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特集「最高のビッチ」

2017年10月16日

特集「最高のビッチ4」⑦ イザベル・ユペール①
ガブリエル(上)(2005年 恋愛映画)

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監督 パトリス・シェロー

出演 イザベル・ユペール/パスカル・グレゴリー

シネマ365日 No.2270

なぜ帰ってきた? 

★14-17_最高のビッチ4-2

夫のジャン(パスカル・グレゴリー)にしたら、さっぱり訳がわからないだけでなく、怒髪天を衝く女でしょうね、妻のガブリエル(イザベル・ユペール)は。パスカル・グレゴリーという人、モノローグの内容によって作品を選んでいるのではないかと思うほど、「語り」が上手いのです。「嫉妬」でも彼の独白がエマニュエル・ベアールとベアトリス・ダルの演技を触媒させていました。本作はイザベルとパスカルのセリフ劇だといってもいい。映画のほとんどがふたりだけのやりとりで進みます。冒頭から語られるジャンの「自画像」はこう。「わたしは幸せで穏やかな風貌。横暴ではないが自信に満ちている。背が高く健康的で友人たちは、わたしには達成の眼差しがあるという。金は容易に入ってくる。結婚10年。妻は良家の出だ。彼女はわたしの考えにぴったりあった。我々の夕食会のもてなしは、派手で浮ついた楽しみ方ではなく高く評価された。夕食に来る人々はわたしたちと同じ人種。感情、熱狂、不成功を不治の病より恐れる男と女たちだ。芸術家が集まる我々の、木曜の夕食会はパリで有名になった」▼ジャンは晩餐会の席で妻を眺めながら思う。「ガブリエルは静かな眼差し。艶やかな額。今夜、ガブリエルはより青白い。それは彼女の主要な魅力だった。結婚してもひとつも変わらない、彼女の不変さを誇りに思う」やがて、物静かなジャンの語りに、かすかな違和感が混じる。「我々は仲睦まじくはないが、その必要もない。同じ寝室で寝る。わたしに色事はいらない。二つの隣接したベッド。二つのナイト・テーブル。ガブリエルが一方で寝る」。どういうこと? 疑問が生じる。ある日、ジャンが帰宅した。妻は留守のようだ。化粧台に手紙があった。「ジャン。1時間後にはわたしはいないでしょう。一人の男性と去ります。これ以上隠せません。ひどいことです。許してください」ジャンは発狂しかかった。メイドたちの不審な視線。イライラと部屋中を歩き回る。酒を飲もうとしてコニャックをこぼし、瓶を落とし、グラスを割って手を怪我した。夕方になった。ドアの外で物音がする。人影が妻の部屋に入る。ドアを開けるとガブリエルがいる。ジャンは「この手紙はなんだ!」落ち着き払って「まちがいです」▼妻が出て行ったのが午後3時半。戻ってきたのが7時。その男は誰だ、いつからだ、なぜ帰ってきた、妻への問いかけが次から次、ぐるぐる頭の中を巡る。こんなときにもジャンは「あなたの皮膚はすべての答えを映し出す。緊張するとあなたの首は美しく赤くなる。青い血管であなたの人生を追うことができる」ジャン、いいのかよ、そんな悠長なこと、いっていて。「この状況の責任はわたしにはない。法律はわたしの味方だ。もし取り返しが、つかないことがないなら、あなたを許す」。ジャン、わかっていないのね。そんなこといっているから女は閉口するのよ。とっくにあなたを棄てた女に、許すも許さないもないでしょう。悪いけど、ここ、吹き出してしまったわ▼相手はジャンがオーナーである新聞社の編集長だ。脂ぎった男で、夕食会に来る客の中でジャンはこの男がいちばん嫌いだった。よりによってそいつと妻はできたのだ。ジャンは怒りに燃える。ガブリエルの着替えを手伝いながらメイドのイヴォンヌは「ご主人様は善良で、すべての人々に門を開けておいでです」「一人の男性がルールを守らなかったら閉めるでしょう。彼との苦しみがわたしの愛の始まりだった。7か月、ふたつの季節、今日旅立ち、今日帰った。とても早かった」。ガブリエルのセリフは抽象的ですね。でも観客としての関心はたったひとつ、なぜガブリエルは帰ったのか。ちょっとしたミステリーね。

 

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