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特集「祝カンヌ国際映画祭女優賞/ダイアン・クルーガー8日間」

2017年9月18日

特集「祝カンヌ国際映画祭女優賞/ダイアン・クルーガー8日間」⑧
トロイ(2004年 恋愛映画)

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監督 ウォルフガング・ペーターゼン

出演 ブラッド・ピット/エリック・バナ/ダイアン・クルーガー

シネマ365日 No.2242

傾国の美女 

★15-18_ダイアンクルーガー2

「ダイアン・クルーガー8日間」のトリは「トロイ」です。彼女のハリウッド・デビュー作というのもあるが、何しろ演じたヘレンが傾国の美女ですからね。クール・ビューティの冥利につきるわね。そうそうたる俳優陣で、大スペクタクルですし、物語は世界史のみならず、たくさんの史劇でおなじみです。トロイ戦争の元になったのがトロイの王子パリスとスパルタの王妃ヘレナの駆け落ち。和平の席上スパルタの国王と同席したヘレナ(ダイアン・クルーガー)に一目惚れしたパリスが、自国に連れ帰ってしまった。パリスの兄ヘクトル(エリック・バナ)はせっかく得た平和もこれでパーだ。頭を抱えるが弟可愛さのあまり、ヘレナを受け入れる。スパルタでは妃を寝取られ、逆上した王が兄王に相談。兄がアガメムノン。名前がややこしいのでなるべく省きます▼兄王は征服欲に取り憑かれている戦争好き。これで格好の口実ができた、今こそトロイを我が物にとギリシャ侵攻の戦支度にかかるが、部下の中でも最高の戦士の誉れ高いアキレス(ブラッド・ピット)は、兵士たちを戦の駒としか見ていないアガメムノンに批判的だ。協力しようとしないが、親友のオデッセーが、世界史に残る戦争になる、勇者が名を残す最大のチャンスだという言葉に心動く。人物のキャラからいうと、戦争ボケした兄王にせよ、ヘレナに逃げられた弟にせよ、理由ははっきりしています。領土を拡大する、寝とった男に復讐する。それに比べアキレスは名を残すことにこだわるのね。生きるか、死ぬかの戦争時代に、そんな抽象的なこと考えるものかしら。そこで彼はトロイ征伐に加わります。本作の男優陣とくると、ブラピにせよ、エリック・バナにせよ、堂々たる男性美です。そのせいか、ブラピはすぐ甲冑を脱いで裸体を見せてくれます。エリック・バナは本作の登場人物のうち、ただ一人の内省的な人物だといってもいい。妻を愛し、娘を愛し、国を愛する勇者です。本当なら疫病神のはずのヘレンも礼を以って接する。兄弟の父王にピーター・オトゥール。さすがの存在感ですが、撮影中酒を飲んでばかりだったそうで、撮影終了までもつかしら、とダイアン・クルーガーは懸念している▼「トロイ」はしかし、彼女のステップボードなり、華々しい女優歴が開かれます。それまでは小品、と言って悪ければ、ちょい役が多かったダイアンが、ぐんぐん力をつけていく。「ナショナル・トレジャー」のヒット、「戦場のアリア」「敬愛なるベートーヴェン」といったヒューマンな作品、中でも「マンデラの名もなき看守」は、出番こそ限られていましたが、ラストで最高にいい場面をさらいました。ハリウッドのみならずヨーロッパ映画でも佳品は少なくない。「スペシャル・フォース」はフランス映画の貴公子ブノワ・マジメル、アラン・ドロンの再来ラファエル・ペルソナと共演、仕事熱心で、頑固で意志を曲げず敵地に入った女性レポーターを演じ、彼女を救出するため戦火のアフガンに送り込まれる、貧乏クジを引いた男たちの映画です。続いて「マリー・アントワネットに別れをつげて」。まあ、またもや王妃ね。アントワネットも言うなれば傾国の美女です。アブナイ女がダイアンにはついて回る(笑)▼本作の美々しい男たちの中でいちばんよかったのはヘクトルね。女に狂いもせず、しかし一旦受け入れたら国の最高リーダーとして責務を果たし、アキレスの剣に倒れるストイックな男。女ならパリスじゃなく、ヘクトルに惚れるわよ。ブラピはトロイの巫女を愛し、「戦いに明け暮れる日々の中で、わずかに安らぎを与えてくれた」という。くさすぎる台詞だって? そうだけど、いいでしょ。だれも本当のことは知らないお話なのだから。多彩な役柄で魅せてくれたダイアンですが、ダイアン・クルーガーと言って反射的に浮かぶ決定的な代表作はなかったように思われる。それが「潜入者」や、カンヌでの受賞作「Aus dem nichts」が、器用で美人で、演技力もまあまあ、の女優では終わらない女優、を示してくれたらうれしい。

 

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