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特集「偏愛力」

2017年7月30日

特集「偏愛力2」⑥
インモラル物語(1975年 オムニバス映画)

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25-28_偏愛力2-2

監督 ヴァレリアン・ボロヴズィック

出演 パロマ・ピカソ/フローレンス・ベラミ

シネマ365日 No.2192

快楽の暴走映画 

「偏愛力」というより「変態力」といったほうが当たっているかも。4話からなるオムニバス映画ですが、後半の2話「エリザベス」と「ルクレツィア・ボルジア」を取り上げます。エリザベスとは「血の伯爵夫人エリザベート・バートリ」のこと、ルクレツィアはもちろん、ルネサンスのファム・ファタールとして有名なボルジア家の娘。しかしまあ…史実とか考証とか、ロマンチシズムとか、あんまり期待せんほうがいいです。タイトル通り「インモラル」ですし。1610年、エリザベート(パロマ・ピカソ)は従者を連れハンガリーの自領を訪れた。納屋では農夫がお尻を丸出しにして若い娘とワラの上でせっせと励んでいるし、ニワトリまで交尾のさいちゅう、のどかでおおらかな村です。美少年の侍従が「伯爵夫人は正直で健康な村の娘を探しておられる。お城に勤めれば真珠で身を飾ることもできるし、伯爵夫人に近づくだけで永遠の幸せが得られる」と夢のような求人の告知。娘たちは嬉々として応募し、馬車に乗ってお城へ▼彼女らは湯を使い、髪を結い、素っ裸になって十字架に祈りを捧げ香油を塗られる。みなボインだ。伯爵夫人は大きなワイングラスに花粉を混ぜ、飲ませる。赤々と燃える暖炉の前に群がり、若い女たちはおしゃべりに夢中。夫人が薄衣のドレスで入ってきて、娘たちに合図、すると夫人を取り囲み、ドレスを剥ぎとり、フルヌードでもみあう。とにかく一糸まとわぬ女たちが渦のようになって伯爵夫人を押し倒し、エクスタシーに駆け上り、そこへ美少年がひょいと顔を出し、女たちを別の部屋に呼ぶ。しばらくすると夫人は真っ赤な風呂にどっぷり浸かっており、侍従のサーベルは血に濡れて…これが処女の生き血風呂のエピソードですか。ヘア無修正のうえ、ドアップで映しますからスクリーンいっぱい、猛々しい黒い茂みのオンパレード。でもね、特にハードな絡み合いのシーンもないし、陶酔するようなラブシーンもなく、映画の雰囲気からいうとひたすら稚拙なのよ▼お風呂から上がった伯爵夫人は侍従を寝室に呼ぶ。帽子を脱いだ彼は美少年ではなく美少女だった。ああ、そういうことだったの。どっちも綺麗な体だけど、やっぱり女優って、顔だ、体だっていったところでそれだけじゃダメなのね。素人に毛が生えたようなベッドシーンで、退屈だった。さてルクレツィア(フローレンス・ベラミ)はどうか。ルクレツィアのパパは娘婿を不能と決めつけて殺し、娘を我がものとする。フローレンスがけっこういやらしい笑顔で、アクロバットみたいに横たわり恍惚。このおっさんに? 次のシーンでは父と兄とルクレツィアが赤ん坊を抱いて祝福を受けている。どっちの子かわからないけど、これでボルジア家の近親相姦を想像せよってことね▼理想化された美を現実に引きずり下ろすのは、アーティストたちの憧れか戯れか、とにかく昔からよくありました。ジョルジョーネの眠るヴィーナスを、ティツィアーノが描き直し、そのヴィーナスはパッチリ目を開けて鑑賞者と目線を合わせ、左手の細い指先は敏感な箇所に触れている。Hな絵だわ(笑)。本作の女たちも自ら痴態の限りを尽くし、臆することなく裸体を誇示し、スッポンポン、フルヌード、全裸、なんといおうととどのつまり、エロスのハードコアを主張するのだ。しょせん、この映画は外部からの侵入を遮断した、いわば秘密クラブの快楽と倒錯の映画版であって、ヒロインはエリザベートやルクレツィでなくてもよかったのだから、これがイメージとして刷り込まれるとしたら、彼女たちの災難としかいいようがない。

 

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