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特集「タイムレスな女優」

2017年8月25日

特集「タイムレスな女優2」⑦ドリュー・バリモア2
マイ・ベスト・フレンド(下)(2016年 ヒューマン映画)

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監督 キャサリン・ハードウィック

出演 ドリュー・バリモア/トニ・コレット

シネマ365日 No.2218

私がいる

★23-27_タイムレスな女優2-2

セリフがいいのです。親友ミリー(トニ・コレット)に話しかけるジェス(ドリュー・バリモア)。抗がん剤の点滴の針を、ミリーの手の甲から差し込みます。「きれいな血管ね。そう思っていた」。きれいな手とはよくいうけど「きれいな血管」って、いい表現だわ。脚色のモーウェア・バンクスのセンスですね。ミリーの化学療法が続く。ミリーは毛が抜ける。ジェスに「私はうぬぼれが強いの。自分磨きに大金と時間をかけてきたのよ。見た目がすごく大事。自分が大好きなの。でも外見が冴えなくなったら誰も相手にしてくれない」ジェスがやさしく「私がいる」「もっと一緒にいたい」「私も一緒よ」何気ないセリフですが応えますね。自分はもう直ぐ死ぬけど「もっと一緒にいたい」とミリーはいっているのね▼両乳房を切除しました。誰かが付き添わねばならない。旦那は「仕事に行く」。「任せて」とジェス。腕か口か忘れたけど「大きく開いて」とジェスに言われ「ベッドでいいたい」(笑)。乳房のない胸をジェスに見せる。「何かいいたい?」ジェスは微笑み「頭の中に大海原をつくって、私と一緒にただよう夢を見て」。ミリーのサプライズ・パーティを計画した夫。ミリーは「楽しくない」余計なことをすると腹を立て、出て行こうとする。夫は本気で怒る。「パーティに戻れ。俺は楽しい。君の好きな店を予約しみんなを集めた。君の親戚の旅費も払った。みんなを集めるのにどれだけ苦労したか、わかっているのか」ミリーは意地悪く「私の葬式の連絡名簿ができてよかったわね」。ほとほと困り果てた夫はジェスにもらす「もう限界だよ。でも子供の母親だ」。ミリーはミリーで「あれが10年一緒に暮らした夫? 私は(ジェス夫婦と自分たち)4人で祝いたかったの」。ミリーは日に日に気難しくなる。「誰かが哀れんだ目で、元気そうね、と言ったらゲロかけてやる」▼嵐が丘に向かうタクシーの運転手が「うちの女房もガンを患っていた。悔いのないよう、友だちに付き合ってあげなよ」。ホテルに着く。フロントがいう。「エミリー(長編小説『嵐が丘』を書いた小説家、エミリー・ブロンテ)の部屋は最上階。荒地に面し天蓋付きベッドと暖炉があります」。ミリーは上機嫌でジェスとダンスする。楽しいはずのシーンですがなぜか哀切です。ミリーの情事を知ったジェスが「人生最大のバカをやったわね。夫がいるの、忘れたの?」「彼は私を見ない。セックスしない」「あんたは横柄なガン患者よ。周りの人が気をつかい、わがままをきいているのに10代みたいに暴走して。バーの男と寝るために私を連れ出したの? もう巻き込まないで!」。ロンドンに戻ったミリーに、いちばん恐れていたことが起こる。「ジェス、反省しているわ。私、転移性脳腫瘍なの。目の裏に牡蠣みたいな腫瘍があって、ほぼ盲人なの」「なぜ摘出しないの?」「脳ごとになるわ。おっぱいの次は脳。体がギブアップなの」ジェスはミリーの短い頭を「さわらせて…でも髪が生えてきてきれいよ。腫瘍の後で痔の話じゃ申し訳ないけど、巨大な痔なの。ヒヒのお尻みたい。病院でもらったクッションがドーナツ型なの」そんな話をしてミリーを笑わせています▼ホスピス病棟に移ったミリーは「健康サンダルばかり履いて。ダサいわ。これ、未使用よ」とジェスに靴をあげる。「本当に死んじゃうの?」「他に靴を上げる理由がある? 子供たちに話して。私たちのことを。私の愛を伝え続けて、ジェス」。与えられた人生が当たり前だと思い、わがままだったミリーが病気によって成長します。人生の素晴らしさや、彼女を囲む人たちに感謝することを学ぶ。そんな親友を見ながら「彼女と付き合うのは大変。正気とは思えない友だち。でも彼女といると人生が一変する。彼女がいたら最悪のときだって最高になる」…どんなときも何が起こっても、ジェスはミリーを愛していました。感傷過多にならずに死を迎えるふたりのやりとりが、とてもハート・ウォーミングでした。

 

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