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特集「ダンディズム-dandyism-」

2017年8月13日

特集「ダンディズム4」②チャールズ・ブロンソン
殺人のはらわた(1979年 日本未公開)

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監督 スチュアート・ローゼンバーグ

出演 チャールズ・ブロンソン/ジル・アイアランド/ロッド・スタイガー

シネマ365日 No.2206

獣のように静かな男 

★12-15_ダンディズム4-

共演したら絶対に損、という俳優がいると思うのです。彼や彼女が出てくるだけで場面をさらってしまう人が。チャールズ・ブロンソンなんかその最たる一人だと思うのよね。割を食ったのがアラン・ドロン、アンソニー・パーキンス、本作のロッド・スタイガーもそう。アラン・ドロンなんか「さらば友よ」で共演して、まるでブロンソンの引き立て役になってしまったのが相当アタマにきたらしく、世界的な大ヒットにもかかわらず、自分の代表作をあげるとき、これだけは外すのよ。アンソニー・パーキンスも二枚目の、永遠の少年みたいな(考えたら気色悪いが)、いくつになろうとオッサン臭さが皆無という稀有なキャラで、女性ファンはしびれました。でも「扉の影に誰かいる」でブロンソンと共演したら、身長差以外はやっぱりひ弱だったわね。本作のロッド・スタイガーは「夜の大捜査線」でアカデミー主演男優賞。「質屋」の演技も語り草の名優が、漫画みたいな扱いになってしまって、ちょっと気の毒すぎたわ▼つまり、ブロンソンを語る場合、演技も役柄も関係ない、条件なんか一切無用。彼は彼であるだけでよろしい…となってしまうのだ。がっしりした広い肩幅。脚が長いとか、背が高いとか、そういうスマートさは皆無だ。それどころか急ぎも慌てもせず、ゆったりした歩幅で歩く姿は森の中のクマみたいだが、伸びた背筋の後ろ姿はエレガントでさえある。トドメはあの顔である。眉の下の小さな目は目尻が垂れ、あぐらをかいた鼻は半分つぶれかけ、深いシワが両頬に走り、髪は半白。若さという過去の名残は今やなく、初老の衰えが忍びよる。それなのに、あいつばかりが「なぜだ〜」という他の男優の歯ぎしりが聞こえる。100万ドルスターになって美人の妻がいて、どの映画でも妻ジル・アイランドと共演。映画の中でさえラブシーンをやるのだ。いい加減にしろ、と誰もいわないのはブロンソンだからか▼ブロンソンとクリント・イーストウッドは似ている。彼らの映画はみなワンパターンだという誹りを受けてきた。刑事ものにアクションものにサスペンス。それでも他のジャンルに手を出さなかった。考えがなかったのでもなく、先を読めなかったのでもなく、クリントなんか体がいうことを聞かなかったときのための脚本を温存していたくらい、用意周到なやつだった。ブロンソンは愛妻ジルが54歳という若さで他界してから、映画そのものが辛くなったみたいに出演は減った。もうひとつの類似点は、どこかで書いたかもしれないが、どっちも猫に似ているのだ。大好きなブロンソンの作品に「ストリートファイター」がある。これもブロンソンが出演したために、リー・マーヴィンでさえ影が薄くなった曰く付きの映画だが、ブロンソンは町から町、ストリート・ファイトをして賞金を稼ぐ。リー・マーヴィンがブロンソンに交渉に行く。カフェに入り、リー・マーヴィンが話しかけると後ろにいたはずのブロンソンがいない。どこ行った、あたりを見渡すとブロンソンはチンとテーブルに座っている。上目遣いでリー・マーヴィンから目をそらさず。ここのブロンソンの静けさは獣じみていた。クリントにもそれはある。彼らが騒々しい演技をした映画を思い出せない▼本作は自分を元気付けないと書けないくらいつまらない映画だ。これがローゼンバーグ監督かと疑う。イタリアン・マフィアの愛人になったジル・アイアランドの護衛にブロンソンがつく。場所はスイスのアルプスだ。絶体絶命のピンチだというのに、ジルの走り方はヒヨコのようだし、マフィアのボスのロッド・スタイガーは「お前たちは愛を知らぬ」と部下を怒鳴ったかと思うと、ころり「殺れ」と愛人ジルの抹殺を指示するマンガチックなボスだ。ジルは殺され、ブロンソンはFBIに背き、復讐に打ってでる。ブロンソンものの定番だ。劇中ジルを見るときの目が、あまりにも感情豊かでやれやれと思った。

 

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