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特集「B級映画に愛をこめて」

2017年9月28日

特集「B級映画に愛を込めて7」⑩
ブレア・ウィッチ(2016年 ホラー映画)

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監督 アダム・ウィンガード

出演 ジェームズ・アレン/マキューン

シネマ365日 No.2252

映画の生気 

★27-30_B級映画に愛をこめて7-3

6万ドルの低予算で興収2億4800万ドルと言う驚異的なヒットになった「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の続編。前作が新鮮だったのは、POV=Point of View Shot=いわゆる主観ショットという、カメラの視線と登場人物の視線を一致させ、リアリティのある映像を作るという撮り方でした。今回もそれ。前作で行方不明になった姉を弟が友人たちと森へ探しに行く。情報源になった二人の男女を訪ね、姉がいたと思われる山中の家を探し当てるのだけど、奇々怪界の現象に襲われ、失踪者が続出する。前作は観ていないけど、行方不明、探索、時間軸の混乱、シュールなサインなど、基本的にあまり違いはないようです。それに二匹目のドジョウを、前作の17年後に試みなくてもよさそうに思うけど▼登場人物たちがいなくなる、失踪したのかと思ったらヨレヨレになって姿を現し、いなかったのは一晩なのに、もう4日も経っていると、時間の感覚が狂っている。川に入ったら怪我をするし、怪我はかなり重傷で、病院に連れて行かねばならない、ところが道に迷い、出発地点に戻ってしまう、まるで彼らのいる場所は地軸がおかしくなっているみたいだ。疲労困憊して行動もデタラメになり、それを待っていたように、姉なる影のようなものが現れ、家の中に消える。ついて入っていったら誰もいない、お化け屋敷ならもっと愛嬌があるだろうに、全員引きつった顔しかしないので、すぐ飽きてくる。人物はみな、怖がっているだけで、まともな推理や判断をしない。これではどんなにショッキングな状況が展開されようと、この映画のもの足りなさを補えない。女優も俳優も、みな怖がっているだけで、それ以上の事件も展開も起こりそうにないと、観客は早々と結論を下せるのだ。仮に姉が生きていたとしたら、事件は20年間だとしても、どこかに生活の痕跡ぐらいあるだろう。弟のジェームズは見たところせいぜい、20代前半だけど(友人たちもそれくらいの年代)姉の記憶って確かなの? 誰が現れても見分けはつかないのでは。だから幽霊みたいな怪しい影がふわふわでてくるのかしらね▼森の奥には正体不明の悪霊がいて、姉さんはそれに捕まり、今は魔界でけっこう楽しくやっているのかも。木の枝を組み合わせた奇怪なサインは、案内役の二人がこしらえたインチキだとわかるが、でもそのあとで、本物の悪霊の仕返しなのか、人形の首を折ると女の子の体が腰から二つに折れ、死んでしまう。姉がいたとされる家には怪物のような生き物がおり、目を合わせるとどこかにさらわれ、この世から姿を消されてしまうらしい。怪物の正体もわからないし、多分予算の関係で込み入った造形ができなかったのだろう、存在をほのめかす程度だから、怖くも恐ろしくもないのである。つくり込みの甘さや、展開のいい加減さをいくら言っても、作って公開した以上は誰か見るだろう(私もその一人だけど)。映画の内容とは、筋書きがどうであれ、役者と監督が誰であれ、あるいはたとえデタラメの脚本にせよ、観客の一人としていうなら、映画が放つ生気というものがあればいいと思っている。この映画の生気はジェームズのお姉さんと一緒に失踪してしまったのかしらね。

 

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