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特集「クラシック音楽の名場面」

2017年6月5日

特集「クラシック音楽の名場面」⑤ 
最強のふたり(2012年 事実に基づく映画)

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監督 エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ

出演 フランソワ・クリュゼ/オマール・シー

シネマ365日 No.2137

ヴィヴァルディ「四季」

01-05_クラシック音楽

富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)の誕生会が邸宅で開かれた。フィリップは頚椎損傷で首から下が動かない。車椅子で出席する。クラシック音楽と絵画が好きだ。彼の介護人がドリス。スラム街出身で刑務所に入っていた。そもそも介護人の面接に来たのは失業保険の延長のためだから不採用にしてほしいのだ。フィリップは「まあ、二週間は持つまい」といいつつドリスを採用する。ドリスは面接で「あなた、推薦は?」と面接官に聞かれ、「あるよ、クール&ザ・ギャングはオススメだよ」なんて答え「冗談だよ」と笑い飛ばす。フィリップは彼とウマが合いそうだと感じる。もう一つはドリスに前科があろうと過去がどうだろうと、「わたしを身障者でなく対等に扱う」ところだった▼絵の好きなフィリップが展覧会に行く。気に入った絵があった。「穏やかであるとともに秘めた暴力性がある」とフィリップ。ドリス「白地に赤のシミがついている。鼻血ブーの後だろ。これでいくら?ゲッ」たまげるドリスに「なぜ人は芸術に興味を持つと思う」「商売になるからさ」「違う。唯一残せる足跡だからだ」。こんなちぐはぐな会話を続けるふたりが迎えた誕生会だ。フィリップは、招いた演奏者たちにヴィヴァルディの「四季」から「夏」を注文する。その場の空気が入れ替わるようなダイナミックな演奏がスタート、気分よさげに耳を傾けるフィリップ。ドリスはどうでたか。「トム&ジェリーみたいだぜ」。クラシック音楽を意に介さないドリスにバッハを聴かせる。「バッハはやばい。あの時代のバリー・ホワイトだぜ(※)」。むちゃくちゃいっているようなドリスだが、彼の音楽のセンスが本物であることをフィリップは見抜く。クラシック音楽を聴かせてくれたお礼に、ドリスがオススメの音楽を教え踊りだす。ドリスのダンスのシャープな、しかもノリのいい動きに全員が巻き込まれ、車椅子のフィリップも笑顔。中盤で最も盛り上がるシーンです▼しかしドリスの家庭の事情でフィリップの介護を辞めざるをえなくなる。代わりの介護人が来たが、フィリップは気にいらない。ドリスが呼び返される。フィリップは妻を亡くし、今は文通の相手がいた。どんな人だ、身長は、何歳、ダンケルクにいるって?事細かに聞き出すドリスに、やや閉口気味のフィリップだが、お構いなしにとうとう彼女とのデートを取り付ける。しかし彼女は姿を現さなかった。失望するフィリップに、でもドリスは諦めない。母親の違う兄弟、スラム街育ち、貧しく荒んだ生活、ケンカ、ブタ箱入り、服役、事件とトラブルは日常茶飯事、人間のやることに間違いも思い違いもアリさ、紆余曲折も挫折も屁の河童なのだ。再びフィリップの元に戻ったドリスは、景色のいいレストランに車を走らせた。海辺に出た。はは〜ん。特別カンがよくなくても、わかりますよね。ダンケルクだ▼「ランチにしよう」。でもドリスは「俺はここまでだ。ランチには残らないけど、安心して。デートの相手が来るから」そういって席をはずす。彼女が現れた。フィリップの文通相手、エレノアだった。ドリスは彼女の写真を見て「ダンケルクはブスが多いと聞いたけど、彼女、ダンケルクの希少種だぜ」。冗談はさておき、写真一枚を頼りにドリスはエレノアを探し出したのだ。なんて心の熱い男だろう。エンディングはこうだ。フィリップは現在モロッコ在住。再婚して娘が二人。ドリスは会社社長。結婚して3人の子供。今もふたりは強い絆で結ばれている。

※バリー・ホワイト=1944〜2003年。アメリカのシンガー・ソングライター。1970年代に多くのソウル、ディスコミュージックを生み出した。アルバムとシングルの売り上げ枚数は1億枚に達するといわれる。

 

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