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特集「タイムレスな女優」

2017年8月20日

特集「タイムレスな女優2」②ダイアン・キートン2
アニー・ホール(1978年 恋愛映画)

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監督 ウディ・アレン

出演 ウディ・アレン/ダイアン・キートン

シネマ365日 No.2213

ダイアンの衝撃 

★19-22_タイムレスな女優2-1

ニューヨークの伝説を作り、アニー・ホール・ルックが女性を解放に走らせた、と現在に至るまでまことしやかに言われている映画…それくらい、ひとつも古くなっていません。ダイアン・キートンも衝撃作は何本かあるけど、アニー・ホールのように、明朗キャラでガツンといわせてくれたのはすぐに思い出せないな。それに「ブルー・ジャスミン」以後、ご当地モノや観光地巡り映画に終始して、全然パッとしないウディ・アレンだけど、本作のセリフの冴えていること。これこそアレンだと思った。半世紀近く昔の彼なのが悲しいけど。それに比べダイアン・キートンは元気ね。何度見直しても、彼女がアニー・ホール・ルックで現れるシーンは衝撃よ。ダイアンにあんな格好させるなとコスチューム・ディレクターは嘆いたらしいけど、ウディが「彼女は天才だから好きにさせて」と押し切ったのですって▼劇中のスタイルはすべてダイアンの私服です。アイリス・アプフェルが「94歳のニューヨーカー」で「ファッションにセンスは関係ない、本人が幸せならそれでいいの」っていっていたけど、本作でダイアンは「本人がリラックスできるのが最高のファッション」だと感じさせてくれる。1970年代はフェミニズムが台頭し、女性の主張が社会の波を作ろうとしていました。そこへそれまでの女優というイメージと全く違ったスタイル、30代の女性が、メンズのブレザー、ベスト、ネクタイ、パンツを自在に着ることは、別次元のスタイリングでした。しかもとびきりよく似合う。ラフなようでいてかなり難しい、上級者の着こなしだと思います。最も彼女がドッキリさせてくれたスタイルはたぶんこれ。黒のソフトハットに、いちばん上のボタンひとつだけ止めた黒のベスト、白のメンズシャツ、白ドットのネイビータイ、ベージュのチノパン、白のローファー。気ままでいると同時に最高のハイセンス。ニューヨーカーたちは映画の内容よりダイアンのファッションに、ちょっと理屈っぽくいえば、既存の文化に背を向けた、フェミニンでありながらダンディな時代の息吹にいかれてしまったのです▼映画は作家志望の青年アルビー(ウディ・アレン)と、CMの女優やクラブの歌手をやっているアニー(ダイアン・キートン)の出会いから別れまで。フィーリングがあって同棲した二人は、程なく倦怠期に。「正直に事実に向き合いましょう。アルビー、わたしたちの関係はうまくいかないと思うの」「そうだね。関係はサメと同じだ。常に前に進んでいないと死んでしまう」。アニーと別れるとたちまち「アニーが恋しい」と嘆くアルビー。「君が忘れられない」とアニーに打ち明けるが「すべてに悲観的で死ぬことばかり考えているあなたとは、人生を楽しめない」ときっぱり。二人は別々の恋人と別の人生を選ぶ。ニューヨークという街でなかったら映画の魅力は半減したと思います。アレンはここしばらく、パリだ、バルセロナだ、ローマだ、ロンドンだと、世界漫遊の黄門さまみたいになってしまっているけど、心新たにふりだしに戻るべき。

 

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