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特集「遥かなるミルキーウェイ/7月のベストコレクション」

2017年7月20日

特集「遥かなるミルキーウェイ/7月のベストコレクション」⑦
ジェーン(2016年 西部劇映画)

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監督 ギャヴィン・オコナー

出演 ナタリー・ポートマン/ジョエル・エドガートン/ユアン・マクレガー

シネマ365日 No.2182

ジェーンの自立

18-20_7月ベストコレクション

ナタリー・ポートマンの映画はおしなべて端正かつ正統派です。悶え苦しむ役柄にしても、あらん限りの力で悶え苦しむ。世を拗ねたアバズレだったとしても、一通の手紙で正気に返り速やかに正統に戻る。オスカー女優にしては主演作が少ないのは、彼女の持ち味があまりに整っているせいではないか、と密かに憂いておりました。ジョディ・フォスターや、若手ではルーニー・マーラやクリステン・スチュワートに見られる傾向だけど、完成度の高い、次のステップに跳べる作品が好きなのよ。ところで本作。珍しい女性の西部劇でバリバリの主演。思わず(大丈夫か、ポートマン)と「?」と「!」が同時に点滅。とりあえず見てみたのですけど、やっぱりまあ「ポートマン印」といいたくなる正統派フェミニズム映画です。けっこう、よかったですよ。彼女の息がかかるとどうしてもこう、どこに出しても恥ずかしくなさすぎる映画になるのでしょうかね。褒めているのですけど▼南北戦争が終わった直後の西部が舞台です。戦争に人生を翻弄された二人の男女が主人公。登場人物が少ない割に筋書きはあっち行ったり、こっち行ったりしましてね、西部劇で見ものの派手な銃撃戦はほんのわずか、あとはジェーンをめぐる男ふたりの因縁と、ビショップ(ユアン・マクレガー)という、ならず者一家との戦いです。ジェーンは婚約者ダン(ジョエル・エドガートン)が戦争に行く前、身籠っていた。娘メアリーを産み、西部に行くためビショップ一家が仕切る駅馬車に乗ったのが運のつき。ビショップは町に売春宿を作ろうとし、女を集めていたのだ。一家の一員だったハモンドはジェーンに一目惚れし、一家を抜けようとしたがビショップは許さない、ハモンドは男5人を撃ち殺しジェーンを連れて逃亡した。一人娘メアリーは撃ち殺された▼帰ってきたダンはジェーンの写真を見せて町から町を訪ね歩き、やっと荒野の一軒家に隠れるようにして暮らしているジェーンを見つけたが、彼女はハモンドとの間に娘をもうけていた。ダンは傷心のうちに去りアルコールに溺れていた。そこへ夫が負傷し、ビショップ一家が襲撃する、頼りになるのは昔の男だけ、ということでジェーンが助けを求めに来る。最初は断るが結局ダンは引き受ける。あとは書くのも退屈なありきたりの展開ですが、ナタリー・ポートマン印は決して手を抜きません。そこが律儀で見るに値する。傷ついた夫を守り、娘を友人の家に預け、コルトで射撃の練習をするが一発も当たらない。拳銃はダメでもライフルがあるさ。長い銃を取るとジェーンは百発百中。何となればシチューの具のために毎日狩をしているからである。自分の死期は近い、君は逃げろ、と夫は頼む。ダンに妻を逃がしてくれという。ジェーンはいいえ、わたしはここで戦います、家も家族もわたしが守ります、何が起ころうとも逃げません…というのもジェーンのこれまでの生活は、ダンが死んだと思い、娘は殺され、ビショップの営む売春宿で客を取り、夢も希望も踏みにじられ「わたしの人生は悲しみに耐えるだけのものになった」。やっと幸せが巡ってきたと思ったらまたもや地獄のビショップが追ってくる。だれが逃げるものか、皆殺しにしてやる。ジェーンはもはや男に頼らない。ダンは金で雇ったのである。ビジネスとしてけじめをつけたというわけね。ジェーンは戦うことによって自分自身を独立させる。誰にもどこにも依存しない女として目覚めたってこと。一言で言うなら、本作はジェーンの自立物語です▼さてビショップ役のユアン・マクレガー。わたし個人的な見解ですが、マイケル・ダグラス、ニコラス・ケイジ、ユアン・マクレガーをハリウッドの「ヘタレ役三人男」と呼んでおります。マイケル・ダグラスとニコラス・ケイジについてはいうも愚か、彼らの代表作を一覧すればお分かりのはず。ユアンは? 「人生はビギナーズ」「猟人日記」「8月の家族たち」「我らが背きし者」などがずらずら思い出される。ところが本作のいでたち。妙なヒゲを生やしていやらしさ満開。なかなかユアンと判別しにくいほどの化け方でした。もちろんナタリー・ポートマンに撃ち殺されます。ビショップ一家に殺されたと思っていた娘は生きていて、売春宿で洗濯している。これがダンの子だ。ジェーン、ダン、メアリーに末っ子は一家揃って馬車に乗り、新しい希望の地へ出発。絵に描いたようなハッピーエンドでした。グウの音も出ないほどの「めでたし」。

 

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