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特集「偏愛力」

2017年7月27日

特集「偏愛力2」③
ロストバケーション(2016年 ホラー映画)

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監督 ジャウマ・コレット=セラ

出演 ブレイク・ライブラリー

シネマ365日 No.2189

戦闘女子の遺伝子

シネマ365日Ⅵ 特集「偏愛力2」

たかだかサメのパニック・ムービーとあなどるなかれ。監督がいいですね。ジャウマ・コレット=セラはバルセロナ出身。「蝋人形の館」で長編監督デビュー。「エスター」「アンノウン」「フライト・ゲーム」を監督、制作には「記憶探偵と鍵のかかった少女」など、サスペンス、サイコスリラー、ミステリーの分野で好評を得ています。本作の出演者はブレイク・ライブラリー一人、といっていい。医学生のナンシーは母親を亡くしたばかり、子供のとき母が連れてきてくれた海にやって来る。エメラルドの秘境だ。地元の若者が二人サーフィンしている以外、誰もいない。解放されたナンシーはサーフボードに乗って沖へ。寄せる大波の素晴らしいこと。イルカを追ったナンシーはクジラの死体を発見する。肉の露出した箇所から見るとまだ時間は経っていないようだ。青年たちはそろそろ日が暮れるといって引き上げていった。こんな気色の悪いところにぐずぐずしておれない。サーフボードに乗るが、波の中から大きなサメに襲撃され、太ももに深手を負う▼本作はナンシーとサメの「二人舞台」みたいなものです。クジラの背中に避難したナンシーは足首に巻いたリーシュコード用のバンドで止血し、ピアスとネックレスのチェーンを使い、肉がめくれ上がった傷を縫合する。えらいわね〜。ビーチまでわずか200メートルだ。サメはクジラに体当たりしてくる。ナンシーは目の前の岩に移ることにするが、満潮には波に隠れる。海にはしつこいサメがぐるぐる回遊しパックリやるタイミングを伺っている。浜辺に男が現れた。ナンシーは大声で、砂浜のナップサックにケータイが入っている、救助を呼んでくれと身振り手振りで伝えるが、男はよっぱらいだ。ナップサックの中の財布から金を盗り、立ち去ろうとしたが、サーフボードが浮いているのを見て持って帰ろうとする。海に入ってはいけない、サメがいるとナンシーは必死に叫ぶが、聞けばこそ。あっという間に半身を食いちぎられ無残に浜辺に横たわる▼夜になった。気温は下がる、食べ物も水もない。ガタガタ震えながらやっと夜があけ、昨日の青年たちがやってきた。ナンシーのSOSに気づき、海に入るのだ。だめ、だめ、だめ! サメは彼らも血祭りにあげる。次は何だ。おお、そうだ、満潮だ。潮位が上がる。ナンシーは若者のカメラ付きヘルメットが海面に浮かんでいるのをつかみ、再生する。ナンシーが自撮りでサメに襲われ傷を負った、このメッセージを見た人は助けを呼んでほしい、自分が助からなかったときは、父と妹に愛していると伝えてくれと残します。次は何だ。カモメの手当てだ。昨日から肩から血を滲ませて飛べないカモメを診る。肩の脱臼らしい。一瞬だけ痛いが辛抱して。パキっと小さい音を立て関節を入れる。これで飛べるはず。次は、おお、毒クラゲだ。沈む岩を離れ船舶用のブイまでたどり着く途中、クラゲが海中にうようよ。サメもクラゲが嫌いらしい。いくぞ。でも腕を刺された。なんのこれしき、大事の前の小事。ナンシーはブイの鉄塔をよじ登り一時避難に成功するが、どっこい諦めるようなサメではない。ブイの照明弾をサメに一発くらわせると、炎にまみれ怒り狂う。この女、もう容赦しない。ズシン、ガツン、ドシン。サメの猛攻は止まらない。もうダメ、一巻の終わりか。ブイを海中に繋ぎ止める鎖があった。鎖は海の底に続き、鉄の棒が何本も飛び出していた。ブイはついに倒壊、海中に投げ出されたナンシーは沈む鎖をつかんで海底に。逃がすか、と猛スピードで追撃してきたサメから一瞬身をかわす。サメは口を開けたまま直進し鉄の棒に突撃。串刺しになる。とまあ、ありとあらゆる知恵をしぼったサバイバルに現実感があります。カモメも助かったことだし。サメにしたら人間は漁場の縄張り荒らしだから、けしからん、撃退して当然の存在です。ナンシーはジョーズ女子版というよりむしろ、リプリー(「エイリアン」)の遺伝子を受け継いでいます。ここが監督の「つかみ」のうまさなのよ。女の子が一人で傷だらけの孤軍奮闘、知恵と勇気で強敵をやっつけ自力で脱出…戦闘女子が受けるのよ。

 

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