト。エルザはブダペストの政財界、出版・映画界のトップ人事を動かせる影の女王。家でも外でも人は彼女を「エルザさま」と呼ぶ。一流のレストラン、ホテル、ブティック、どこであろうと一歩足を踏み入れるとス〜と人が左右によけて道を作るのだ。エルザにいわせると、でも他の女は「わたしの努力を知ろうともせず、嫉妬して運の悪さを嘆くだけ」▼ロージのお情けで雇ってもらったカトゥはなぜかエルザに気にいられる。「顔を上げてわたしを見るの。いい?常に堂々としていることが成功の秘訣よ」アドバイスだけでなく、惜しみなく衣服や宝石を与える。ロージがそれを苦しそうに見ている。ロージもエルザも家政婦上がりの娼婦だった。親友だった。一時同居していたが、エルザは持ち前の才気と美貌でたちまち富と名声を手に入れた。ロージは、今はエルザのそばにいて家事、身の回りの世話をしている。エルザは文化人や政治家を招いて、屋敷で会食することがある。カトゥはある夜、初めてテーブルについているエルザの後ろ姿を見た。その席で来客のワイングラスを割ってしまう。カトゥをクビに、というロージに「たいしたことじゃない、許すわ」。「わたしには厳しいのに」ロージはナイトキャップをエルザの寝室に運ぶ習慣がある。「コニャックです」。エルザは一口飲み、いけるわ、とかいいながら残りを盆に返す。ロージは断りもせず、それを飲み干す。この二人の、長い、普通ではない関係をわからせるシーンです▼エルザの現在のパトロンは建築士のマックスである。住んでいる屋敷も彼の設計による。週に1回やってきて、エルザとセックスして帰る。エルザはある日カトゥに「誓いを守れる?」「はい」「わたし、浮気しているの」相手は詩人のゲルゲイだった。若い売れっ子の詩人だ。カトゥは晩餐会の席で彼を見かけ恋心を抱いた。「結婚前に男性と寝たら罪なのでは」カトゥが尋ねるとロージは「あのふたりにとってはこれでいいのよ」。しかしゲルゲイとは「別れて」とエルザに頼む。「無理だったのよ。とろけるような詩を送ってきたわ」「マックスに知れたら?」「それはないわ」。エルザは映画を作りたい。「ジャンヌ・ダルク」だ。脚本はゲルゲイに書かせる。監督は誰それと割り振り、資金を出してくれとマックスに頼む。マックスは断り「しかしカトゥがジャンヌをやるのなら、その倍を出そう」という。18歳のジャンヌを35歳のエルザがやるのか、と言外に嘲笑がある▼それでエルザがカトゥに八つ当たりするかというとそうでもない。よくよく気にいっているのだろう。こうも教えた「堂々としなさいと言ったでしょ。他にも成功の秘訣があるわ。お金よ。大金よ。両親は石鹸工場で働いていた。貧しかったわ。脚を開けば贅沢ができるけれど、本当に大変なのは関係を持ってから。マックスのような男は大勢の女が狙っているの。彼も、わたしに会うまでは、多くの女と浮名を流していたのよ。あなたが脚を開くのは、贅沢をさせてくれる男よ。そんな男をつなぎとめないとダメ」。マックスはエルザに男がいるという情報を聞き、留守中訪問してロージを呼びつける。ロージとマックスも昔関係があった。マックスはエルザの情人について探り、聞くだけ聞くと冷たく「40歳をすぎた女は臭い」そういってロージを下がらせる。エルザが帰宅した。男の険しい表情に顔色も変えず「あら、マックス、来ていたの」。マックスは「ゲルゲイと寝たのか」「仕方なく」「なんだと?」「体で払ったの」「何を買ったのだ」「映画の脚本料よ」。お前が金を出さないというから、自分で作ったのだ、文句あるかということね。マックス「わたしが悪かった。出資すれば貞節を守るか」「浮気はわたしのせいなの、マックス?あなたはわたしを恥じているわね。家族にも会わさない。わたしは5年間求婚を待っているの。ゲルゲイは3週間でプロポーズしたわ」「君を信じられないからだ。詩人、市長、ピアニスト、君が身を委ねた男全員だ」「それだけ?それが唯一の障害なら今後は貞節を守るわ」ケロリという。マックスは忌々しげに小切手を切る。勝負あった、ね。

 

Pocket
LINEで送る