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特集「意外な代表作」

2017年9月9日

特集「意外な代表作」⑨ ナオミ・ワッツ
タンク・ガール(1995年 コメディ映画)

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監督 レイチェル・タラレイ

出演 ロリ・ペティ/ナオミ・ワッツ

シネマ365日 No.2233

一球入魂 

★06-10_意外な代表作

ナオミ・ワッツが27歳でした。「マルホランド・ドライブ」で注目を集める以前の、まさに雌伏のとき…といいたいのだけど、このノホホンとした天然ぶりは「地」なのでしょうか。黒髪にメガネ、ジェット機の整備技術者という理系女子で登場(役名もジェット)、正反対のパンクなレベッカと意気投合、砂漠化した地球で水を独り占めにする、悪徳企業ウォーター&パワー社相手に機関銃を撃ちまくる。イギリスの人気コミックのSF映画化。マッド・マックス、ガールズ版と思えばいい。レベッカにロリ・ペティ。「早熟のアイオワ」でジェニファー・ローレンスをデビューさせた監督です。男に迫られているジェットのピンチに「ちょっと、私の恋人に手を出さないで」とレベッカが割って入り、いきなりヘビーなキスをする。男はしらけてどっかに行く。ジェット「ありがとう、だませたわ」にレベッカ(バカね)というふうにニヤリ「マジよ」人を食ったレベッカと堅物のジェットのギャップをそのままに、物語は軽快に展開します▼レベッカのナレーションによると「2033年、巨大彗星が地球に衝突、地球は砂漠となり有名人もテレビも水もない、11年雨が降らない、風呂は20人で混浴、楽しいよ。これがあたし、乗ってるほうだよ」みれば水牛の背に、防毒マスクをつけた女がゆらゆら揺られてやってくる。「今日は彼氏の誕生日。プレゼントをせびりに行くの」。レベッカは仲間とこっそり水と電力を盗みながらをタフに生きていた。盗みがばれレベッカは捉えられ、厳しい作業に従事させられた。そして捕虜の中にジェットがいたというわけ。レベッカの仲間であり、まだ幼いサラが誘拐され、売春宿の下働きになっていた。捕虜を脱出したレベッカとジェットはサラを助けに行く。サムを救うには兵隊が必要。そこで超人兵士を作るために、カンガルーのDNAを取り入れた半人半獣軍団の力を借りる▼レベッカが防毒マスクを取ったとき、目も鮮やかな金髪がサ〜と肩まで流れおちます。ロリ・ペティがあの通り鋭い目つきですから、マスク取った途端、ま〜カッコいい登場。ロリは33歳でした。それにひきかえ、我らがナオミ・ワッツは、頬もふっくらして幼さが残り、目は穏やか、メガネをかけているため、彼女独特の青い綺麗な瞳がわかりません。おまけにプラチナに近い金髪は黒に染めているし。どう見てもロリの引き立て役です。でもナオミ・ワッツは頑張るのだ。映画界には入っていたが、デビューらしいデビュー作もなく、一度は女優を諦めモデルになったが、グラマラスなスーパーモデルの中で、小柄な体躯はケシ粒のよう。お呼びがかからず、販売員に回され嫌気がさして辞め、やっぱり女優をやろうと復帰したのである。メガネ女子だろうと黒髪女子だろうと、準主役ではないか、文句言ったらバチが当たる…そう思ったのかどうかは知らないが、多分それに近い心境だったに違いない▼本作が彼女の実質デビュー作です。大型女優の華やかさやボリュームはないが、どんな役にも真面目に取り組むナオミの姿勢に、ポテンシャルを見た監督はいたはず。でなければ「マルホランド・ドライブ」のような難しい役にデヴィッド・リンチが抜擢するはずがない。「タンク」から22年、「マルドラ」から16年、ナオミ・ワッツは生き残ったばかりか、オスカーのノミネーとなり、主要映画賞にも名を連ね、ミヒャエル・ハネケ(「ファニー・ゲーム」)、デヴィッド・クローネンバーグ(「イースタン・プロミス」)、クリント・イーストウッド(「J・エドガー」)ら社会派の硬派の監督のもとで出演、特にアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥは「21g」「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」「愛する人」と立て続けにナオミ・ワッツを起用しています。あれれ。デヴィッド・リンチの「インランド・エンパイア」は、ウサギの声だけに出演したのね。世に出してくれた監督へのご恩返しでしょうか。そう見てくると、「タンク・ガール」にはナオミ・ワッツの子供のような可愛らしさと生真面目さがあります。どんな仕事も一球入魂でやっていれば、どこかで必ず見ていてくれる人がいるのだと、つくづく思わせられる人です。

 

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