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特集「タイムレスな女優」

2017年8月28日

特集「タイムレスな女優2」⑩マリオン・コティヤール
マリアンヌ(2017年 事実に基づく映画)

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監督 ロバート・ゼメキス

出演 ブラッド・ピット/マリオン・コティヤール/マシュー・グード

シネマ365日 No.2221

私はあなたの母です 

★28-31_タイムレスな女優2-3

いい映画でした。マリオン・コティヤールの、見た限りの代表作を上げると「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」「サンドラの週末」「美しい妹」「エヴァの告白」「マクベス」「銀幕のメモワール」そうそう、レオさまの妻になった「インセプション」(公開順不同)。もっとジャンルレスな女優だと思うけど、どっちかというと地味キャラの作品が多いわね。本作は第二次世界大戦中、イギリスの諜報員マックス(ブラッド・ピット)と、フランスのレジスタンスの女性マリアンヌ(マリオン・コティヤール)が恋に落ち、マックスはマリアンヌと帰国する許可を得る。子供が生まれ、ロンドンの職場に戻ると上司からマリアンヌがドイツのスパイだと告げられ、青色色素検査(ブルーダイ)で裏切り者だと証明されたらマックスの手で射殺、という残酷な命令を受ける。悲劇そのものの運命を受け止め、アイデンティティを見失わず愛を全うした女性を、コティヤールがしっかりと演じます▼砂漠の街カサブランカでの出会い、ドイツ大使暗殺、明日の知れない任務の中で、はかなくも将来の夢を語り合う情景。娘を得てからの幸福な家庭。ところが一転、マックスの心の中は妻への信頼と疑惑がせめぎ合う。ここの筋運びがうまくて、2時間の間一瞬たりともたるませません。マリオンとブラピの息がぴったり合っていまして、これじゃ本作がブラピとアンジーの離婚の引き金になったというのも、あながちガセネタではないかな〜と思えました。おまけにコティヤールの旦那が「絶対に不倫はない」と公表したものだからますます大騒動。コティヤールは無事第二子を出産し事は落着したみたいですが、とばっちりを食ったのはブラピじゃない? この映画でもさすがに貫禄はあるのですが、後ろ姿がどこかくたびれています。彼って性格が温和で穏やかな人じゃないかしらね。相手役やスタッフを立てていい雰囲気に持っていくのが上手なのだと思うけど、一対一になるとアンジーの激しい気性にはかなりストレスがあったのでは。もちろん大きなお世話だけど▼2年ほど前ですが、フランス人女性の選ぶタイムレスな女優として、コティヤールは2位に入っていました。トップはカトリーヌ・ドヌーヴ。ジェーン・バーキンもランクインしていて、40代から70代の女性がどしどしベスト10入りするのって、選ぶほうも大人の感覚だと思ったわ。いつも邦題にケチをつけているけど、この映画は邦題のほうがよかった。原題「ALLIED」は「連合軍側」とでもするのか。タイトルから見ると強烈な戦争映画です。リアルな時代考証に説得力があります。たとえば武器の類。小銃は英国陸軍のP14、ドイツ人将校の拳銃はルガーP08の9ミリ、ゲシュタポや刑事にはワルサーPPK7.65ミリ、マックスが持っていたのはウェブリーMKのリボルバー、マリアンヌが自殺するのがこの銃です▼贅沢な俳優の使い方だと思ったのがマシュー・グッドでした。188センチの長身で「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」「四角い恋愛関係」「イノセント・ガーデン」など、脇に回って存在感を出しています。本作では重傷を負い、施設に「捨てられた」と憤る車椅子の兵士、ガイ・サングスターを演じました。イケメンの彼が右目を撃ち抜かれ、左目は網膜剥離、顔が甚だしく損傷した痛ましい青年になって現れたときは、引きましたね。思わず(ンまあ〜、ゼメキス監督、やってくれるわね)。ラストは、マックスは必死で自分を連れて逃亡しようとしているが逃げ切れはしない、そう覚悟したマリアンヌが娘アナに書く手紙で終わります。「愛するアナ。あなたがこれを読む頃は私のことは何も覚えていないでしょう。私はあなたの母です。あなたは空襲の夜に生まれました。愛し合うふたりの宝物として。ハムステッド(ロンドン北部の街)の暮らしは最高に幸せだった。今日あなたは歩いたわ。初めて歩く姿をお父さんと一緒に見られてよかった。マックス、どうか私を許して。メディアン・ハット(マックスが、戦争が終わればそこで暮らしたいといっていた土地)にいけますように。目を閉じれば見えるわ。アナはその目で見て欲しい。私の美しい娘。平和な人生を送って。お父さんがあなたのことを守ってくれる。永遠にあなたを愛する母。マリアンヌ・ヴァタン」。平和な人生を送ってという母の祈りに、戦争への憤りと告発が込められています。

 

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