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特集「ヤバい女」

2017年11月3日

特集「ヤバい女」③
本当に若い娘(2001年 社会派映画)

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監督 カトリーヌ・ブレイヤ

出演 シャーロッテ・アレクサンドラ

シネマ365日 No.2288

本当に若い… 

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カトリーヌ・ブレイヤ監督の腕力がよくわかる。製作から四半世紀たって公開されたのは、当時は性器丸出し描写がポルノと判定されたため。監督自身28歳だったし、度胸満点だった。本作はブレイヤの監督デビュー作です。ヒロインは14歳のアリス(シャーロッテ・アレクサンドラ)。冒頭は彼女の独白だ。「私はアリス。ボナール家の一人娘。人間嫌い。息がつまる。学校は全寮制。休みのたび帰省する。耐え難いのは夏休み。それは終わりのない夏」。両親が玄関に迎えているのに、いつまでも飼い犬にかまって「ただいま」もいいに行かない。ふてくされ方が不自然でさえある。母親が用意した食卓にもムッツリ。「話すことはないの?」と聞かれるが無視。黙々と食事。パパは俯いてティーを飲み、アリスはジャムテンコ盛りのパンを食べ、ママは黙ってマグカップでコーヒーを飲む。アリスはわざとスプーンを落とし、拾いあげ、隠れて陰部に挿入し、何食わぬ顔で取り出すと食事を続ける▼思春期特有の反抗期なのでしょうけどね、アリスの関心は性、というより性器一辺倒。いくら年頃といったってアタマおかしくならない? これ、監督の自叙伝でしょうか。アリスのシャーロット・アレクサンドラが肉付きのいいぽっちゃり型です。寝ても覚めても妄想が絶えない。「夏休みが始まった。この上ない窮屈さ。鏡の前で服を脱ぐ。おぞましい行為だ。下着を脱ぐ。自分の裸は正視できない。別の下着を穿く。歳の割には豊かな胸だ」で、ベッドに入って嘔吐する。寮で夜にトイレに起き、正面から排尿するシーンがボカシだけど入る。ああ、おぞましい。父の製材所で働くジムという青年がいる。ジムに会いたくて製材所に行く。ジムには恋人がいて高校生の相手などしない。アリスは執拗にアタックする。見ているほうがだんだん退屈になる。何も起こりそうにないのだ。でもアリスは自転車のサドルに、白い下着を見せてまたがりこれ見よがしに走る。ジムの気を惹こうとするが効果なし。全裸で砂浜に大の字になった自分の体に、ジムがミミズみたいなものを這わせ、ちぎっては陰部に入れようとする妄想を描く。一人で散歩に出た。砂浜に来て靴を放り投げ、波打ち際に座り股を広げ打ち寄せる波に洗わせる▼メークを濃くして遊園地に行き中年男をナンパするが「変態」と叫んで結局は逃げる。レールの枕木の上に脚を広げる。ある日ジムに出会った。下着を脱ぎ地面に仰向けに寝る。下半身丸出しのアリスにジムが反応する。ジムが射精した後は「死んだ魚のようなペニス」だと言って「あっちへ行って。行ってよ」と追い払う。開脚するしか能のない色ガキに、いつまで付き合わないといかんのか、この映画は。娘がバカにする母親は、せっせと上げ膳・据え膳で食事をこしらえ、父親は、支配的であからさまな女性蔑視、浮気はするわ妻に悪態をつくわ、でも娘だけは可愛がる。どこにでもいるような父親だ。アリス一人が欲求不満の塊である。母親は大学受験を来年に控え、男に色目使っている場合じゃないと叱る。母親にしたら「本当に若いバカ娘」と言いたいのでしょうね▼今夜はジムと過ごすと約束した夜、ジムは父親が畑を荒らすイノシシのために仕掛けた銃で死んでしまった。愛想もクソもない終わり方は以後、ブレイヤ監督のスタイルとなる。彼女は1948年生まれだ。28歳の本作とのちの作品はどう変わったか。変わっていないですね。彼女の映画の背骨にあるのは喪失へのエレジーです。本作では「処女喪失」への異様な関心、次は「独身喪失」、その次はくたびれた中年になって「気力喪失」すなわち「人生喪失」。「FOUR NIGHTS 4夜」はこれに近かったですね。とすればアリスちゃん、皮肉じゃなく、若いあなたにはまだまだ未来という「失うべきもの」がたくさんあるわけね。最後に何を失うのか、見届けたくなったわ。

 

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