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特集「最高のビッチ」

2017年10月10日

特集「最高のビッチ4」① キャサリン・マコーマック①
娼婦ベロニカ(上)(1999年 事実に基づく映画)

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監督 マーシャル・ハースコビッツ

出演 キャサリン・マコーマック/ジャクリーン・ビセット/ルーファス・シーウェル

シネマ365日 No.2264

自由を手に入れる奥の手 

★10-13_最高のビッチ4-1

冒頭こう出ます。「1583年ベネチア。ヨーロッパ随一の富と頽廃の都では、女は男の所有物だった。この物語はそんな時代に自由に生きた女性の実話だ」。これで語り尽くされたほど端的です。歴史的な背景もよくまとまっています。ベロニカ(キャサリン・マコーマック)はローマから帰ってきた貴族のマルコ(ルーファス・シーウェル)に恋する。「結婚ってなに、ママ」母パオラ(ジャクリーン・ビセット)はにべもなく「身売りよ」。結婚は契約だ、愛は関係ないとバッサリ。恋しい男は「君と結婚はできない。地位と家柄にふさわしい名家の娘でないと。僕の結婚は国家を背負っている結婚だ」「うちは700年の家系よ」それでも多額の持参金がないからダメ。マルコに限らず当時の男性って、女を家に縛り付けて自分らはゴンドラに乗り、娼館に繰り出し、酒盛りに騒ぎ、自分勝手なことばかりやっています。女は教育も受けられず、朝食が終われば昼食、昼食が済めば夕食、家事に育児、掃除に洗濯。結婚とは男の所有物になり家と名前を得る代わりにやることは奴隷に等しかった、そんなことをボーヴォワールは舌鋒鋭く半世紀前に書いていました▼母親が言います。「自由を手に入れる方法があるわ。奥の手よ。コルチザン(高級娼婦)になるの。お前もなれる。私のように」「娼婦だったの!」「ずっと昔よ。お前にはいい結婚をさせるつもりだった。でも父親が持参金を酒に浪費した。お前のこの柔らかい手。食器洗いやワイン作りには無理だわ」ベロニカは娼婦と聞いて抵抗する。修道女か娼婦かどっちかを選べと母に言われ、修道院に見習いに行ったが逃げ出す。ベロニカは腹をくくる。母親は最高の教師だ。「高級娼婦になる第一条件。快楽を与える歓びを知ること。美は神聖なものなの。お前の美貌もシスティナ礼拝堂も」。母親は図書館に連れていく。「女人禁制」だが高級娼婦だけは入れるのだ。「将軍ペリクレスは参謀より愛妾の助言を聞いた。高級娼婦は世界で最も教養ある女性なの。知性を磨いて完全武装するの。服を脱いで男を迎えるだけではダメ。あなたの魅力はクレオパトラやテオドラと同じように、美貌を越えたものよ。ペリクレスの愛妾は肌を見せずに男を魅了したの。頭を使って欲望をそそるのよ」▼ベロニカの修業時代だ。「容姿は関係ないの。地位も財産も関係ない。男の夢は妖婦にして近寄りがたいヴィーナス。でも時には従順な女に変身する」ベロニカはリュートを弾き、本を読み、容姿を磨く。母親は美しい青年を全裸にしてベロニカの前に立たせ娘に「あなたが楽しまないと見透かされるわ。ここに触れて」「すごい」「羽のように軽く触れ、飴のようにしゃぶり、欲情を煽り官能に溺れさせる」。次はダンスのレッスン。そしてデビューの日が来た。貴族たちのパーティに母親はベロニカを連れていき大臣に目どおりさせる。ベロニカの美貌はたちまち男たちの耳目をそばだてる。詩人であるマルクの従兄が即興詩で挑発し、ベロニカはやり返す。「罪深い女性はエデンを追放され、男の故郷と家庭と心の拠り所に成り果てた。男はクズ。妻たちはまるで戦利品のように屋敷に幽閉される」。ヤンヤの喝采だった。ベロニカは大臣のお気に入りとしてコルチザン・デビューを果たしました。

 

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