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特集「タイムレスな女優」

2017年8月22日

特集「タイムレスな女優2」④アン・バンクロフト2
奇跡の人(下)(1963年 事実に基づく映画)

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監督 アーサー・ペン

出演 アン・バンクロフト/パティ・デューク

シネマ365日 No.2215

それいけ、サリバン

★19-22_タイムレスな女優2-1

ジェニーというヘレンの異母兄がいる。サリバンが来たときから皮肉っぽく「哀れんでやるのがいちばん妹のためにいいのだ」と繰り返す。サリバンは耳を貸さず、自分のやり方をおし進める。二週間が過ぎ、ヘレンは母屋に戻ってきた。サリバンのおかげで服は自分で着替え、食事は椅子に座り、スプーンを使い、荒々しい動作もなくなった。両親は大喜びだ。サリバンだけが不満を隠さない。「服従しているだけです。何も理解していない」。二人を迎えた夕食の席。隣り合って座ったサリバンとヘレン。ヘレンがひらりとナプキンを床に落とした。サリバンが拾う。ヘレンが捨てる、拾って捨てる。繰り返した後ヘレンはテーブルを回り手づかみで食べ物を口に入れだした。怒髪天を衝くサリバンに「お祝いの席なのです、見逃してやって」と母親。ヘレンはサリバンに水瓶の水をぶっかけた。それで引っ込む先生かよ。ヘレンの腕を鷲掴みにするや部屋から引きずり出したのだ。「水を汲ませます」後を追おうとする父親の前に立ちふさがったのはジェニーだ。「先生が正しい。ヘレンは我々を試しているのだ。お父さん、あなたが間違うことだってあるのですよ!」いいぞ、見直したぞ、兄貴▼語り継がれるクライマックスがこの井戸端のシーン。ヘレンを地べたに引きずり倒し、先生はヤケクソでギッコン、バッタン、ポンプで水をくみ出す。ヘレンは水浸し。ジャブジャブ注がれる井戸水を手のひらで受け「ウォ…ウォ…」獣に似た唸り声を出す。ビショ濡れのサリバンが撃たれたように手を止める。母親が言っていた。「あの子は賢い子です。六ヶ月で水と言えたのです。ウォ…と。どこかに眠っているはずです」。これこそ「ウォ…」だ。ついに物と名前が一致したのだ。世界が見えたぞ、それいけサリバン。サリバンは力の限り水を汲み、溺死しそうなヘレンはサリバンの手を握り、指で綴った。「water」と▼サリバンとヘレンはこれ以後およそ半世紀にわたり、サリバンの死まで生涯を共にします。ヘレンはもう一人の家庭教師(兼秘書)のポリー・トンプソンの指導で勉強を続けハーバード大學を卒業します。日本からの招請があったとき、病床にいるサリバンから離れまいと断ろうとしたヘレンに、日本へ行き、困っている人を助けるよう言い残しました。1936年アン・サリバン没70歳、1968年ヘレン・ケラー没。87歳。ヘレンはワシントン大聖堂の地下礼拝堂の壁内に、彼女の生涯を支えたふたりの教師、サリバンとトンプソンと共に眠っています▼トリビアですが、ヘレンが横浜港から帰米するとき、犬が大好きなヘレンは秋田犬のカミカゼを連れて行きました。この愛犬がアメリカに渡った最初の秋田犬だそうです。

 

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