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特集「B級映画に愛をこめて」

2017年9月20日

特集「B級映画に愛を込めて7」②
ヴィドック(2002年 事実に基づく映画)

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監督 ピトフ

出演 ジェラール・ドパルデュー/ギョーム・カネ/エディット・スコブ/イネス・サストーレ

シネマ365日 No.2244

仮面の殺人

★19-22_B級映画に愛をこめて7-1

ゴシック・ミステリーです。1830年7月革命の前夜、連続殺人事件がパリを恐怖のドン底に突き落とす。捜査にあたった探偵ヴィドック(ジェラール・ドパルデュー)が殺害された。ヴィドックは実在の人物です。刑務所に服役、脱獄後、警視総監の密偵となり、解雇、相棒のニミエと共同探偵事務所を開く。ヴィドック死亡の号外を見て、彼の自伝を執筆中の詩人エチエンヌ(ギョーム・カネ)は事務所に駆けつけ、犯人逮捕の協力を申し出るが、ニミエは酒を煽り酔いつぶれてしまう。ドパルデューがオープニングそうそう退場するなんて、そもそもおかしい。結末はこの時点でほぼ想像はつくのですが、隠し扉の裏の秘密の部屋、小さな人形が何体もならび、ブランコを揺らし、いやらしい微笑を浮かべ、虚しく空間を見つめる。エチエンヌは勝手にあたりを探し回る。神経の太い詩人ね▼落雷で男二人が死んだ。武器商人と製造者だ。国際的な政治絡みか。死んだ男のハットに金属片が入っていて、これが落雷を呼び込んだとみられる、とまあ、そういうヒントを手繰りエチエンヌはいかがわしいクラブの踊り子、プレア(イネス・サストーレ)を訪ねる。プレアはヴィドックにも情報を流していた。彼女は「落雷で殺された変態男の線を洗え。犯罪通りに行き、シルヴィアに会え」とヒントを与えた。このシルヴィアがなんとエディット・スコブなのです。よく見なければわからないメーク、目が座りアヘン中毒でアッチへ行きかけた依存症の未亡人を演じます。からくり屋敷では不気味な女主人がカーテンの陰から現れる。箱の中に入った小さく精緻な人形がセックスして、酒を飲んで、手招きする。子供だましの映画だろうと思って見始めたのですが、なかなか、息の詰まるような重苦しい空気といい、芸達者な俳優たちといい、二重・三重に入り組んだ犯罪といい、次々殺される登場人物や革命前夜の弾圧といい、よくこしらえられていて目が離せなくなります▼シルヴィアの告白がなんと…「この事件は夫の妄想から始まったのよ。彼は老化を憎み美術品のように外見を磨き上げていた。でも年には勝てない。同じ妄想に取り付かれた友人二人と、夢の輝きが手に入れることができるというある男に出会った。望みを叶える薬を作ってやるから原材料を持ってこい、それは処女の血だった。夫たちは何人もの若い娘を金で買い、薬浸けにし、ある場所に閉じ込めた。しかし何週間経っても薬はできず、男たちは誘拐を終わりにすることにし、殺されてしまった」。若返りの薬なんて嘘っぱちだったと後でわかるが、殺人と残酷な実験は本物だった。途中でヴィドックが再登場。彼はもちろん死んでいなかった。ではなぜ死んだふりを? 殺人犯は鏡の仮面をつけ、自分の顔が鏡に映った者は殺される。殺人者は昔からの伝わる錬金術士の伝説を利用し、生体反応するという独特な仮面を、ガラス吹き職人に作らせていたが、その仮面制作には処女の生き血が必要なそう…何やら訳がわかりませんが、ヴィドックとミニエとプレアは錬金術士を突き止め、死闘の末仮面を剥ぐと、何と、それはエチエンヌではないか。やっぱりね。詩人にしたら無神経で図々しいはずだわ▼アクションの大立ち回りあり、秘密の乱行クラブあり、喉の掻き切り、ぐっさり、血なまぐさいシーンあり、盛りだくさんなのです。プレアになったイネス・サストーレはスペインのモデルで女優。陰気な暗い狭い部屋でやる、艶やかなストリップ・ダンスはけっこうなハイライトです。「ラマン/愛人」のヒロインに選ばれるものの、辞退してソルボンヌ大学に進学、現代文学を専攻した勉強好き。キリッとした美人です。ヴィドックと彼女とニミエがチームだと察した段階で結末はわかったようなものね。でもニミエは仮面の殺人鬼に殺されちゃう。それがね、拳銃を撃ったら弾がカーブしてニミエに逆戻りするという、こういうバカらしいシーンがなければもっとよかったのだけど。でも永遠の若さと肌のお手入れに、血道をあげる中年のオヤジ、という設定が一味違っていたわね。どうしようもない顔のために処女8人を殺すかよ? 地獄の特典「悶絶悶死エステ」が待ってるぜ。

 

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