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特集「タイムレスな女優」

2017年8月19日

特集「タイムレスな女優2」①ダイアン・キートン1
クーパー家の晩餐会(2016年 家族映画)

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監督 ジェシー・ネルソン

出演 ダイアン・キートン/ジョン・グッドマン/アマンダ・セイフライド/アラン・アーキン

シネマ365日 No.2212

あなたの手に恋したの

★19-22_タイムレスな女優2-1

今日と明日の「タイムレスな女優」は、続けてダイアン・キートンです。ロサンゼルス生まれですが高校1年のとき家族でマンハッタンに移り、以後ズ~っとニューヨーク…だと思うのです。ダイアンとニューヨークがあまりフィットしているせいかな、「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」なんていう、いい主演映画もあったしね。本作ではダイアンが祖母役。71歳だったけど、全然変わらないのね、この人も。むしろ「ゴッドファーザー」の頃のほうが老けていたわ。全員秘密や隠し事を持った家族がクリスマス・イヴに集い、みなばれてしまうのだけど、結局それによって家族の絆を再認識するというハートフルな映画。中心にいるのがもちろん、ダイアン演じるシャーロットです。ジェシー・ネルソン監督はダイアンをイメージして作ったというくらい「ダイアンありき」で終始します。「コリーナ、コリーナ」で監督デビューしたネルソン監督は、「アイ・アム・サム」などアット・ホームな、ユーモラスな映画づくりに定評があります▼イヴの朝、シャーロットは一大決心を胸に秘めている。年に一度、家族が集う夜を「完璧なクリスマス」にするのだ。夫サム(ジョン・グッドマン)と離婚を決め、一家団欒はこれが最後だから。長女のエレノアは医師と不倫中。空港で会った兵士の青年に恋人役を頼み、幸福な娘を偽装しようとする。離婚した息子のハンクは失業を隠している。シャーロットの妹エマは姉へのプレゼントに思いあまり、万引きして逮捕される。パトカーの中でウィリアムズ巡査に泣きつくが謹厳な彼は振り向きもしない。晩餐会は始まる前から嵐の予感がする。もう一人大事な人物はおじいちゃんのバッキー。近くのダイナー(レストラン)に5年間毎日通っているのは、お気に入りのウェイトレス、ルビー(アマンダ・セイフライド)がいるから。バッキーがシニカルで「クリスマスは家族と過ごすのかい?」とルビーに訊く。寂しそうに首を振るルビーに「わかるよ。クリスマスが来ると、さあ団欒の時間だ、その日だけ幸せになろうとみな必死になるのさ」▼サムが離婚を決めたのは妻が旅行に応じないからだ。サムにしたら一大事だ。30年前に、行くはずの旅行を先延ばしにしたのは「楽しみを定年後にとっておこう」という妻の言葉を信じたからだ。彼はいう。「離婚する理由はひとつじゃない。40年間同じペースで誰かと歩くのは難しい」結婚にも賞味期限がある。サムとシャーロットは娘リジーを亡くしている。それ以来「我々は子育ての間に互いを見失った。互いが傷つかないところまで後ずさりした」。妻は子育てに懸命になるうちに、自分が誰かわからなくなっていた。バッキーおじいちゃんはイヴの日を最後にルビーが店を辞めると知り「人生をやり直すならここでもできる。ルビー。君は臆病じゃない、勇敢で美しく、豊かな心を持っている、君はグランドピアノのように大きい人だ、君に比べたら他はみな、おもちゃのピアノだ」そういうバッキーに一瞬時が逆戻りし、ルビーはバッキーの内面の姿を見た。ひたむきな青年がそこに見えた。「僕が毎日ここへ来たのは君に会うためだ。そばにいたかったからだ」このシーンのアラン・アーキンって「愛すれど心さびしく」の青年ジョン・シンガーが蘇ったようよ▼シャーロットは子育てが自分からの逃避だったことを認め、夫と旅行をやり直そうと決める。シャーロットは夫の大きな手を握り「あなたの手に最初に恋したの。ないと寂しいわ」もともと着地点は見えていますから、都合よすぎる映画だといえばいえます、でも落語ネタが分かっているにもかかわらず、最後まで聞かせるのが噺家の手腕なのでして、それと同じ意味で、芸達者たちがそれぞれの出演シーンで見せ場を作ってくれています。眼光鋭いウィリアム巡査が、エマを留置所ではなく駐車場に送り返し、最後にニコッとするところなんかね。

 

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