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特集「意外な代表作」

2017年9月3日

特集「意外な代表作」③ クリスティン・スチュワート
イエロー・ハンカチーフ(2010年 恋愛映画)

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監督 ウダヤン・プラサッド

出演 ウィリアム・ハート/マリア・ベロ/クリスティン・スチュワート/エディ・レッドメイン

シネマ365日 No.2227

「私なら待つわ」 

★01-05_意外な代表作

クリスティン・スチュワートの意外な代表作ということ。大げさでなく日本中が涙した名作・山田洋次監督「幸せの黄色いハンカチ」のリメイクです。健さんの役をウィリアム・ハート、倍賞千恵子をマリア・ベロ、桃井かおりをクリスティン・スチュワート、武田鉄矢をエディ・レッドメイン。桃井かおりがモーテルの女主人でカメオ出演しました。日本版にほぼ忠実な展開です。ミシシッピ川のほとりの船着場にいる、15歳のマーティーン(クリスティン・スチュワート)の屈託ありげな様子に、ムショを出たばかりの中年男ブレッド(ウィリアム・ハート)が声をかける。「今がマシと思えばいい。時間が解決する」。マーティーンはなんとなくブレッドに親しみを感じる。クリスティンが、恵まれていない家族関係を背負う10代の娘の危うさやもろさ、そんな微妙な翳りを出しています。いつもながら、こういう演技、うまいですね。クリスティンは18歳でした。同年「トワイライト〜初恋〜」でブレイクする一歩手前です▼映画は全然ヒットしなかったけど、ウィリアム・ハートにエディ・レッドメインはオスカー受賞者だし、マリア・ベロはゴールデン・グローブ賞のノミネーです。すごい役者が揃っていた。自称先住民族のゴーディ(エディ・レッドメイン)はブレッドが薄気味悪く「置いていこう」とマーティーンに耳打ちするが、マーティーンはブレッドが信頼できる男のように思える。ゴーディはマーティーンが好きなのだが自信がない。ブレッドはゴーディに「女は男の内面に惚れるのだ」と教える。車で三人は旅を続けるうち、ブレッドが少しずつ自分の過去を話し始める。「自暴自棄だった。メイ(マリア・ベロ)と会うまでは」。ブレッドがメイに「君と結婚したかった」「なぜ?」「人生が顔に出ている。君の顔が好きだ。君を酷い目に合わせたやつは、もともと根性が悪いのさ。君のせいじゃない」▼マーティーンはブレッドの話を聞いているうち、人は生きている限り傷つくのだ、でもそれで人生、終わるわけじゃない…変哲もなく見えていた日常の生活が、いかに多くの内面の苦楽を伴っているか、マーティーンは現実に目を開いていきます。刑務所に入ったブレッドが離婚するという。メイは怒りながら、泣きながら去る。マーティーンは憤慨します。「彼女、冷たいわ。私なら何年でも待つわ」。ふうん。実はここ、ちょっと意外だったの。ブレッドは「昔の住所にハガキを送った。もし会ってくれるなら黄色い帆をいっぱいに張っていてくれ。俺は近くまで行き、黄色い帆があるか見る。なければ二度と連絡しないと書いた」。「そういうことなの!」若い二人は俄然熱を帯び「見に行こう。最後までやり通すか、一生ハンパで終わるかよ」。港の周辺をぐるぐる回りますが、メイの船はなく、昔住んでいた家は別人が住んでいた。「もういいよ。思い残すことはない」ブレッドがしょんぼりという。「止まって!」とマーティーンが叫ぶ。「バックして。あれはなに!」鉄橋近くの岸辺に、何枚も、何枚もの大量の黄色いハンカチを張り渡した船が…アメリカでヒットしなかったのは「待つ女」への受け止め方の違いかもしれません。クリスティンが「私なら何年でも待つわ」といったセリフに、違和感を覚えた女性が多かったのかもしれない▼制作のアーサー・コーンは「この映画には、人生は諦めてはいけないというメッセージがあり、世界中の観客から共感を得られると思う」と語っていました。なるほど。同じく「刑務所に入った男を待つ女」の名作に「ブーベの恋人」がありました。ジョージ・チャキリスをクラウディア・カルデナーレが待つわけ。あれは7年だったわ。でも刑務所に入ったのが女なら、男は諦めないで待つでしょうか。女を待つ男が絵にも美徳にもなった映画ってあったかな。寡聞にして知らないわ。マーティーンに「私なら何年でも待つわ」なんて言わせたセリフにはびっくりしたわ。「あなた15歳よ。先は長いのよ。早まっていない?」って、思ったもの。所詮男の軸足よ。同じように感じた女性、案外多かったのでは。少なくともアメリカでは。

 

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