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特集「ディーバ(大女優)」

2017年7月10日

特集「ディーバ15」ジュリアン・ムーア⑩
ドン・ジョン(2014年 恋愛映画)

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監督 ジョゼフ・ゴードン=レヴィット

出演 ジョゼフ・ゴードン=レヴィット/ジュリアン・ムーア/スカーレット・ヨハンソン/ブリー・ラーソン

シネマ365日 No.2172

エスターとバーバラ 

特集「ディーバ15」ジュリアン・ムーア

女性を性的対象のモノ扱いしている男、ジョン(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)はポルノ依存症だ。現実の女性よりポルノのほうに満足する。毎週教会に行き、「今週の自慰は何回、婚前交渉は何回」と懺悔し、「悔い改める」日を送っている。誰もが羨む理想の恋人バーバラ(スカーレット・ヨハンソン)と巡り会うものの「やっと今夜抱いたけど残念ながらポルノのほうが上だ」。バーバラはそんな男に「サイテー。吐き気がするわ」彼女にしたら汚らわしいのだ。ジョンは、もうポルノは見ないと誓い、お互いの家族にも紹介し、順調な交際に発展したが…スーパーで掃除機を買うジョンに「やめて。掃除なんか家政婦がすることよ」「俺は掃除が好きなのだけど」「この話はおしまい!」。ヨハンソンがジコチューのタカビー女を好演します。ジョンはジム通いが趣味。筋肉隆々の肉体美を誇る、うわべだけ取り繕った男▼しかしポルノに依存する原因が、心が満たされていないからだとは気がついていない。バーバラは理想にとらわれ、男を理想に合わせて支配しようとするセレブのお姫さま。夜間講座を受けて学位を取れば、今のバーテンなんかより、ましな仕事につけるとジョンの尻を叩く。渋々講座に通うジョンは、校舎の入り口で泣いている中年女性に出会ったが、身なりもパッとしないスッピンの年増女性に洟もひっかけない。彼女がエスター(ジュリアン・ムーア)だ。約束したにもかかわらず、ジョンが内緒でポルノを毎日見ていたのがバレ、バーバラは激昂する。「最初のデートで嘘は嫌だと言ったはずよ。今日だけで46のポルノサイトにアクセスしている。履歴に残っているじゃない。履歴も知らないの?」と見下した口調。「満たされているのになぜポルノを?」ジョン、アタマにきて「知るか! 君だってくだらん映画を見るだろ。俺のポルノと同じだ」「屁理屈はよして。さよなら」▼「授業中に寝ちゃったの。ノート、見せて。5分で写すから」とエスターが話しかけてきた。「なぜこの講座を選んだの?」「転職には学歴が要る」誰に勧められた、親か恋人か、いちいち聞いてくるエスターに「何様だ!」ジョンは怒ってノートをひったくって帰る。しかし話をするうちジョンは気取らず、難しい注文もつけないエスターに惹かれ、車の中で「すごい展開」になる。エスターは「あなたはモテるはずなのに、なぜポルノを」「のめりこめる。現実にサヨナラさ」「セックスで埋没は?」「したいけど」エスターがいうには「あなたのセックスは一方的なの。私の存在がない。もちろん今の私が欲しいのはその程度の関係よ。でもセックスを大切にしたいなら、まず相手に埋没しないと。相互作用だもの」。エスターの部屋に来て、風呂を使い、出てきたジョンは、エスターが泣いているのを見る。「14ヶ月前に夫と息子を事故で亡くしたの」ジョンの風呂上がりの髪に触れ、「このほうがいいわ。いつも整髪料で固めてベタベタしているわ」やさしくなでる。その夜は「ただのセックスではなかった」くらいピッタシだったのですって!▼だんだん「女に救済される男」の典型的な映画になってきます。退屈になりかけた終盤を救うのがこの二人。バーバラとジョンの妹モニカ(ブリー・ラーソン)です。食卓で会話にも入らずスマホばかり見ている娘。ブリー・ラーソンは「ルーム」でオスカーを取る2年前、恐るべき14歳です。キモの座った重厚な目をしています。彼女が初めて喋るのがこのセリフでした。「バーバラとは別れた」と兄貴がいうと「合わないはずよ。彼女は自分しかない。彼女が望んでいたのはいいなりになる男。別れてよかったよ」なんたる明察。ジョンはバーバラに「謝りたくて」会いに行く。バーバラ、迷惑そうな顔を隠さず「それで? どう返せばいいの。あなたに恋愛は向いていない。身勝手な嘘つきだもの」「君の望みは多すぎて叶えきれなかった」「誠実な男は女のために何でもする」「それって一方的な話だと思わないのか」「ポルノの女は何も望まないものね。そろそろ行くわ。もう電話しないで」タカビーだろうとジコチューだろうと、ヨハンソン、カッコいいです。世の中、何だろうと一事に徹した者が勝つのよ▼ラスト。ジョンの独白です。「エスターはいつもまっすぐに俺の目を見る。普段は苦手だが、なぜか彼女だと気にならない。俺も彼女を見つめ、一気に欲情する。通じ合い、思いが伝わる。互いに通いあう空気が心地いい。結婚がゴールだと思わないし、彼女も同じ。彼女を抱くと世界は俺と彼女だけになり埋没する。ふたりで共に至福の世界へと…」けっこうでございました。でも女の本音はやさしく男をリードする大人のエスターかしら。この映画割とよくできているけど、やはり、男のこしらえた女なのよね。確かにエスターの包容力は魅力だけど、どこまでも男に都合のいい女であって、男にとって不埒きわまるビッチ「歩く身勝手・バーバラ」の、実はイケてるところに目が届いていない。

 

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