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特集「ディーバ(大女優)」

2017年7月3日

特集「ディーバ15」ジュリアン・ムーア③
サイコ(1998年 スリラー映画)

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監督 ガス・ヴァン・サント

出演 ジュリアン・ムーア/アン・ヘッシュ/ヴィゴ・モーテンセン/ヴィンス・ヴォー

シネマ365日 No.2165

光る目

特集「ディーバ15」ジュリアン・ムーア

ジュリアン・ムーア第3弾。「サイコ」リメイクにまで出演するか。ジュリアンのジャンルレス、とどまるところを知らず。おおらかですね、屈託がないというか、こだわりがないというか、共演者が恐竜であろうと、シルベスタ・スタローンであろうと、ベクトルの混乱をものともせずジュリアンは受けて立つのよ、それなりに収まるから不思議ね(笑)。ゴールデンラズベリー賞の最低リメイク続編賞・最低監督賞・最低助演女優賞(アン・ヘッシュ)の3部門にノミネート、最低リメイク賞・監督賞を受賞しました。でも大好きよ、この映画。本家「サイコ」とは違う見所いっぱいよ。見ていて楽しいわ。ジュリアンは、40万ドル(オリジナルでは4万ドル)を持ち逃げし、お風呂で刺殺されるマリオン(アン・ヘッシュ)の妹ライラです。マリオンの恋人サムがヴィゴ・モーテンセン。ヴィゴは冒頭、アン・ヘッシュとのベッドシーンの後で、全然その必要がないのに全裸を見せびらかします(笑)▼ジュリアンは映画が半分以上過ぎてからの登場。ナップサックを背負って、キッと目を据え、元気よくヴィゴの店(金物屋)に入ってくる。連絡の取れない姉を探しているのです。ジュリアンとヴィゴが主要登場人物になってから、俄然スクリーンは活気を帯びます。本家「サイコ」ではおとなしかった妹が、大胆かつ能動的にイメチェン、正体を現して襲ってきたノーマンに蹴りを入れ、サムを助ける。ノーマン役のヴィンス・ヴォーンは、この人どう見ても筋肉系でしょ。母親に乗っ取られるような繊細な神経に見えないのよね。かつらかぶって現れたときは、え〜、仮装大会じゃないでしょう…。キャスティングからいえば、ジュリアン、ヴィゴはじめ、適・不適はさておき、アン・ヘッシュといい、ヴィンス・ヴァーントといい、殺される探偵のウィリアム・H・メイシーといい、ベテランばかりです。マリオンの同僚のキャロラインはリタ・ウィルソン。トム・ハンクスの奥さんです。ガス・ヴァン・サント監督があえてオリジナルを忠実になぞったのは、変わったことをするつもりは全然なくて、あとは観客にお任せ、面白いと思うところを好きに見つけてくれたらいい、というつもりだったのかも▼「サイコ」が名作である所以は、いくらでも内容を膨らませることのできる、豊かな鉱脈を持っていることね。リメイクに限らない。「ベイツ・モーテル」はシーズン1・2を終えて2017年5月から「3」を放映。ノーマンの母親ノーマを主人公にしています。ノーマにはヴェラ・ファーミガ。この映画のキャストには、どう転んでもひとくせある俳優が適するようです。ジュリアンだって、この時38歳。「ブギーナイツ」で少し知られるようにはなっていたけど、まだまだ大女優の片鱗だった。彼女のすごいところは片鱗だろうが全鱗だろうが屁の河童、当たるを幸いなぎ倒すハイレベルの勢いを保ち続けていること。好不調なんてないのね、この人。演技ということすら考えているのかしら▼オスカーや、三大国際映画祭賞を全部獲得してから、大女優云々と言われるけど、彼女の面白さは、まだ30代の駆け出しに近い出演作、恐竜やアクションものによく出ています。気取りがなくて、すくすく成熟することを感じさせるいい演技だわ。ジェーン・フォンダは「ジュリア」で共演したメリル・ストリープを、将来大物になると確信したと言っていたけど、ジュリアンについて、彼女は未来の大女優だなんて、だれかがいっているのを不明にして聞いたことないわ。誰にも気づかせなかったところが、そこがすごいのよ。深い川が静かに流れているようなものだったのよ。チンケな金物屋に入ってくるときの、目を光らせたジュリアンがいいですよ。この人の目、特によく光るのよね(笑)。

 

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