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特集「ベストコレクション」

2017年10月4日

特集「白秋のベストコレクション」④
復讐少女(2012年 日本未公開)

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監督 ポール・ハイエット

出演 ロージー・デイ

シネマ365日 No.2258

甘さも感傷も許しもなく 

01-04_白秋のベスコレ1

民族紛争、戦火のバルカン半島。聾唖の少女は村に押し入ってきた兵士たちに母親を殺され、村人は虐殺、若い女たちは全員売春宿に連れていかれる。宿のオーナーは少女にエンジェルと名前を与え、まだ子供だったせいか、顔に大きなアザがあったせいか、客を取らせず、宿の下働きをやらせる。客を取る前に女性たちにクスリを打つのがエンジェルの役。廃屋同然の狭い不衛生な部屋に、半死半生の女たちがもうろうとして性奴隷になっている。とてもまともに見ていられない。オドロオドロしい邦題ではあるし、確かにエンジェルは復讐するのだけど、復讐映画ではないです。少女はスーパー・ヒロインではないし、格闘技はおろか、武器も扱えず、非力で戦闘能力は皆無。唯一利点とするのは、体が小さく痩せているから、狭い通風口を這って売春宿のどの部屋にも行けること▼オーナーというのがロリコンのうえ、エンジェルに合鍵を渡し「どこにでも出て行ける、でもお前はどこにもいかない、俺を愛しているから」と自信満々の変態男。この映画に次から次、現れる男たち、どいつもこいつも地獄に堕ちろと言いたくなります。エンジェルは同じ売春宿にいる、手話のできる少女と出会う。二人は悲惨な境遇で会えるわずかな時間、気持ちを通わせるのが救いだった。ある日、サド男の客が手話少女に残虐の限りをつくす。医者が呼ばれ「骨盤が折れている、こんなことをしていたら死んでしまう」と苦言を呈するが、女を消耗品と見ているオーナーは意に介さない。エンジェルは通風口を伝い、甲斐甲斐しく看病に通う。そこへオーナーの元同僚らしい隊長がぞろぞろ部下を連れてやってきた。うち一人は例のサド男だ。寝たきりの手話少女に襲いかかる。通風口から見ていたエンジェルは音もなく通風口から降り、男の背中を滅多刺しにする。それでも男は死なない。エンジェルは無我夢中でナイフを口に突っ込みノドを切り裂く。エンジェルは息を引き取った友だちの瞼を閉じてやる。ここ、胸が熱くなりました。なかなか子供にできることではないです。愛する人を何人も死なせ、死体を見慣れてきたからです。部屋の大騒動に他の兵隊が入ってきた。間一髪エンジェルは通風口に飛び込んだが、兵士が殺されたことで売春宿は蜂の巣をつついた大騒ぎ。森へ逃げるエンジェルを見つけ、下手人はあいつだ、と追っ手がかかる▼逃げ回りながらエンジェルは大の男たちを血祭りにあげていく、というより男たちが間違って同士討ちをしたり、高所から墜落したり、エンジェルの幸運もあるのですが、エンジェルの必死さが映画をリアルにしています。隊長は激怒力噴出100%。生かしておくものかとエンジェルを追い詰めます。変態オーナーは、一度は「愛しているんだ」とエンジェルに近づき、捕まえた途端小さな女の子をなぐり倒す。ところが隊長と仲間割れ、あっさり殺されます。誰も同情しないですね。エンジェルは廃屋の工場のダクトに逃げ込む。隊長が、殺された兵士が隊長の愛人だったこともあって、エンジェル憎し200%。見境なくダクトに頭を突っ込み追いかけたのが運のつき、メタボ腹がダクトにつまり、両手は使えず、にっちもさっちも動かない。エンジェルは隊長の口にボロ切れを詰め込み、ほったらかしにして逃げる。餓死するか窒息死か、獣が入り込んで頭からか脚からか、どっちかから喰われるでしょう。そんな目にあうより、一思いに殺してあげたほうがよかったのに。ここだけが残念だったわ▼エンジェルは森の中の一軒の家に逃げ込みます。出てきた老夫婦は一目で事情を察し、エンジェルを匿います。男性のほうは売春宿の医師だったのです。映画はそこでエンド。甘さも感傷も許しさえ微塵もない激辛の映画です。

 

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