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特集「B級映画に愛をこめて」

2017年9月29日

特集「B級映画に愛を込めて7」⑪
最終爆笑計画(2009年 日本未公開)

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監督 ハビエル・ルイス・カルデラ

出演 アレクサンドラ・ヒメネス

シネマ365日 No.2253

堂々たるパロディ 

★27-30_B級映画に愛をこめて7-3

スペインのパロディ映画。決定版と銘打った自信作よ(笑)。パロッた映画はみな大ヒットしたから、それぞれ「おお、あれか」と思い当たるだろうけれど、でも、オリジナルを全部言い当てられる人って相当な映画オタクね。おバカ映画だと侮るなかれ、監督は意地悪く、観客の「ファン度」を試しているのかも。ゲストにスペイン映画の代表的な女優、監督がヒョコッとカメオ出演しているのも隠し味です。気楽に見られそうで、監督の魂胆に気づくと、けっこう、気合の入る映画です。どのシーンも(おや、どこかで見たことあるぞ)のオンパレード。オープニングから見ていくと、なあに、これ。家政婦が屋敷の女主人と喋っています。面接らしい。家政婦と女主人(アレクサンドラ・ヒメネス)が中心でストーリーが運ばれます。家政婦のいでたち・容貌が早速「おや、どこかで」…それもそのはず、ペネロペ・クルスそっくりなのです(笑)▼屋敷が暗いのは息子が光過敏症で、カーテンで閉めきっているから。もちろん「アザーズ」ですね。だから女主人はニコール・キッドマンってことか。家政婦が女主人の言いつけを聞かず、息子を光に当て、黒焦げにしてしまう。焼死した息子を納戸に隠す。ゴシックな展開ですね〜。消えた息子を懸命になって探すパクリ・キッドマン。どこを探してもいない。正体不明のソーシャル・ワーカーが現れる。怪しい袋を頭からかぶっているところは「永遠のこどもたち」。「アザーズ」でキッドマンに墓の在り処を隠す、シュールな家政婦さんだと思ってください。一人何役も演じるところで勘違いするかもしれませんが、いや、心配ない、すぐ「あ、あれか」と監督は本道に戻してくれます。ゴシックふうのいかめしいお屋敷の二階には、寝たきりの女主人の弟がいます。口に絵筆をくわえて絵を描いている。勢いよく筆を振り回すから、絵の具が飛び散ったりする。口も達者です。自殺したくて「殺してくれ」が口癖、その割には親切な美人の家政婦に好奇心ありあり。寝たきり男性は「海を飛ぶ夢」のハビエル・バルデムのパロ。アレハンドロ・アメナーバル監督の尊厳死をめぐるシリアスな映画が思い切りマンガになっています。そうそう、アメナーバル監督も一瞬ですが登場します。監督ってなかなか顔を見る機会がなかったのだけど、とても感じのいい青年。彼が「テシス次にわたしが殺される」とか「オープン・ユア・アイズ」「アザーズ」を監督したなんて信じられないわ。そういえば「ハイテンション」のアレクサンドル・アジャ監督も気色悪い映画と大違いのイケメンだった。話を元に戻そう、パクリ・バルデムは回想シーンで牛を殺しています。不気味な殺し屋でアカデミー助演男優賞をとった「ノーカントリー」ね。やってくれるわ▼屋敷のある村が「アルモドバル的な村」と看板が出ています。さては、と思ったら出た、アルモドバルの傑作「ボルベール<帰郷>」。ペネロペが、臨時レストランを開いた夜、母親を偲んで歌う名シーン。涙が出るペネロペの歌と演技をそっくり家政婦さんがやってくれます。ホント楽しいわ。テレビのクルーが取材に乗り込み、撮影班に「全部撮って」と指示しているのは「REC」のパロ。本家は意味不明の映画でしたけど、アンヘラちゃん、頑張った。地底王国から来た角の生えた怪物は「パンズ・ラビリンス」。女の子は王女のはずですが、とんでもないイケズ女子になっています。なんといっても監督の力が入っているのはこれ「オープン・ユア・アイズ」。凍結して手術する、顔がメタメタ、でもどこからか声が「これはみな夢だ。そこから飛び降りたら夢は覚める」。ビルのてっぺんに立っているのは自殺願望のパロ・バルデス。えーい。空中遊泳しますがやさしい家政婦さんがしっかり抱いて助けてくれる。時間が逆戻り? スーパーマンまでいるのか▼本物エレン・ベルダ(「永遠のこどもたち」)がストーリーの脈絡なしにいきなり現れ、パロ・キッドマンと楽しそうに喋ります。とにかく出演者全員、面白がっているのです。大ベテラン、レスリー・ニールセンまでがおもむろに登場。彼は「最終絶叫計画」シリーズに出演し、このあとすぐになくなりました。正直に言うとエンドクレジットで紹介される俳優・監督・脚本の皆さんと本家の作品が全て一致したわけではありません。「?」はいっぱいありましたけど、原題通り「スパニッシュ・ムービー」のパロディ・スピリッツは堪能しました。

 

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