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特集「祝カンヌ国際映画祭女優賞/ダイアン・クルーガー8日間」

2017年9月14日

特集「祝カンヌ国際映画祭女優賞/ダイアン・クルーガー8日間」④
ミシェル・ヴァイヨン(2003年 アクション映画)

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監督 ルイ・パスカル・クヴレア

出演 サガモア・ステヴナン/ダイアン・クルーガー

シネマ365日 No.2238

正念場 

★11-14_ダイアンクルーガー1

原作がコミックで脚本がリュック・ベッソンだから、こうなるのは無理ないと思おう。舞台はル・マン。25年近く、二大チームが世界中のサーキットで覇権を競っていた。チーム・ヴァイヨンとチーム・リーダーだ。リーダーはチームオーナーの死去により、レース出場を止めていたが、ル・マンの第70回記念レースの今回、5年ぶりに出場すると、オーナーの娘ルースがレセプション会場で発表し、会場は沸き立った。ミシェルの弟分、デヴィッドが車の工作でレース中死亡した。妻ジュリー(ダイアン・クルーガー)が、夫の遺志を継ぎ、レーサーとしてチームに加えて欲しいと申し出る。ミシェルは「チーム・ヴァイヨンにようこそ」と受け入れる▼ミシェルという男性は、ストイックこの上ない。酒は飲まずタバコは吸わず、眠らない。目隠ししても走れる。郊外にある別荘は豪邸であるがケバケバしておらず、典雅な趣味で統一してある。父親はチームのオーナー。ミシェルは生まれながらのレーサーだ。母親は息子がル・マンでクラッシュし、死んだ夢を見てから、今回のレースだけは見送って欲しいと夫に頼むがもちろん聞き入れられるはずもない。ミシェルは父親の信念を理解しつつも母親を気遣う、出来すぎたくらいできのいい息子である。ルースの父親というのがレースで汚い手ばかり使う悪役だった。娘はしかしこういうのだ。「父はあなたたちのおかげで無念の生涯を送った。今度はあなたたち親子が味わう番よ」。何をしたかというと、ミシェルの父親アンリを誘拐し、レースに負けたら無事に返すというのだ。レースが始まり、ミシェルはジュリーを代わりに走らせ、その間に父親を救い出す。スールは手下にタイヤに穴を開けさせ、レース場への車の輸送を邪魔するとかやるのだが、みな失敗。業を煮やし、自前のレーサーが怪我をしたから、ミシェルをチーム・チーダーで走らせ、優勝しろという。どう考えても絵空事の連続でしょう。人気コミックだから話がうまくいきすぎるのは当然としても、ベッソンがそれに輪をかけて派手に盛り上げ、映像も音響もぶっ飛んでいる▼ダイアンは27歳だった。駆け出しといっていい時期だ。ところが劇中、ジュリーが仇役の敵方レーサーを一発ぶんなぐるシーンがある。上手なアクションとは言えないが、ダイアンには、ボカッとやるシーンがよくある。「スペシャル・フォース」では、自分を救出するために敵地に潜入してくれた特殊チームの一人を、ボカッとやる。夫の言うことは聞かない(「ナショナル・トレジャー」)、ベートーヴェンには食ってかかる(「敬愛なるベートーヴェン」)、敵は平気で轢き殺す(「アンノウン」)、こういう役が彼女の代表作になっている。耐える女性役はあったかどうか、定かでない。「マリー・アントワネットに別れをつげて」では、王妃に命をも捧げる朗読係の愛情につけ込む、非情のタカビーを演じた。共演したレア・セドゥは、ダイアンを「彼女の威厳が王妃にぴったり」と褒めていたが…。今にして思えば「威厳と天然タカビー」が自然にリンクする、得難い女優であると気づくべきだった▼キャリアの割に映画賞に無縁だったダイアンは、年齢的にも難しい役をこなしていかねばならない時期に来ている。そんなとき、カンヌで女優賞をとったことは、彼女の運の強さか本来の実力か。これからが正念場。

 

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