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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2017年5月22日

特集 LGBT—映画に見るゲイ222 
モナリザ(1987年 ゲイ映画)

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監督 ニール・ジョーダン

出演 ボブ・ホスキンス/キャシー・タイソン/マイケル・ケイン

シネマ365日 No.2123

やっぱりモナリザは謎

特集「LGBT—映画に見るゲイ」

この映画でよかったところ。①ヒロインである黒人の娼婦・シモーヌのキャシー・タイソンがダントツでイケてる②シモーヌの運転手になるムショ帰りの中年男ジョージの、ボブ・ホスキンスが絶品③ニール・ジョーダンが「ブレイブ・ワン」に先立つ21年前に「裁かない」ラストをすでに見せている。キャシー・タイソンが21歳、ニール・ジョーダンが36歳、ボブ・ホスキンスが44歳、いずれも勢いので盛り、仕事のし盛り、と言える元気なときでした。ホスキンスは本作で英国アカデミー主演男優賞、カンヌ国際映画祭男優賞、ゴールデングローブ賞ドラマ部門主演男優賞を受賞し「スターリングラード」では、フルシチョフの「ソックリさん」を演じました▼ボスのモートウェル(マイケル・ケイン)の身代わりで刑期7年を務め、娑婆に出たジョージ。花束を持って家に帰る。美しく成長した娘に見惚れていると、元妻が「よくも顔を出せたわね」とばかりがなり立て、叩き出してしまう。小太りな体躯に後頭部が剥げ、粗末な見なりにどことなく哀愁の漂う親父だ。ジョージはモートウェルの手下から、黒人の美貌の高級娼婦、シモーヌの送迎運転手の仕事をもらう。長身痩躯のシモーヌがジョージと並ぶと首一つ高い。シモーヌは高級ホテルの客を相手にSMプレイで稼ぐコールガールである。寡黙で冷静で、視線が鋭く理知的でスタイリッシュだ。ヘンテコな服装で高級ホテルのロビーをドカドカ歩くジョージに閉口し、シモーヌは紳士服店でスーツにネクタイ、コート一式を揃えてやる。ろくに自分に口をきかず、あれこれ指図するシモーヌを、ジョージはアタマにきて置いてきぼりにしたりするが、やっぱりシモーヌが気になる。というのも、ジョージはこう見えてダ・ヴィンチのモナリザが好きで、複製を部屋に貼り、シモーヌの謎めいた挙措容貌にモナリザを重ねていたのだ▼シモーヌは仕事の帰りに立ち寄る場所があった。キングスクロス、街娼の溜まり場だ。自分も昔そこに立っていた、とシモーヌはポツポツ身の上を話す。アンダーソンと言うポン引きに友だちとふたり、客を取らされていた、傷つけると脅してはいい女だと褒め、褒めたと思えば殴って脅すのがヒモの手口で、すぐに殴りドラッグをうち、女を中毒にする。あのストリートに立って1年半体が保てばいい方よ。わたしはある日海辺の町に逃げ出し、夏中滞在してお金を貯め、ロンドンに戻り高級ホテルでの商売を覚えて世界を変えた。友だちを探し出したいの。キャシーというのよ。ロンドン出身で若い綺麗な子よ。手にタトゥがあるわ。絶対に見つけたいの…シモーヌは探索方をジョージに頼んだ。ジョージはシモーヌの仕事の待ち時間の間、キングスクロスでキャシーを探した。ジョージにはトーマスという推理小説マニアの親友がいる。ジョージは推理小説のネタ提供と称し、その日の出来事を言って聞かせる。この友だちはジョージが「痩せた黒人の娼婦」に惚れてしまったことを知っている。だからジョージがシモーヌを助けるなら、俺も手伝ってやるという、いいやつだ▼ジョージはキャシーを探し当てた。キャシーはアンダーソンに客を取らされていた。アンダーソンの黒幕はモートウェルだった。ジョージはキャシーを連れ出しシモーヌに会わせホテルの一室に匿った。ドラッグが切れ、苦しんでいるキャシーに薬を買ってきてくれとシモーヌが頼む。ジョージが薬局から帰ってきて目にしたのはベッドに横たわるふたりだ。ジョージは「君のことが好きだ」とシモーヌに打ち明けた。家庭を持ち子供を作り、一緒に暮らしダンスを踊る、男と女とはそういうものだというジョージに「悪いけどできないわ」「本当のことを言え。キャシーが好きか。俺は利用されただけか」「彼女にはわたしが必要なの。ジョージ!後ろ」追ってきたアンダーソンと手下をまき、ホテルに逃げ帰るとモートウェルが腰掛けキャシーの寝顔を眺めていた。マイケル・ケインのカエル目が、いかにもいやらしい。女に言うことをきかすには殴るに限ると信じている男たちがいる。彼らは暴力を受ける女が、肉体ではなく心に傷を負っていることなど想像したこともない。殴りつけるアンダーソンからシモーヌはもう逃げもせず、容赦もしなかった。ためらわず発砲し、男たち全員を射殺し、ジョージに銃を向けた。「俺まで撃つつもりだな。俺も奴らと同じか、クソ女」ジョージは吐き捨て、ホテルを出た▼ジョージはトーマスと自動車整備の仕事をしている。推理小説の筋書きを話してやっている。「男は女を愛した。女も愛していた。でも相手はその男ではなかった…」。シモーヌとキャシーの「その後」に監督は触れない。彼の後の映画、例えば「クライング・ゲーム」のように、服役したシモーヌにキャシーが面会に行き、出所する日を待つのか、「ブレイブ・ワン」のように、男たちの処刑は当然と見なされ、事件は悪人同士の闘争として落着したのか。わからない。やっぱりモナリザは謎だ。

 

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