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特集「ディーバ(大女優)」

2017年7月13日

特集「ディーバ15」ジュリアン・ムーア⑬
シェルター(2010年 ホラー映画)

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監督 モンス・モーリンド/ビョルン・ステイン

出演 ジュリアン・ムーア/ジョナサン・リース・マイヤーズ

シネマ365日 No.2175

「入ります」 

特集「ディーバ15」ジュリアン・ムーア

多重人格ものには名作が多いです。ヒッチコックの傑作「サイコ」、孤島の精神病棟「シャッター・アイランド」、「パイレーツ」シリーズよりむしろ、こっちがジョニデの代表作だと思える「シークレット・ウィンドウ」(スティーヴン・キングの原作です)。整形で破壊されなかったときの、精悍かつセクシーなミッキー・ロークがロバート・デ・ニーロ、シャーロット・ランプリングと絡む「エンゼル・ハート」(不気味だった)、「マシニスト」になると、クリスチャン・ベールの役作り(減量)は人間業を超えています。女優の主演作品も負けていませんよ。ジョアン・ウッドワードの「イヴの3つの顔」はもはや古典、「フランキー&アリス」はハル・ベリーが頑張った。どの作品もみな、監督・俳優の思い入れの濃い、質量ともに充実した映画でした。本作はどうか▼ジュリアン・ムーアが精神科医カーラです。多重人格否定論者です。罪を逃れるための犯罪者の芝居だといいます。父親の精神科医ハーディング博士の患者を診察する。父は、多重人格は存在する、という見方を取り娘の頑固な否定論を正そうとしています。娘は患者デイヴィッド(ジョナサン・リース・マイヤーズ)を診察しアンチ多重人格の例証を上げるのですが、自らの診断を確実にするため、さらなる調査に乗り出します。するとデイヴィッドは25年前に森の中で惨殺されており、そのときアダムは刑務所に収監されていた、カーラは報道資料を読んだアダムが、デイヴィッドを装ったのだろうと判断しますが、アダムはさらにマイナーなロッカー、ウェス(彼も死亡)、カーラの友人の医師であるチャールズの人格に変化します。結論をいうと、カーラの父も娘も弟も友人も死亡します。いや、正体不明の魔物に魂を抜かれ、殺されます。彼らの共通項は「神を信じない」こと。幼い娘までがなぜ殺されるのか。娘は「パパが事故で死んじゃった。パパを助けてくれなかった神様なんて信じない」▼デイヴィッドの事情聴取で彼が「神を信じているのか」とカーラに逆質問します。「信じている」と答えると、医師だから科学しか信じていないだろう、と揺さぶりをかけます。医師であっても人間として神を信じているとカーラは答える。つまり、神を信じていると答えたカーラだけが助かるのです。この事件の元凶は山奥の集落、そこに住む呪術師のような老婆の存在です。彼女は昔、村人を騙して殺された牧師の魂を抜き取ってツボに詰め=これが隔離、つまりシェルター=神を信じないという、けしからん冒涜の輩たちがいるとツボを開けて姿なき魔物を差し向け、その人間から魂を抜き取ってはツボに隔離していた。魔物というか、悪霊が近づくと咳が出て、背中がかゆくなる。背中に赤いミミズ腫れの模様が浮き出て、汚らしい汁が出て、口から泥を吐き死に至る▼カーラの弟なんか可哀想に、身を捨てて姪を守ろうと、深手を負いながらも取り返しに行って、殺されてしまった。今はデイヴィッドに取り付いた魔物は、カーラの娘を殺そうとしている。カーラは隙を見てデイヴィッドを殺し、魔物はこれで死んだと思い、娘を抱き上げると、なんと、デイヴィッドが歌っていた歌を歌うのだ。肉体が変わっただけで、悪霊は死に絶えていなかった。呆然とするカーラ。そこでエンドです。これ以上エピソードをこしらえても、悪霊が取り付いた、その人間は死んだ、魂はツボに保管され、神を信じていない人間を襲いに行く、の繰り返しだろうからエンドにするのが妥当ね。それにしても呪術師のお婆は世界中の「神を信じない」人間を殺しに行くつもりかよ。多重人格を演じるジョナサン・リース・マイヤーが百面相で人格の変化をよく表した。ジュリアンは「多重人格を認める、悪魔も悪霊も魔物も存在を認める、だから娘を返して」とお婆に泣いて頼む。「その子は神を信じないからダメ」だと? 十にもならない女の子が、パパが死んで悲しんで口走ったことを盾にとって、意地の悪いことするなよ、くそババ。悪役が魔女の年取った女だなんて、相も変わらぬ固定した役割に辟易するけど、こんな腑抜けのエンドじゃなく、ジュリアンにもっとカッコいい創造的破壊のモンスターのような、ケツのくくり方をさせてほしかったわ。

 

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