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特集「B級映画に愛をこめて」

2017年9月30日

特集「B級映画に愛を込めて7」⑫
サウンド・オブ・サイレンス(2002年 サスペンス映画)

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監督 ゲイリー・フレイダー

出演 ブリタニー・マーフィ/マイケル・ダグラス

シネマ365日 No.2254

若すぎた死 

★27-30_B級映画に愛をこめて7-3

マイケル・ダグラスが頑張る父親です。いつものヘタレではありません。セレブしか相手にしない小児精神科医ネイサンです。何の苦労もない恵まれた境遇にいる名士の役です。妻にやさしく娘にはよき父。スキーで骨折し、家のベッドで脚を吊って療養している妻アギーにスポンジで体を洗ってやり、娘ジェシーとかくれんぼしながら会話し、夜はお話をしながら寝かしつける。頼りになるパパ。マイケル・ダグラスの風格にぴったりです…と、持ち上げておいてこう書くのはナンですが、この映画を動かしているのは、やっぱりブリタニー・マーフィね。10年前に父親が銀行強盗し、仲間のリーダー、パトリックに渡すはずの赤いダイヤをすり替えた、パトリックは10年間、刑務所で臭いメシを食い、出所して赤いダイヤを探すが、隠し場所を知っているのは娘のエリザベス(ブリタニー・マーフィ)だけ。父親は娘の人形にダイヤを隠したままパトリックに殺され、無縁者の墓に埋葬されていたが、その墓の番号を知るのがエリザベスだった▼エリザベスは父親が守ろうとしたものを誰にも渡さないと誓い、精神異常のふりをして10年間施設を転々として身を隠していた。しかしある時、男性の看護師をメッタ刺しにしたため、監視の厳しい病院に移送されることになった。彼女を受け持っていた精神科医ルイスは、有能な友人、ネイサンに助けを求めた。移送されないうちになんとか治療のめどをつけないと、あの娘は一生鎖に繋がれて送るというのだ。ネイサンは引き受けるが、エリザベスは頑なに口を閉ざし、絶対に教えないと、ネイサンを敵視する。ネイサンの娘ジェシーが誘拐された。エリザベスから6桁の数字を今日の5時までに聞き出せというのだ。彼の家も妻も隠しカメラによってパトリックの監視下に入っていた▼同時進行でマンハッタン川に浮かんだ20代女性の水死体を捜査する、敏腕の女性刑事キャシディが登場します。誘拐と殺人と二つの事件が平行線で続き、交わるところで本作の真相がわかります。完全に脇役と思われた意外な人物、ルイスが自分の愛人を救うためにネイサンを巻き込んだのです。監督はわざと、肝心なところをサラ〜と流していますので、あの溺死体は何のためにあったと、意味がわからなくなるかもしれません。当初ルイスがエリザベスの担当医だったから、パトリックはルイスに6桁の番号を聞き出させようと、彼の愛人を誘拐したのですが、ルイスはエリザベスにお手上げでネイサンに応援を頼んだ、それじゃルイスの愛人は口封じに殺して、ネイサンの娘を誘拐しちまえ、となったわけね。エンドは勧善懲悪、墓にあった人形のお腹から赤いダイヤが取り出され、これでお前は用済み味だと、パトリックがネイサンを撃とうとしたとき、駆けつけたキャシディ刑事に助けられる。キャシディも被弾しますが、もちろん助かる。エリザベスは元の頭のいい、思慮深い娘に戻り、ジェシーとも仲良くなる。テンポよくシャキシャキ進み、たるみのない展開でグッド。マイケルのゆるんだ頬も気になりません▼ブリタニー・マーフィはこの時24歳。彼女は8年後、32歳で急死します。「17歳のカルテ」とか、「8Mile」とか、昏さの中に甘さのある持ち味がよかった。本作でも、精神病院を転々としていたのがパトリックの魔手を逃れるためだったとか、医者であっても大人なんか信用しないとか、人間にも社会にも背を向けた少女を好演しています。もう一人の少女、ジェシーのスカイ・マッコール・バートシアクはテキサスの自宅で、就寝中急死しました。21歳でした。若くしてプロデュースや監督業に意欲を持っていました。ブリタニーといい、スカイといい、スクリーンの中で生きるのが女優とはいえ、若すぎる現実の死が惜しまれます。

 

 

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