女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「ディーバ(大女優)」

2017年7月6日

特集「ディーバ15」ジュリアン・ムーア⑥
ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(1997年 ファンタジー映画)

Pocket
LINEで送る

監督 スティーヴン・スピルバーグ

出演 ジェフ・ゴールドブラム/ジュリアン・ムーア

シネマ365日 No.2168

子連れの恐竜

特集「ディーバ15」ジュリアン・ムーア

ジュリアン・ムーアの映画は本欄に過去たくさん取り上げてきて、いよいよ残り少なくなった…と思いきや、けっこうな話題作・娯楽作がまだまだ。ジュリアンとは実に幅広い芸域、そして縦横無尽のスキルを持つ女優であると再確認しました。本作は大ヒットした「ジュラシック・パーク」の続編です。ゴールデンラズベリー賞の「最低続編賞」「最低脚本賞」「公共物破壊しまくり賞」にノミネートされ、惜しくもそれぞれ受賞を逃した、というご愛嬌付きです。原作者のマイケル・クライトンがすごい人で、ハーバード大の医学部出身というより、彼の小説がすべからくベストセラーという、世の中にはこういう才能の持ち主もいるのだと驚倒します▼ジュリアン演じるのは、かなり無鉄砲な古生物学者サラ博士です。どう見ても適役とは見えないのですが、海千山千の濃い出演者ばかりの中で「あんた、どこにおったん?」と埋没してしまわなかったのは、やはりジュリアンだったから。サラの恋人イアン・マルコム博士には誰あろう、ジェフ・ゴールドブラム。ご記憶の方はおられませんか。変態の詩人デヴィッド・クローネンバーグの怪作「ザ・フライ」で天才化学者・ハエ男になった人。彼はこのとき34歳で、本作では45歳。あまり変わっていないのです。変わっていないといえば当時37歳のジュリアンが、20年後の今もそう変わっていない。タイムレスですね、この人も。最近同性婚への積極的な発言がみられるなど、ますますパワフルです。女性の出演者といえば子役の女の子とジュリアンだけ。恐竜を捕獲して見世物にしようという魂胆の連中や、T-レックスを捕獲することに賭けるハンターやらが出てきます。その中でサラはかなりの天然キャラです▼現地に着くなり興奮して写真を撮りまくり、ステゴサウルスに襲われたり、T-レックスジュニアの怪我を治そうとしたりー親切はいいのですが、ママ・レックスの襲撃を招くというときに、いいのか、そんなことしていて。さっさとお袋レックスか親父レックスに子供を返して、逃げるが勝ちではないのか。でもサラが言うには、放っておけばいずれ他の恐竜の餌になるわ…それが自然の掟だというやつは、彼女に言わせたら薄情者なのだ。麻酔銃で眠らされたパパ・レックスとジュニアは、貨物船の船底に閉じ込められアメリカ本土に輸送される。ところが途中で目覚めたレックスは乗組員全員をくいちぎり、皆殺しにしていた。無人となった貨物船は桟橋に激突、レックスは脱走し、夜のサンディエゴの街を、ジュニアを探して歩き回る。ここの撮影が素晴らしい。子供が窓から覗くレックスの大きな頭を見て、両親を起こしに行きます。「パパ、庭に恐竜がいるよ」。こんなユーモラスなシーンは動物好きのスピルバーグならでは、ですね▼サラとイアンは、ジュニアが隠されているサイトBからジュニアを救出し、パパもろとも船に返して出航させ島に戻すと決める。ジュニアを抱いて逃げるふたりの後をパパがズシン、ズシン。ジュニアを船底に入れ、パパが安否を確かめ(?)、そこへやって来た見世物計画の張本人めがけて、パパはジュニアに「やれ!」と残酷な指示。相手は子供でも恐竜です。人間が敵うはずがない。さてジュリアンがラストを締めます。船底から再び甲板に出ようとして、巨大な頭をのぞかせたレックスに強力麻酔銃を一発。ど、どう、とレックスはたまらず船底に横転(したはず)。イアンが操舵のスイッチを入れ、いつの間にオートマチックになったのか、船は沖合目指し出航するのであります。なんとなく人間の愚かさ、弱さをティラノサウルスが粉砕する。長旅で喉が渇き、プールの水をガブ飲みする恐竜や、大型バスにスリスリするだけで跳ね飛ばしてしまう、要塞のごとき肉体をみよ。大仕事を終えたサラにイアンはソファで高いびき。テレビではかつてジュラシック・パークを建設した実業家がインタビューでこう語っています。「あの船に子供を連れた恐竜がいます。島まで206海里。恐竜たちをそっとしておいてほしい。人間の存在は不要です。私たちは一歩下がって自然を信じていれば、生命は生き延びていく」。これはスピルバーグのメッセージですね。

 

Pocket
LINEで送る