女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「偏愛力」

2017年11月11日

特集「偏愛力3」②
ジェーン・ドゥの解剖(下)(2017年 ホラー映画)

Pocket
LINEで送る

監督 アンドレ・ウーヴダル

出演 ブライアン・コックス/エミール・ハーシュ/オルウェン・ケリー

シネマ365日 No.2296

非情の女

10-14_偏愛力3-1

父親の見解は続く。「彼女は拷問や解剖の痛みを感じているのだ。彼女の目的は我々に同じ痛みを与えること。だから殺さないのさ。復讐だよ。彼女自身が復讐の儀式を行っているのだ」息子は叫ぶ「なぜ俺たちなんだ!」そんな殺生な、と言いたい。父親「誰でもいいのだ。復讐さえできれば。彼女は苦しんでいる。復讐は止まらない。その言葉通り、オースティンを迎えに来た恋人のエマが殺された。父親はジェーンに頼む。「私は君の味方だ。頼む、息子だけは傷つけないでくれ」。懇請もむなしく父親も殺される。息子は地下室を駆け回り、出口を探すがどこもかしこも封鎖された。明かり取りの小窓だけ開きそうだったが、木の根が邪魔をしていた。オースティンは大声で助けを呼ぶ。「保安官を呼んでくれ、木を退けてくれ」。オースティンは後ろ向きに倒れたはずみに、鉄柵に貫かれ死ぬ。みな死んでしまった。ジェーンの顔色に生気が戻り、バラバラに解剖された体はもとどおりに塞がった。保安官たちが到着した時、地下室は整然としたまま、死体だけが床にあった。「侵入者の形跡はありません。何が起きたのです?」解剖台の上には血の一滴、骨のかけら一つなく、ジェーンは整った体のまま解剖台に横たわっている▼魔女として拷問され、残酷な手法で殺されたジェーンが、復讐の念で命を(というか、霊気をというか)保ち、次々報復を果たしていった、ということなのです。先の一家もジェーンの血祭りにあげられた。相手が誰であろうといい、という非情の女という設定が怖いですが、言ってみればバカな迷信を信じて、無実の女性を惨殺したのが原因である。過去に魔女裁判でリンチ・死刑・火あぶりになった女性が大げさでなく何百万人いたかしれない。レビ記には「男にせよ、女にせよ」とありますから、霊媒は男でもよかったのに、こういう場合必ず女なのですね。本作の事件は迷宮入り、ジェーンは「身元不明の遺体」として、埋められた場所かどこかで、復活し、仕返しをするのでしょう。シリーズ化されるかも。あっさり「魔女落ち」になったのがちょっと物足りなかったけど、そこまでぐいぐい引き込んでいく構成はさすが。アンドレ・ウーヴダルは「トロール・ハンター」で注目を集めたノルウェーの監督です▼検察官を演じた超シブはブライアン・コックス。「トロイ」の戦争好きのアガメムノンや、最近では「モーガン プロトタイプL—9」「記憶探偵と鍵のかかった少女」などがあります。ジェーンを演じた女優は始めから終わりまで解剖台に乗って素っ裸で横になっているだけ。彼女は175センチの長身のモデルです、一言もセリフなく、呼吸を止めて撮影に臨むため、ヨガの瞑想教室に通い、死体を演じるときの浅い呼吸の練習もした。容貌にせよスタイルにせよ、整いすぎてアンドロイド的魅力があります。相手が誰であろうといい、殺していく、妥協を許さぬ非情の女にぴったりでした。

 

Pocket
LINEで送る