女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「最高のビッチ」

2017年10月11日

特集「最高のビッチ4」② キャサリン・マコーマック②
娼婦ベロニカ(下)(1999年 事実に基づく映画)

Pocket
LINEで送る

監督 マーシャル・ハースコビッツ

出演 キャサリン・マコーマック/ジャクリーン・ビセット/ルーファス・シーウェル

シネマ365日 No.2265

奴隷の妻より娼婦の自由

★10-13_最高のビッチ4-1

ベネチアはオスマン帝国と交戦。フランス海軍の応援を得たい。そのためには王を落とさねば。招かれたアンリ3世は宴の席でベロニカを望む。翌日王は「艦隊を出す」。マルクの言い草は「君が国王のお手つきになるとは」彼はロンバルディアの総督の娘ジュリアと結婚している。「私は国を救ったわ。あなたが妻を抱くようにたった一晩、王と寝たことが許されないの?」。ベネチアの妻たちはなぜ夫がベロニカの元に通うのか、汚れた牝豚と呼んでベロニカを弾劾するが、ベロニカは動じない。「女性がいちばん手に入れにくい財産は教養よ」(そのアタマで、わかるはずないだろ)って感じでいいすて「愛のない結婚は哀れね」▼ベロニカの親友ベアトリーチェが訪ねてくる。「私の娘が育ったら高級娼婦にして。娘に自由な生き方をさせたいの。悔いの残る人生は地獄より残酷だわ」。ベロニカは高級娼婦の成れの果てを見せる。街頭に幽鬼のようにさまよう老女だ。自由に幸福にセレブに見える高級娼婦も「病気になり、年をとったら終わり。嫉妬深い愛人に顔を切られ、地獄のような売春窟に売られる女たちもいる」それでもベアトリーチェは「私の娘は私のように刺繍に青春を費やして子供を産み、死ぬときは国家や夫に従うのではなかったと思うでしょうよ。この終わりのない生き地獄よりマシよ」自由を求める女に救いはないのか。1577年。巨万の富と繁栄を誇ったベネチアは落ちぶれ見る影もなく、街には娼婦が溢れ、はびこる疫病は彼女らのせいとされ、鞭打ち、磔、家には「×」印がつき、ベロニカは女中でも掃除婦でもやった。召喚状がくる。「ベロニカ・フランコ、宗教裁判に出席すること」。お前は魔女の疑いで告発された、事実なら死刑、正直に悔い改めれば命だけは助けてやる…この愚かしさ。理屈もヘチマもあったものではない。男は、人類の半分は、女嫌いなのだ▼死罪か破門か、明日判決という夜、牢獄にマルクが訪ねた。魔女だと認めれば死刑は免れるというのだ。「彼らの欺瞞に妥協すれば私は全てを失う。愛も言葉も真心も」。翌日「ベロニカ・フランコ、罪を認めるか、拒否するか」の審問に「罪を認めます。私は持参金が足りず、愛する男を結婚できませんでした。母に別の生き方を教えられ受け入れました。私は娼婦になり権力にへつらい大勢の男と寝ました。妻の従順より娼婦の自由を選んだのです。私は祈りより情熱に陶酔しました。恋人に身を任せました。めらめらと夢の中で溶け合い、この法廷さえ超えます」傍聴の女たちの羨望のまなざし。「埋没した人生はどんな罪より残酷です。男性の中には女を買うくせに女を軽蔑する男がいます。女を所有物とみなし女たちの純粋な夢や愛を堕落、罪、異端と呼ぶのです。娼婦は女が自由に生きる唯一の道です。後悔はしません」。傍聴席でベアトリーチェが叫んだ。「都の女はみんな魔女よ!」。共犯者、つまり寝た男の名前をいえと審問官。「共犯者はいません」とベロニカ。「立て、共犯だったことを認めるのだ」叫ぶ審問官にマルクが立った。「ベネチアとこの女性のために立ちます」。もう一人が立った。ベロニカを水揚げした大臣だ。次々全員が起立して「共犯」だったことを認める。大司教が「審問は勇み足だったな」そうつぶやき、声を大きくし「この件は娼婦の楽園ベネチアに託す」あっち向いてホイ、もう関わりたくないってことね▼「高級娼婦の時代は終わった。ベロニカは自宅を宗教裁判の犠牲者に開放し、生涯マルクとの愛を貫いた」と字幕に出る。そうなの。マルクの妻ジュリアもベロニカを容認したってことね。ジュリアを演じたのが誰あろう、ナオミ・ワッツです。マルクに「欲望はないのか」ときかれ「いい妻になります」と答える幼な妻。「マルホランド・ドライブ」の2年前。30歳でした。ナオミだとわかる人、少ないでしょうね。それくらい記憶に残らない、貴重なほどの時代です。

 

Pocket
LINEで送る