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特集「ダンディズム-dandyism-」

2017年6月15日

特集「ダンディズム3」 ⑤ ジャン・レノ 
ザ・スクワッド(2017年 アクション映画)

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監督 バンジャマン・ロシェ

出演 ジャン・レノ/アルバン・ルノワール/カテリーナ・ムリーノ

シネマ365日 No.2147

トクな男 

ダンディズム3

ジャン・レノが演じる男の典型に、頑固な男があります。自分の考えが正しいと思ったら人のいうことをきかない。そのかわり責任をきっちりはたし、結果を出す。組織の中にいてもいなくても、一匹狼である場合が多い。ゆえに孤影がつきまとい、社会から往々にしてはみ出すが、男同士の友情に厚い。「レオン」がそうでした。この映画は「レオン」の30年後のジャン・レノです。パリ警視庁の特捜部隊で指揮をとるセルジュ(ジャン・レノ)は、過激な突撃、暴力的な捜査、銃撃戦も辞さず事件を追い、犯罪者を追い詰める。セルジュのやり方は時代遅れで損害が多く、もっと合理的な捜査に切り替えるべきだと署長は考え、しばしば苦言を呈するが彼はやり方を変えない。しかも署長の妻マルゴー(カテリーナ・ムリーノ)はセルジュ・チームの一員であり愛人だ。早晩署長との衝突は目に見えている▼部下のニールズ(アルバン・ルノワール)はセルジュの右腕だ。火の中、水の中でも飛び込むが、セルジュはどうもマルゴーに本気で惚れているらしいと見当をつけている。ジャン・レノがクマみたいにのそのそ歩く姿に、かすかにレオンの面影が残っている。ジャン・レノは190センチの長身をうつむき加減にしてあまり笑わない。でもこう見えてジャン・レノって実にレパートリーの広い俳優でして、刑事はもちろん、コメディでも殺し屋でもシェフでも収容所の医師でも、なんでもやっちゃうのです。見かけによらず器用な人が、無骨な男を演じます。愛するマルゴーは切れ味の鋭い容貌の、いかにも腕利きの女性刑事って役。彼女がいうには「警察、銀行、強盗には組織として共通の弱点がある。ほぼ男しかいないことよ」。セルジュはこんな辛口のマルゴーがこよなく好きらしい。髭面のセルジュの唇、まぶた、タバコの火口のドアップがスクリーンに映る。マルゴーが「子猫みたいな目ね。他の人には見せられないわ」「そろそろ隠しておけない」「わたしはこのままがいいわ」。ゆえにセルジュは悶々とするのだ▼宝石店で強盗事件が発生した。手口から、セルジュは自分が昔逮捕したカスペールだと睨む。カスペールの自宅に張り込みを続け、仲間もろとも逮捕するが、カスペールはしたたかだった。強硬な取り調べにかかわらず決定的な証拠がなく釈放。セルジュは誤認逮捕の責任を取らされ捜査から外される。署長は「必要なのはドンパチより捜査だ。ここはパリだ。西部劇ではない。カーボーイに用はない」と冷たくいう。セルジュ・チームは解散だ。次の強盗事件が発生する。セルジュたちは命令に背き現場に急行、パリ市街は銃撃戦に巻き込まれた。強盗一味の一人を射殺、あとは逃げた。マルゴーの情報で、彼らが狙っているのは宝石店ではなくデダリス銀行だとわかる。アラブ、ロシアの億万長者が洗浄した金を預ける銀行だ。現金、金塊、何億ドルもの資産が唸る。強盗団が頻発し、銀行は資産の移送を考える、カスペールの真の計画はその移送車の強奪にある。そう読んだセルジュはデダリス銀行に急行する。宝石店は囮だった。地下駐車場でセルジュとマルゴーはカスペールを追い詰めるが、マルゴーは射殺された。署長はセルジュを拘束する。「妻のケータイを見た。君たちのメールも読んだ。絶対に許さない」署長はセルジュを滅多打ちにする▼ニールズが冴えまくる。彼には臨月近い妻がいる。愛煙家だが目下禁煙中だ。ニールズが現場から外されたことを知っているが、それでおとなしくしている妻ではない。怒りを抑えている夫に「行きなさい。きっちりブチのめしてやるのよ」そういって送り出し、一人になってうまそうに一服する。セルジュは解放された。チームは再び集結した。マルゴーを除いて。カスペールを追うセルジュ、と言いたいが「いけ」と命令するのがセルジュ。走るのはニールズである。耳元をかすめる弾丸を縫って、韋駄天のごとく走るニールズがかっこいい。フランス版イーサン・ホークである。宿敵カスペールと相対したセルジュは5発の銃弾を胸に受けながらカスペールを撃ち抜く。防弾チョッキが興ざめでしたけど。ラストは「子供の名前はセルジュにする」とニールズ。「女の子だったら?」「それでもセルジュ」。そうくるか。まあいいか。レオンも年をとったのだから、これくらいは許そう、そう思わせるところがジャン・レノの嫌味のなさね。得な男なのよ。

 

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