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特集「美しい虚無-妄想映画の魅力」

2017年6月25日

特集「美しい虚無=妄想映画の魅力5」⑤
禁断のメルヘン/眠れる森の美女(2012年ファンタジー映画)

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監督 カトリーヌ・ブレイヤ

出演 カルラ・ベスネイノ/ジュリア・アルタモノフ

シネマ365日 No.2157

勘違いしているのが幸せ

特集「美しい虚無=妄想映画の魅力5」

カトリーヌ・ブレイヤという監督の映画、一度見たいと思っていました。処女作「本当に若い娘」でセックスの描写が過激だとR18の指定を受けています。それに比べると、本作は随分ファンタジックです。どこが禁断よ。ですが、そこはやっぱりブレイヤであって、気色の悪い綺麗な少女が人を食ったお話を展開する。お城の美少女アナスタシアは(カルラ・ベスネイノ)が、魔法にかかって100年の眠りにつくことになった、でもこの子は自分が女の子であることが嫌いで、おまけに早熟で、眠っている間にいろんな冒険を夢でしたい、と注文を出す。内容はシャルル・ペローの「眠りの森の美女」とアンデルセンの「雪の女王」が元になっています▼洞窟で全身に大きなコブのような発疹をつけた大男に出会うが、どうせ夢の中の出来事なのだから怖くもなんともない、テキトーにあしらい、つぎに訪れた農家で美少年のピーターに巡り合う。仲良しになる。ピーターのお母さんが「相手にしてはいけない」という「雪の女王」にピーターは憧れ、ある夜ソリで拉致される。年上の女性願望がありあり。女王はピーターを優しく抱いて、さて、どうするのか、そこはわかりません。こういうところが物足りない。アナスタシアはピーターを探しに旅に出る。旅の途中にあったお城には、子供同士の王子にお姫様、彼らは夫婦だというから実に妖しい映画です。アナスタシアの訳を聞いて王子に王女はピンクや緑色をしたお菓子を出して歓待、お土産までどっさりもたせて見送る。アナスタシアの馬車が盗賊に襲われた。でも彼らは乱暴せず、洞窟に案内する。昔は盗賊の女首領だった「古ネズミ」というお婆さんがいて、アナスタシアと同じ年頃の孫娘が後を継ぎ、荒くれ男たちを仕切っている▼夜がふけたら賑やかな酒盛りでパーティ。アナスタシアは機嫌よく踊りだし、孫娘は大事にしているシカ(彼女が可愛がっている馬の代わりをするシカ)を見せたり、愛用のナイフを見せたり。殺すといっても怖がらないアナスタシアと気が合い、ピーターはラプランドにいると思う、と教え、大事なシカを与え、わたしのところに戻ってくると約束さえしたら、これに乗って探しに行ってもいいという。雪原をシカに乗っていくアナスタシアの映像が幻想的です。彼女は掘っ立て小屋に住む「賢者」と呼ばれる魔女に会い、「雪の女王からピーターを奪いかえすの」と目的を告げる。「賢者」は「彼は幸せだよ。自分のいるところが最高の場所だと思っている。彼の勘違いなのだが幸せなのだ。お前が持っている以上の力を授けることはできない。裸足で家を出てきたお前が世界中を旅しているのは、動物や人がお前を助けているからだ」と諭し(さすが賢者ね)、「まっすぐ行けば赤い実のなる木がある。そこにいれば彼がやってくる」。アナスタシアは再びシカに乗って雪原を行きます。赤い実を見つけ食べた。気がつくと城の中で目を覚まし、枕元に青年が立っていた。ピーターの曾孫ヨハンだというのだ。アナスタシア(ジュリア・アルタモノフ)は100年の眠りから覚めたわけ。アナスタシアは青年に「あなたはピーターじゃない。でも、ま、いいか」と実に鷹揚です▼次のシーン、青年は城を出て行く後ろ姿。アナスタシアが振り返ると、すっかり成長した盗賊の娘がいた。二人は再会を喜び娘がいうには「女は愛について女から学ぶのよ。わたしはあなたの友だちだと言って」「わたしは女が嫌いだったの。でもわたしが初めて愛した友だち」。やっぱりというか…でもここのベッドシーン、どこかで見たことがあるのね。琥珀色の娘と白いアナスタシアが抱き合っているのですが、ありふれたポーズですからたいていの映画にはあるでしょうが、ブレイヤ監督がとてもスタイリッシュに撮っているのです。そうそう「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」のティルダ・スウィントンとトム・ヒルドストンが同じポーズでした。次はいよいよヨハンと。その直後アナスタシアは行方をくらまします。時代は現代です。街角で彼女を見かけたヨハンは大きなお腹をしている彼女を追う。彼女の部屋で、子供ができたことをどうして言わなかったと追及する。アナスタシアは「あなたはまだ若すぎる、というばかり。わたしが産んで育てるわ」。ぼってりしたアナスタシアの下半身と、伝線の入ったストッキングという超現実的なシーンが映って映画は終わり。ふうん。なんだ、かんだ、いいながらたくさん書いてしまったのね。つまり、そういう映画なのね。引っ張り回されて現実に戻ったってこと。勘違いしていることが幸せなのだ、なんて、恋愛の本質よ。いってくれるわね(笑)。

 

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