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特集「最高のビッチ」

2017年10月15日

特集「最高のビッチ4」⑥ ウルスラ・アンドレス
白衣に秘められた幻想(1975年 日本未公開)

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監督 ネロ・ロサティ

出演 ウルスラ・アンドレス

シネマ365日 No.2269

ウルスラの風格

★14-17_最高のビッチ4-2

プロデューサーがカルロ・ポンティ。ソフィア・ローレンの旦那ですね。そういえばグラマラスで豊満な女性のタイプ、という点がウルスラ・アンドレスと似ていますね。「白衣に秘められた幻想」なんて、ミステリアスないいタイトル。原題は「ナース」(看護師)で、アジもシャシャリもありません。で、何を以って「幻想」としているのか、が本作のミソです。このときウルスラは39歳。「ドクター・ノオ」が26歳。「007」の記念すべき第一作は、ショーン・コネリーより、海から上がってくるウルスラの水着姿が目を奪った。太陽の下、砂浜へゆっくりと歩いてくる。腰から下、長い脚、反らした胸、長い金色の髪、眩しそうにひそめた目には穏やかさのかけらもないーデボン紀の海底から陸に、地上に初めて全身を現そうとする、美しい半魚人のようでした▼本作でなかなかウルスラは登場しません。ワイナリーを経営する叔父の伯爵が心臓発作で倒れ、甥や婿が集まってくる。叔父が死んだら莫大な遺産を相続できる。医者は今日明日が峠だと言ったのに、一向に死ぬ気配はない。ワイナリーが欲しいアメリカ人実業家(これがジャック・パランス)は、いつまでたっても契約できない事態にしびれを切らし帰国した。甥の一人、ベニートは昔愛人だったアンナ(ウルスラ・アンドレス)をスイスの病院から呼び寄せた。叔父を興奮させ再発作であの世に行ってもらおうという計画だ。アンナは痒いところに手が届くように、伯爵の世話をする。日中の付き添いが終われば、ベニートと情事にも至るが、根は真面目である。死ぬどころか回復の兆しさえ見え始めた伯爵に、ベニートは「注射を打つとき、近づいて胸の谷間を見せろ」とか、「顔の近くでパンティが見えるくらいに腰をかがめろ」とか具体的な注文をつけるが、ますます元気になるみたい▼ウルスラは惜しげもなくフルヌードを披露。みごとですわね。チマチマした肉体ではございません。痩せた身体でもございません。なんで同じ人間にこうまで異なる造型を神は与えるのか。その堂々とした彫刻のようなプロポーションに風格さえ覚える。で、アンナは伯爵の16歳の孫に手ほどきするとか、看護の隙間時間にけっこう、うまくやるのですけど伯爵のお守りに手抜きはない。とうとう伯爵は歩き回れるまでに回復し、アンナへの感謝はひとかたならぬものがある。愛情に変わるのは時間の問題。親族がハゲタカのように財産を狙っている言質をつかんだ伯爵は全員屋敷から追い出してしまい、自分はアンナと新婚旅行に。新婚のメッカとなった運河を見渡すホテルのベランダで、伯爵は羽を伸ばし、豪勢なメニューをオーダーする。アンナはボーイに微笑み「今のは主人の冗談よ。ホントの注文は」コンソメのスープにサラダ、ほんのわずかなパンにデザート。徹底した食養生の指導。あなたと幸福な人生をいつまでも続けたいというアンナに伯爵は今さらながらメロメロだ▼アンナはベニートの切った小切手くらいのチンケな(それでも別荘のひとつくらいは買えたはず)金額で手を打つつもりは毛頭なかった。どうせなら根こそぎガッポリ。しかも伯爵は幸福にあの世にいかせてあげる。隣のベッドに眠るアンナは、知ってか知らずか、なだらかな丘陵のような太ももを覗かせ、息をするたびに上下する胸、寝返りを打てばコリコリと引き締まったお尻が。壮大な眺めに伯爵は我慢ならない。二度目の発作で彼は天国へ。元愛妻の隣に葬られ、全財産はもちろんアンナへ。登場人物全員がイタリアの太陽のごとく明るい。犯罪を企んでいるのだけど、罪悪感など毛頭ない。色事も金も人生を楽しむためにある。いちばんのワルはもちろんアンナなのですが、16歳の孫が名残おしそうに別れを告げると、「元気でね」ふたりにだけ分かる笑顔でやさしく送り出す。孫だけは可愛い伯爵は「ここはお前の家だ、いつでも帰ってこい」なんて、いいの? そんなこといって。孫は大喜びで帰ってくるはず…。

 

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