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特集「B級映画に愛をこめて」

2017年9月22日

特集「B級映画に愛を込めて7」④
高慢と偏見とゾンビ(2016年 ファンタジー映画)

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監督 バー・スティアーズ

出演 リリー・ジェームズ/サム・ライリー

シネマ365日 No.2246

原作者もきっと大笑い 

★19-22_B級映画に愛をこめて7-1

シンデレラ」のリリー・ジェームズのアクションが、意外性があってよかった。日本刀振りかざしてゾンビをバシバシ斬ってのける。日本と少林寺で武術を習ったイギリスは18世紀のお嬢さんたちがゾンビたちをやっつける。タイトルにズバリあるように、原作はジェーン・オースティンの「高慢と偏見」です。女性にとっては結婚が全てだった時代、イギリスには謎のウイルスが蔓延し、感染したらゾンビとなって人間を襲撃する。脳を食べたゾンビはもっとたくさんの脳を欲しがり、次々襲撃して食べちゃうのである。なんで「高慢と偏見」とゾンビがくっついたのかわかりませんが、突拍子もないアイデアがサイコー。ゾンビ以外の物語は原作に忠実でして、それが物語をしっかりさせています。片田舎で暮らすベネット家の5姉妹は、お金持ち男との結婚に血道をあげる母親を尻目に、日々ゾンビと戦っているのだ▼勇ましい女性ばかりです。長女ジェイン、次女エリザベス(リリー・ジェームズ)は銃の扱いに習熟し、ペティコートの下にナイフを装着、ゾンビが襲ってきたら勇敢に戦うのだ。ベネット家の隣に資産家のビングリーが越してきた。彼の親友が大富豪にして、有名なゾンビハンターのダーシー大佐(サム・ライリー)だ。姉妹と母親は彼を未来の婿・夫にと狂喜するがエリザベスだけは硬い態度を崩さない。というのもダーシーが財産を鼻にかけ、女性を蔑視する、無礼で嫌な男だと思っている。ダーシーもズケズケと「ベネット家の娘、特にエリザベスは行儀が悪い」とか「高慢チキ」だとか、他の男のようにチヤホヤしないから、エリザベスはムナクソ悪い。それに、いかにゾンビとはいえ、冷酷に殺す彼のやり口に「心の冷たい男」と、二重、三重にマイナス点をつける。ダーシーは仕事だと割り切っているから「ふん、これだから感傷的な女は困る」と見下した態度を崩さない▼やがて人類とゾンビの最終戦争が勃発、ダーシーと共闘することになったエリザベスは、彼の無私で公平、しかも勇気ある仕事ぶりに徐々に自分の偏見を改める。ダーシーに騙されて財産を横領されたという士官の言い分も、真に受けていた自分の間違いだったとエリザベスは気づき、ダーシーとともにゾンビ軍団に斬り込む、のであるが、もともとファンタジーですから、ゾンビだといっても全然怖くありません。クルッと振り向いた顔が傷だらけで血だらけだというくらいで、ジェーソン級のホラーにはほど遠い。見せ場は何と言っても姉妹のアクションで、この時代になんで少林寺が習えたのか、日本の武術ななんだったのか、よくわからん点もありますが、多少の疑問はやすやすとぶっ飛ばしてくれる。しかも「イギリス一の剣の使い手」というキャサリン・ド・バーグ夫人がレナ・ヘディ。ダーシーの叔母にあたります。エリアベスたちに意地悪そうに当たるのですが、いざ決戦となると、ベネット一家を自分の屋敷に引き取り、甥や娘たちが心おきなく戦えるように配慮してくれる。黒いアイパッチをつけて登場したときは目を疑ったが、もともと彼女「300」ではゴルゴ王妃、「ターミネーター/サラ・コナー クロニクルズ」では完全武闘派、「ジャッジ・ドレッド」ではギャングのボス・ママと、まごうかたなき武闘派の女王なのだ。いがみ合うダーシーとエリザベスがお互いの本心を認め、めでたく結ばれる。アクションとロマンスとゾンビが絶妙に絡み合っている。ダーシーはゾンビを見分けるのに、いつも「死肉ハエ」を小さな瓶に入れて持ち歩き、それを放つと、人間に紛れ込んでいるゾンビの死臭をハエが嗅ぎつけ、ブ〜ンと飛んでいき、ハエの止まった人物がゾンビだというわけなのだ。ところがダーシーのやることが癪に触って仕方ないエリザベスは、飛んでいるハエを一匹、一匹、箸でつまんで落とすのだ。宮本武蔵も顔負けの達人技だ。ロマンチック・アクション・ゾンビムービーの快挙。ジェーン・オースティンも大笑いしたに違いない。

 

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